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Vietnam Clean Seafoodがティラピアを日本へ刺身用フィレ初出荷

ベトナム産ティラピアが、日本の寿司・刺身向けフィレとして初めて出荷された。手がけたのはカントー市のVietnam Clean Seafood Corporation。同社CEOのVo Van Phuc氏は、2026年7月に日本向け付加価値フィレの初出荷を終え、品質と食味の面で日本の顧客から好反応を得たと明かしている。冷凍の白身コモディティとして扱われてきた魚が、生食基準の加工品として日本の棚に届く。日本の水産バイヤーにとっては、白身原料の調達先が一つ増えるかどうかの分岐点になる。

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半年かけて生食基準に合わせたフィレを仕上げた

今回の初出荷は突発的な受注ではない。同社は日本の寿司・刺身向けという最も要求水準の高い用途に合わせ、養殖場の立地・水質、寄生虫対策、加工衛生、トレーサビリティまでを作り込んだうえで出荷にこぎつけた。生食用は加熱用と違い、原料段階から工程管理まで一貫した設計が問われる。Vo Van Phuc氏は日本の顧客から品質と食味への評価を得たとし、付加価値ティラピアの対象市場を米国・カナダなど日本以外にも広げる意向を示す。

対日輸出は上半期140万ドル、前年比54%増

ベトナム水産物輸出加工協会(VASEP)によると、2026年上半期のティラピアの対日輸出額は約140万ドル(1ドル≈157円換算で約2.2億円)で、前年同期比54%増となった。単月では6月が約20万ドル(約3,100万円)、前年同月比11%増。金額の絶対値はまだ小さいが、伸び率が突出している。ベトナムのティラピア輸出全体では、1〜5月に約6,200万ドルへと前年比で2倍超に拡大し、ブラジルが約3,400万ドルで過半を占める最大市場になっている。

対日輸出の中身(2026年上半期)

品目区分 HSコード 対日輸出額に占める割合
冷凍フィレ HS0304 67%
加工品(調製品) HS16 21%
その他冷凍魚 HS03 10%

冷凍フィレ(HS0304)が3分の2を占め、調製品(HS16)が2割に達し、フィレと加工品で9割近くを構成する。原料のまま出すのではなく加工品へ、という水産全体の流れが、ティラピアという新顔でも同じ形で進んでいる。

日本は量でなく質の基準を握る市場になる

日本の回転寿司・惣菜の白身は、タラ・ティラピア・パンガシウスなど輸入原料に支えられてきた。ここにベトナム産の生食対応ティラピアが加わることは、単なる産地の追加ではない。生食基準をクリアできる供給者は、加熱用しか出せない供給者とは交渉の土俵が違う。買い手からすれば、寄生虫管理とトレーサビリティを証明できる相手は価格が多少高くても切りづらい。逆に、初出荷の実績だけでは足りず、通年で同じ品質を刻めるかがこれから問われる。VASEP側も、日本市場はスライスフィレ・ポーションパック・味付け・即食といった高度な加工品開発の入り口になると分析する。パンガシウスが量産から加工へ舵を切った流れは越パンガシウスが量産をやめる日で追ったとおりで、対日輸出の戦略像は越ティラピアが回転寿司の主役になる日で整理した。今回の初出荷はその戦略が机上から現物に移った瞬間だ。

供給の裏付けは原魚をどこまで囲い込めるかで決まる

生食用フィレを安定的に出すには、契約養殖で原魚の質を揃える川上の設計が要る。タインホアでは全量買取契約で原魚供給を組む動きが出ており(整備工を辞めた34歳、タインホアで全量買取の契約ティラピア養殖へ)、加工の高度化と原魚の囲い込みは両輪で進む。日本のバイヤーが評価すべきは、加工工場の設備よりむしろ、その工場が原魚をどこまで管理下に置いているかだ。ベトナム産ティラピア全体はブラジル一国に過半を握られ、単価はコモディティ相場に引きずられやすい。日本向けの生食フィレはそれとは別の値付けが成り立つ領域で、大量・安値のブラジル向けと少量・高付加価値の日本向けを同じ会社が並行して回せるかに供給者の実力差が出る。ブラジル依存を薄めたい越側の事情は、品質と引き換えに安定した引き取りを約束すれば優先度の高い供給先に食い込める交渉余地でもある。中国が米国を抜いた構図(米国を抜いた中国が越水産の最大市場に)を踏まえれば、日本は量で競らず質で選ばれる立ち位置を取るのが現実的だ。

取引前に確認したい生食基準と通年供給

この初出荷は、数字の大きさより生食の土俵に上がったという事実に意味がある。取引を検討するなら、第一に生食基準の裏付け(寄生虫検査の頻度・凍結条件・トレーサビリティ記録)、第二に対日出荷が単発か通年計画か、第三にフィレのグレード区分とポーション・味付けなど二次加工への対応可否を早めに押さえたい。VASEP会員企業の輸出実績は協会サイトから照会できる。価格表だけで比較せず、生食基準を通年で満たせる供給者かどうかで相手を選び直す局面に入っている。

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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