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ベトナムのライスペーパー|戻し方・焼きアレンジ・本場タイニンの食べ方

生春巻きの皮としておなじみのライスペーパー。最近は水で戻して巻くだけでなく、焼いてお好み焼き風にしたり、チーズをのせてピザ風にしたりと、家庭でのアレンジが広がっています。米から作るためグルテンを避けたい人にも選ばれ、すっかり身近な食材になりました。

この記事では、ライスペーパーがどんな皮なのかという基本から、原料と種類、失敗しない戻し方、生春巻きや人気の焼きアレンジ、本場ベトナムの名産地と現地の食べ方、フォーやブンとのつながり、そして日本での買い方と選び方までまとめました。流行の「焼きライスペーパー」が、じつは本場ベトナムの料理にルーツを持つこともご紹介します。

目次

ライスペーパーとは|米から作る薄い皮「バインチャン」

ライスペーパーは、ベトナム語で「バインチャン(bánh tráng)」と呼ばれる、米から作る薄いシート状の皮です。水に浸した米をすり潰して乳液状にし、布の上に薄く丸く広げて蒸し上げ、竹のすだれに並べて天日で乾燥させて作られます。表面に見える網目模様は、すだれの跡です。小麦を使わないため、グルテンを避けたい人の選択肢としても親しまれています。

乾いた状態ではパリパリと硬く、半透明です。水やぬるま湯でさっと戻すと、しなやかでもちもちとした食感に変わり、具材を包めるようになります。なお、南部では「バインチャン」と呼びますが、北部では同じものを「バインダー(bánh đa)」と呼ぶこともあり、地域によって名前が変わります。

ライスペーパーの原料|米粉とタピオカ

ライスペーパーの主な原料は米です。ベトナムで主流の、細長くパラっとしたインディカ米が使われます。これに、しなやかさやもちもち感、透明感を出すためのタピオカでん粉と、塩、水を加えて作られます。タピオカはキャッサバという芋から取れるでん粉で、加熱すると強い粘りが生まれ、皮が破れにくくなります。麺の原料となる米について詳しくは、ベトナム米とST25の解説記事もご覧ください。

米とタピオカの配合は、商品や産地によって変わります。タピオカが多いものはよりもちもちと弾力が強く、米が多いものはあっさりと軽い口当たりになります。生春巻き用、揚げ春巻き用など、用途に合わせて配合や厚みが調整されています。原料はいずれも小麦ではないため、小麦不使用のものはグルテンフリーの食材として扱えます。

ライスペーパーの戻し方|失敗しないコツ

ライスペーパーをおいしく使う最大のポイントは、戻し方です。戻しすぎると、べたついて破れたり、皮どうしがくっついたりしてしまいます。コツを押さえれば、扱いやすくなります。

  • 水かぬるま湯を、平らな皿に浅く張る
  • 皮を1枚ずつ、全体をさっとくぐらせる
  • まだ少し硬いかな、というところで引き上げる
  • まな板やぬれ布巾の上に広げ、具をのせて巻く

戻す時間は数十秒で十分です。引き上げたあとも、具材の水分を吸って柔らかくなり続けるので、少し硬めで上げるのがちょうどよく仕上がります。一度に何枚も浸すとくっつくため、面倒でも1枚ずつ戻すのが失敗しないコツです。なお、焼いたり揚げたりして使う場合は、水で戻さずに乾いたまま調理する食べ方もあります。

水は、冷たすぎると戻りにくく、熱すぎるとやわらかくなりすぎます。ぬるま湯か常温の水が扱いやすく、厚みのある皮は少しだけ長めにくぐらせます。巻くときは、具材を入れすぎると破れやすいので、皮の手前に少なめにのせ、両端を折ってから手前にきつめに巻くと、きれいにまとまります。

ライスペーパーの使い方|生春巻きから人気の焼きアレンジまで

ライスペーパーの代表的な使い方は、なんといっても生春巻きです。戻した皮に、えびや豚肉、レタス、香草、ブン(米麺)などを巻いた料理で、ベトナム語では「ゴイクオン(gỏi cuốn)」と呼ばれます。さっぱりとして、たれにつけて食べるのが定番です。揚げ春巻きにも使われ、南部では「チャヨー(chả giò)」、北部では「ネムザン(nem rán)」と呼ばれます。揚げると、パリッと香ばしい食感になります。

近ごろ日本で人気なのが、巻く以外のアレンジです。乾いた皮に水をさっと塗ってから調理すると、もちもち、パリパリと、調理法によって食感が変わります。手軽に作れて、お酒のおつまみや軽食にもぴったりです。よく作られているアレンジを挙げてみます。

  • お好み焼き風|水を塗った皮に卵・キャベツ・青ねぎをのせ、フライパン弱めの中火で両面を焼く
  • ピザ風|チーズやベーコン、コーンをのせ、ふたをして弱火でチーズを溶かす
  • 餃子風|半分に折って具を包み、両面を焼いてパリッと仕上げる
  • カリカリおつまみ|小さく切って油で素揚げし、塩やチーズ、青のりをまぶす

焼くときは、皮の片面に水を薄く塗ってから具をのせると、もちもちに仕上がります。火が強いとすぐ焦げるので、弱めの火でじっくり焼くのがコツです。冷蔵庫にある具材で気軽に試せるのも、ライスペーパーが人気を集める理由です。

焼きライスペーパーのルーツは本場ダラット

日本で流行している「焼きライスペーパー」や「ライスペーパーピザ」。じつは、本場ベトナムにも、よく似た料理があります。それが「バインチャンヌオン(bánh tráng nướng)」です。

バインチャンヌオンは、ライスペーパーを炭火などで焼き、その上に卵やネギ、干しえび、ソーセージなどをのせた料理です。パリッとした食感と香ばしさから「ベトナム風ピザ」とも呼ばれ、中部高原の避暑地ダラットの名物として知られます。屋台で焼きたてを味わうストリートフードで、ダラット発祥とされています。日本で広まった焼きアレンジが、はからずも本場の食べ方に近づいているのは、おもしろいところです。ダラットはコーヒーの産地としても知られ、ベトナムコーヒーの解説記事でもふれています。

本場ベトナムの名産地・タイニン省

ライスペーパーの名産地として知られるのが、南部のタイニン省です。なかでもチャンバン地区は、独特の製法で作る高級ライスペーパーの産地として有名です。

この地で作られる「バインチャンフォイスオン(bánh tráng phơi sương)」は、名前のとおり、夜露にあてて仕上げる「夜露ライスペーパー」です。生地を軽く炙ったあと、夜明け前の湿った夜露にあてて、ほどよくしっとりさせます。水で戻さなくても、そのまま柔らかく巻けるのが特長です。手間のかかるこの製法は、2016年にベトナムの国家無形文化遺産に認定されました。製法の起源は、中部から移り住んだ人々が伝えたとも言われますが、はっきりとした記録は残っておらず、諸説あります。

ベトナムの屋台で愛されるライスペーパー料理

ベトナムでは、ライスペーパーそのものを主役にしたストリートフードが人気です。地域ごとに名物があり、若者のおやつとしても親しまれています。代表的なものを整理しました。

料理名どんな料理か発祥・特徴
バインチャンチョン刻んだ皮を干しえび・うずら卵・青マンゴー・調味塩・揚げネギで和えたサラダタイニン発祥とされる人気のおやつ
バインチャンヌオン焼いた皮に卵や具をのせた「ベトナム風ピザ」ダラット発祥のストリートフード
ゴイクオン戻した皮でえびや香草を巻いた生春巻き全国で定番のさっぱり料理

とくにバインチャンチョンは、タイニンで生まれ、学生のおやつから全国へ、さらに海外のベトナム人コミュニティへと広がった南部ストリートフードの代表格です。皮を主役にしたこうした料理は、生春巻きとはまた違うライスペーパーの一面を見せてくれます。

フォーやブンと同じ米の食文化

ライスペーパーは、ベトナムの豊かな米食文化が生んだ食品のひとつです。米を加工した食品には、ほかにもいくつもの仲間があります。

米麺のフォーは、米を乳液状にして薄いシートに蒸し上げ、細く切って作ります。シートを切らずに皮として使えばライスペーパーに、切れば麺になるという、近い製法から生まれた親戚のような関係です。フォーについては、ベトナムのフォーの解説記事でくわしく紹介しています。ほかにも、丸い断面の米麺ブンや、米を使ったお菓子など、ベトナムには米の加工食品が数多くあります。こうした多彩な米食文化を支えているのが、世界有数の規模を誇るベトナムの米づくりです。一枚の皮も、その豊かな稲作から生まれています。

日本でライスペーパーを買う・選ぶ

ライスペーパーは、日本でも手に入れやすくなっています。輸入食材を扱うカルディコーヒーファームや業務スーパー、コストコ、ドンキホーテ、一部の100円ショップなどで見かけます。アジア食材店でも扱いがあります。ただし、在庫は店舗によって差があるため、見つからないときは複数の店をのぞいてみるとよいでしょう。

選ぶときは、用途に合わせるのがコツです。生春巻きには戻しやすい標準的なタイプ、揚げ物にはパリッと仕上がるタイプと、目的で使い分けられます。グルテンを避けたい場合は、原材料の表示を必ず確認しましょう。米とタピオカが中心で小麦を使っていなければ、グルテンフリーの食材として使えます。ただし、小麦製品と同じ工場で作られている場合もあるため、厳密に避けたい人は、その旨の表示があるものを選ぶと安心です。ベトナム食材やお土産を探すときは、姉妹サイトのベトナム土産専門サイトもあわせてご覧ください。業務用にまとまった量を仕入れたい場合は、ベトナムから農産物を輸入するガイドお問い合わせもご利用ください。

ライスペーパーと春巻きの皮・ビーフンの違い

ライスペーパーは、見た目や名前が似たほかの食材と混同されがちです。原料や形がはっきり違うので、整理しておきましょう。

食材原料形・用途
ライスペーパー米粉・タピオカ薄いシート。生春巻きや揚げ春巻きの皮
春巻きの皮(中華)小麦粉四角いシート。中華の揚げ春巻き
ビーフン米粉丸く細い麺。炒め物やスープ

中華料理でおなじみの春巻きの皮は小麦粉から作られ、ライスペーパーとは原料が異なります。揚げたときの食感も別物です。同じ米から作るビーフンは「麺」であり、シート状のライスペーパーとは形も使い方も違います。米の食材どうしでも、それぞれに役割があります。

よくある質問

ライスペーパーは何からできていますか?

米から作られます。水に浸した米をすり潰して薄く広げ、蒸して天日で乾燥させた皮です。しなやかさを出すためにタピオカでんぷんや塩を加えるものが多く、米とタピオカの配合で食感が変わります。小麦を使わないものは、グルテンを避けたい人にも選ばれます。

ライスペーパーの戻し方は?

水かぬるま湯に1枚ずつさっとくぐらせ、まだ少し硬いところで引き上げます。引き上げたあとも具材の水分で柔らかくなるので、戻しすぎないのがコツです。一度に何枚も浸すとくっつくため、面倒でも1枚ずつ戻します。

ライスペーパーと春巻きの皮の違いは?

ライスペーパーは米から作る皮で、中華料理の春巻きの皮は小麦粉から作ります。原料が違うため、揚げたときの食感も別物です。ライスペーパーはもちもち・パリパリ、小麦の皮はサクサクに仕上がります。

ライスペーパーはどこで買えますか?

カルディや業務スーパー、コストコ、ドンキホーテ、一部の100円ショップ、アジア食材店などで手に入ります。ただし在庫は店舗によって差があるため、見つからないときは複数の店をのぞいてみるとよいでしょう。

ライスペーパーはグルテンフリーですか?

米とタピオカが中心で小麦を使っていなければ、グルテンフリーの食材として使えます。ただし商品によっては小麦が含まれたり、小麦製品と同じ工場で作られたりする場合があります。厳密に避けたい人は、原材料やその旨の表示を確認して選ぶと安心です。

まとめ|米から生まれた万能な皮ライスペーパー

ライスペーパーは、米から作る薄い皮「バインチャン」で、生春巻きの皮としてだけでなく、焼く・揚げる・和えると幅広く楽しめる万能な食材です。失敗しない戻し方を押さえれば、家庭でも扱いやすくなります。日本で人気の焼きアレンジは、本場ダラットのバインチャンヌオンに通じ、名産地タイニンには夜露で仕上げる伝統の皮もあります。フォーやブンと同じ米から生まれた食品であり、その背景にはベトナムの豊かな米づくりがあります。身近なスーパーでも手に入るので、巻くだけでなく、いろいろな食べ方を試してみてください。

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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