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ヴィンホアンの塩蔵パンガが最高賞、日本の白身魚代替に効くか

ベトナムのパンガシウス最大手ヴィンホアン(Vinh Hoan)が、塩蔵パンガシウスの冷凍調理品「Cured Panga Croquette」で、Seafood Excellence Asia 2026の最高賞を受賞した。授賞式は2026年9月2日、シンガポールのサンズ・エキスポ・コンベンションセンターで開かれたSeafood Expo Asiaの会場で行われた。白身魚の世界的な逼迫が続くなか、加工まで踏み込んだ越産パンガシウスが評価されたことは、白身魚の代替を探す日本の業務用・中食の調達にとって見逃せない材料になる。

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シンガポールの審査でヴィンホアンが1位に立った

Seafood Excellence Asiaは、見本市を主催するDiversifiedが、直近18カ月に発売されたアジアの優れた水産品を選ぶ賞だ。審査は、マレーシア・タイ・フィリピン・シンガポール・韓国の大手小売や業界専門家が担い、味わい、パッケージ、市場性、革新性、そして調理の手軽さの5つで各製品を評価した。ヴィンホアンの一品は、この審査を通過して最上位に選ばれ、会場のProduct Showcaseでも紹介された。

パンガシウスはこれまで、白身のフィレを安く大量に供給する原料として知られてきた。そのヴィンホアンが、フィレではなく調理済みの完成品でアジアの頂点を取った事実が、産地の狙いを映している。原料を売る立場から、食卓や店舗に近い製品を売る立場へ、供給元が軸足を移し始めている。

潰し芋をまとった塩蔵パンガのコロッケ

受賞した「Cured Panga Croquette」は、ASC認証を受けたパンガシウスを伝統的な塩蔵の手法で仕込み、なめらかに潰したじゃがいもと合わせ、黄金色の衣で包んだ冷凍のレディ・トゥ・クック(下ごしらえ済み)製品だ。調理は揚げる・焼く・ノンフライヤーで温めるのいずれにも対応する。塩蔵で下味と保存性を高め、コロッケの形にすることで、解凍してすぐ提供できる手軽さを持たせている。

ASC認証は、養殖の環境・社会面の基準を満たした証で、欧州や日本の小売が調達条件に挙げる例が増えている。認証原料に加工の付加価値を重ねた設計は、価格だけで競う原料輸出とは違う土俵をつくる。ASC認証をめぐる産地の動きは、カマウのエビ養殖組合がASC認証を取得した事例にも表れており、認証は輸出の通行証になりつつある。

18カ月ルールとアジア5カ国の審査員

今回の上位3品は、いずれも調理の手間を減らした加工品だった。順位は次の通りで、シンガポール勢を抑えてベトナムが首位に立った。

順位 企業(国) 製品
1位 ヴィンホアン(ベトナム) Cured Panga Croquette
2位 Lam Kee Fisheries(シンガポール) Japanese Curry Cod Cube
3位 Hai Sia Seafood(シンガポール) Kami No Ebi(エビ)

2位に日本風カレー味のタラ、3位に日本語名を冠したエビが並んだことも見逃せない。アジアの審査員が、和の味付けや日本市場を意識した製品を上位に評価した構図で、日本の外食・中食が求める方向と、産地の開発が近づいている。

日本の白身魚代替に効くのはどこか

日本側の示唆は、白身魚の逼迫という文脈で読むと鮮明になる。タラやスケソウダラなど従来の白身魚は世界的に取り合いが続き、価格も高止まりしている。越産パンガシウスは、フライやフィッシュサンド、惣菜の素材として、この隙間に入り込める。世界の白身魚不足がパンガシウスに開く余地は、白身魚の逼迫と外食調達の隙間を扱った記事で詳しく触れた。

コロッケのような完成品なら、店舗での仕込みを減らせるため、人手の足りない外食・中食との相性がいい。ASC認証がつけば、環境配慮を掲げるチェーンの調達条件にも合う。業務用で試すなら、まず塩蔵の塩分濃度と衣の吸油率、そして冷凍のまま調理できる歩留まりを、少量ロットで確かめる工程が現実的だ。

パンガシウスが量から質へ動く局面

ヴィンホアンの受賞は、産地全体の方向転換を象徴している。パンガシウスの対日輸出は、安いフィレを大量に送る段階から、加工度を上げて単価を取る段階へ移りつつある。加工品の比率が供給の余地を示す動きは対日輸出が量から質へ向かう分析にまとめた通りで、今回のコロッケはその延長線上にある。

原料のまま買うか、調理済みで買うか。日本のバイヤーにとって選択肢が増えることは、自社の加工工程や人員配置を見直す機会でもある。完成品を輸入すれば国内の加工コストを省ける一方、味付けの自由度は下がる。どちらを取るかは、店舗のオペレーションと原価の設計次第だ。

外食・中食の調達担当が試したい確認

越産パンガシウスの調理品を検討するなら、次の3手が実務的だ。第一に、ASC認証など環境・品質の証明書を製品ごとに取り寄せ、自社の調達基準に合うかを照合する。第二に、塩分・油分・解凍後の食感を、実際の店舗メニューを想定した少量テストで確かめる。第三に、フィレ原料と完成品の両方で見積もりを取り、国内加工を挟む場合と省く場合の原価を並べて比べる。白身魚が世界で取り合いになるいま、認証と加工をそろえた供給元は、価格交渉の前に検討する価値のある相手だ。

参照した現地報道

本記事はベトナム水産物輸出加工協会(VASEP)の報道をもとに、賞名と製品仕様を確認して構成した。

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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