NÔNG NGHIỆP VIỆT NAM — TẠP CHÍ NÔNG NGHIỆP ĐÔNG NAM Á

収穫40日前に農薬を止めた園地、日本の買い手は何を見に行ったか

ベトナム北部ハイフォン市のライチ産地タインハーで、収穫の40日前に化学農薬をいっさい止めると生産者が申し合わせた、と現地の農業専門紙 Nông nghiệp và Môi trường が2026年9月24日付で伝えた。同じ連載の前編(9月23日付)には、300本の木から約1トンしか取れなかった区画のライチが1kgあたり40万ドンで買われた話も載っている。日本向けに果実や原料を仕入れる側から読むと、この2本は残留基準の解説ではなく「誰がいつ畑に立っているか」の記録だ。

目次

ハイフォンのライチ産地が「収穫前40日は農薬を使わない」と申し合わせた

決めたのは行政ではなく、ハドンの生産組

同紙が引くのは、ハドン(Hà Đông)社のライチ生産組で組長代理を務めるレー・ティ・アン氏の言葉だ。「収穫の40日前から化学農薬の使用をすべて止めることを、みんなで取り決めた。この時期は病害虫が出やすいが、タインハーの名前を守るために安全な側を選んだ」。40日という日数は、ハイフォン市が全域に課した規則ではなく、輸出向け産地の生産組の申し合わせとして紹介されている。取り違えると「ハイフォン産ライチはすべて40日前から無農薬」という話になってしまう。

「ゼロ残留」は基準名ではなく、ハイフォン市の運用方針

市側の枠組みを説明しているのは、ハイフォン市農業環境局のルオン・ティ・キエム副局長である。同紙によると市は「Zero Residue(残留ゼロ)」を掲げ、禁止成分は一切使わせない、生物農薬を優先する、収穫前の使用停止期間を厳格に守らせる、という三点を軸にしている。副局長は病害虫の早期予測と早めの指導、園地と包装施設への立ち入り検査まで踏み込んでいると述べている。方針の名前としての「ゼロ残留」と、検出下限まで本当にゼロという検査結果は別物だ。

栽培地コード198件・1,125ha、番号が付いた面積はどこまでか

5万トンの産地に対するコード付き面積

同紙は2026年産のタインハー産ライチの生産量を約5万トン見込みとし、日本・米国・オーストラリア・英国・フランスなどに出ていると書いている。そして輸出の「パスポート」として栽培地コードと包装施設コードが198件、対象面積が1,125haと記す。5万トンという数量と1,125haという面積は別の物差しなので、割って反収を出すのは避けたい。輸出に使えるのはコードの付いた区画から出た果実で、買い手に意味があるのは「うちに来るロットがどのコードの区画から出たか」だ。

中国のGB 2763改定が日本向け出荷にも回ってくる

同紙はEU・米国・日本がMRL(残留基準値)を下げ続け、多くの有効成分が0.01mg/kg水準まで絞られるか名簿から外されたとしたうえで、中国もGB 2763を更新し、125を超える有効成分について約600の残留基準を追加したと伝えている。中国は同紙が伝統的な大口の販売先と書く市場で、そこの基準が動くと産地の防除暦が書き換わる。日本向けだけを見ていても、実際に散布される薬剤の組み合わせは中国側の改定に引っ張られる。

項目 数値 出所
2026年産の生産量見込み 約5万トン 連載後編(9/24)
輸出用コード(栽培地・包装施設) 198件 連載後編(9/24)
コード対象面積 1,125ha 連載後編(9/24)
中国GB 2763の追加残留基準 約600項目/有効成分125超 連載後編(9/24)
厳格化されたMRL水準の例 0.01mg/kg 連載後編(9/24)
第35生産組の規模 100戸超・70ha超 連載前編(9/23)
トゥンホン種の成木 300本(2年前にウーホン種へ接ぎ木) 連載前編(9/23)
2026年産の同区画の収穫量 約1トン 連載前編(9/23)

1kg40万ドンのライチは、どの取引段階の値段か

300本・約1トンの小さなロットで付いた値段

連載前編には、タインハー社の第35生産組を率いるファム・バン・ザン氏の区画の話が出てくる。2年前にウーホン種の樹にトゥンホン(trứng hồng)種を接ぎ木した300本が結実期に入ったが、2026年は不作で全体の収穫が約1トンにとどまった。それが1kgあたり40万ドンで買い手に引き取られ、同紙は「これまでで最も高く売れたライチのロット」と書いている。為替は2026年9月26日時点で1円=約164.9ドン、40万ドンは約2,425円/kgにあたる。

産地の値段と小売を同じ表に並べると何が狂うか

この40万ドンは、同紙が「顧客が注文して買った」と書くだけで取引段階は明示されず、日本の店頭価格でも輸出FOBでもない。ここに日本の店頭の1パック価格を並べて倍率を出すと、選果・予冷・輸送・検疫処理・通関・国内配送の費用がすべて「利益」に見えてしまう。同じ産地でも、発泡箱で数十kg単位に積む一般品と贈答向けに1箱9粒で詰める品では、取引段階も梱包費も違う。単価を比べるなら、園地引き渡しなのか包装施設渡しなのかを相手に確認してから表にしたい。

金額 対象 同紙の書き方から読める段階
40万ドン/kg(約2,425円) トゥンホン種 約1トン分 顧客の直接注文(段階の明記なし)
年に数億ドン(1億ドン=約61万円) ライチの樹下で作る輸出用香草の売上 生産者の年間売上として記載

日本の買い手が園地に呼ばれたとき、現場で確かめられること

「常駐」ではなく収穫期に張り付く技術者

後編には輸出企業の動きが二つ出てくる。ロンドー(Rồng Đỏ)社のマイ・スアン・ティン社長は、数百戸から買い集めるのをやめて生産組づくりに寄せたと語る。同紙の写真説明では今季、日本の取引先をタインハーの生産現場の視察に連れて行ったとされている。アメイー・ベトナム(Ameii Việt Nam)社のゴー・ティ・トゥ・ホン社長は「買うだけでなく技術者を園地に張り付かせ、摘果・袋掛けから収穫までを指導している」と述べている。常駐ではなく、作業の節目に技術者を送り込んで貼り付かせる書き方だ。園地で見るべきは技術者の机ではなく、摘果と袋掛けの時期に人が入った痕跡のほうだ。

電子日誌は書式より、誰がいつ入力しているか

同紙はタインハー・ハドン・ハタイなどの社に地域営農支援組(Tổ Khuyến nông cộng đồng)が置かれ、生産者が電子日誌の記録を指導されていると書いている。書式が整っていることと、散布の当日に本人が入力していることは別だ。園地を歩くなら、最後の散布日と収穫日の間隔が日誌上でどう残っているかを、1区画分だけ画面で見せてもらうのが早い。栽培台帳を期限付きで整える動きはコーヒーでも進んでおり、ソンラ省が3万6千haを区分して台帳を作る事例と並べると、台帳が「誰のための記録か」で完成度が変わることがはっきりする。

20〜30kgの発泡箱から9粒のギフト箱へ、日本の仕入れはどう変わるか

ロットが小さくなると単価交渉の前提が変わる

前編のザン氏は、20〜30kgの発泡箱で売り急ぐのをやめ、防湿紙を敷いてトゥンホン種を9粒だけ詰める贈答箱を作ったと話す。1トンしか取れない年に高値が付いたのは、この詰め方と無関係ではない。日本側から見ると、原料用のバルクと贈答用の小ロットが同じ生産組から出る構造になりつつある。量を確保したいなら、贈答枠に食われる前に年間の枠取りを話すほうがいい。割当の順番で日本が後回しになる例は他の品目でも起きており、週5〜10コンテナが欧米向けで埋まっていたココナッツの事例が近い。

照射施設の新設提案が出てきた段階

ザン氏は循環型の取り組みに加えて、輸送費を抑えるためハイフォン市に照射施設を作るよう行政に提案していると同紙は書いている。提案の段階であり、着工や稼働の話ではない。検疫処理の場所が産地から遠いままなら、その費用と時間は最終的に単価に乗る。面積や認証の枚数より稼働している園地と処理の動線を見る点はマカダミアで4.6万ha超がありながら輸入が続いている状況と同じ読み方になる。

来季の商談で最初に頼むなら、収穫前40日の記録一式

まず出してもらう3点

次の作付けで動くなら、産地訪問より先に紙を頼むほうが速い。ひとつ、自分に来るロットに対応する栽培地コードと包装施設コードの番号。ふたつ、その区画の最終散布日と収穫日が並んで見える電子日誌の抜粋。みっつ、提示単価がどの取引段階のものかを書いた一行。この3点が出る相手なら、園地訪問は確認で済む。出ないなら、40日の申し合わせがその区画に及んでいるかから確かめ直すことになる。

行政名の変更を書類の宛先で照合しておく

同紙はタインハーを「ハイフォン市の社(xã)タインハー」と書き、所管を「ハイフォン市農業環境局」としている。産地名で過去の資料を探すときの行政名が変わっているので、契約書や検疫関係の宛先が古いままでないか先に突き合わせておきたい。

確認項目 頼む相手 形式
栽培地コード・包装施設コードの番号 輸出企業 ロットごとの一覧
最終散布日と収穫日の間隔 輸出企業経由で生産組 電子日誌の該当区画の抜粋
提示単価の取引段階 輸出企業 見積書への明記
摘果・袋掛け時の技術者の関与 輸出企業 作業日の記録または写真
贈答枠と一般枠の数量配分 輸出企業 年間の枠取り協議

参照元

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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