NÔNG NGHIỆP VIỆT NAM — TẠP CHÍ NÔNG NGHIỆP ĐÔNG NAM Á

ダクハーのコーヒー2haが300ha集荷と4つ星OCOP4品になった

ベトナム中部高原のダクハー(Đăk Hà)で、コーヒー農家が自分の名前を冠した製品をOCOP4つ星に4品そろえた。ダンヴィエト紙が2026年11月5日に伝えた。主役はサウニュン農業生産商業協同組合(HTX Nông nghiệp Sản xuất và Thương mại Sáu Nhung)で代表(Giám đốc)を務めるNguyễn Tri Sáu氏(56)。1990年代に夫婦で2haを開墾した人物が、いまは家族で10haを持ち、別に約300haの原料エリアを束ねている。

日本の原料バイヤーにとって、この種の案件は「仲買を通さずに産地の協同組合と直接話せるか」という問いに直結する。生豆を船に積むだけの相手と、自社名のパッケージを持つ相手では、見積もりの出方が変わる。ベトナムのコーヒー輸出が数量を伸ばしながら金額で足踏みしている年に、この1件が何を示しているかを数字で追う。

目次

1991年にコーヒー会社の労働者だった男が81戸の豆を自社名で売っている

元記事によると、Nguyễn Tri Sáu氏は北部ハイズオンの出身で、1988年に兵役で旧コントゥム省に入った。1991年の除隊後はダクハーに戻り、コーヒー会社の労働者として働いた。独立のきっかけは1993年の結婚で、その2年後に夫婦でコーヒーを植え始めた。

2haの開墾から組合員32人・連携81戸までの道筋

  • 1988年:兵役で旧コントゥム省へ入る
  • 1991年:除隊してダクハーに戻り、コーヒー会社の労働者になった
  • 1993年:結婚し、自分の経済活動を組み立て始める
  • その2年後:夫婦で2haを開墾してコーヒーを植えた
  • 2012年:他の6人とサウニュン協同組合を設立(設立時7人)
  • 現在:正式組合員32人と生産連携81戸を抱え、サウ氏が代表を務める

設立から14年で、7人だった組織が組合員32人と連携81戸を抱える形になった。サウ氏自身の園地も開墾した2haから家族所有10haへ5倍に広げているが、組織としての伸びは周辺農家の収穫を集める側に移っている。元記事では10haは栽培技術を試す場として扱われている。

住所欄の省名が2025年7月に書き換わっている

この案件を調べるときに引っかかるのが地名だ。元記事は所在地を「クアンガイ省ダクハー(旧コントゥム省域)」と書いている。

  • 国会決議202/2025/QH15により、旧コントゥム省と旧クアンガイ省が統合された
  • 新しいクアンガイ省は2025年7月1日から運用が始まり、行政中心はクアンガイ市に置かれた
  • 2025年前半までに発行された規格書や産地書類には「Kon Tum」表記が残っている

認証が付いているのは51haだけ

面積の数字は4つ出てくるが、意味がまったく違う。開墾時の2ha、サウ氏の家族が所有する園地、協同組合が原料を集める範囲、そして第三者認証が載っている区画である。調達の話で効くのは最後のひとつだけだ。

4つの面積を混ぜずに読む

面積の種類面積何を指すか
開墾した最初の面積2ha1993年の結婚から2年後に夫婦で開いた
家族が所有するコーヒー園10ha現在の自己所有分。栽培技術を試す場として使っている
協同組合の原料エリア約300ha組合員32人と連携81戸から原料を集める範囲
VietGAP・HACCP取得区画51ha原料エリアのうち認証が載る部分

約300haは1枚の農場ではなく、組合が原料を集める範囲の合計だ。認証ロットを求めるなら、見るべきは51haの側になる。

反収3.5〜4.5トンの園地から市場価格より約15%高い値で買い取る

原料を集める側に回った組合が、どういう条件で豆を引き上げているか。元記事が数字で書いているのは反収と買取水準の2つで、どちらも相場に連動する性質のものだ。

買い取りの置き方と園地の土壌

  • 平均反収は1haあたり年3.5〜4.5トン
  • 買取価格は時期と作柄を見ながら、市場価格より約15%高い水準に置いている
  • 土壌は花崗岩質の砂質ロームが主体で、腐植に乏しい

市場価格に15%を乗せる建て方なので、相場が下がれば産地側の受取額も一緒に下がる。固定単価の年間契約を前提に話を始めると、最初の見積もりで噛み合わなくなる。

OCOPは4つ星までが省の認定、5つ星は国の審査に回る

OCOPは「One Commune One Product(一村一品)」の略で、ベトナムが農村の加工品に等級を付ける国の制度だ。日本の読者が「4つ星」と聞いてまず知りたいのは、誰が出した等級で、どこまで流通に効くのか、である。

基準を定めているのは首相決定26/2026/QĐ-TTgで、2026年5月22日から施行されている。それまでの決定148/QĐ-TTg(2023年2月24日)とその改正1489/QĐ-TTg(2025年7月6日)を置き換えたもので、旧2決定は新決定の施行から60日後に失効した。評価は省と国の2段階に整理され、県という評価主体は地方行政の2層制化とともに消えた。

点数帯と認定主体の対応

等級平均点評価・認定する主体証書の有効期間
5つ星90〜100点農業環境省が関係省庁と評価する36か月
4つ星70点以上90点未満省人民委員会36か月
3つ星50点以上70点未満省人民委員会36か月
2つ星30点以上50点未満認定決定を出さず、証書も交付しないなし
1つ星30点未満認定決定を出さず、証書も交付しないなし

4つ星は省が出す上限の等級で、ここから上は農業環境省の審査に回る。証書が36か月で切れる点は商談で効く。星の表示は取得年と紐づくので、3年前の資料に載っていた等級がいま生きているとは限らない。

サウニュンの5品はどこに入っているか

  • 4つ星:Tinh Coffee
  • 4つ星:cà phê sữa thượng hạng(高級ミルクコーヒー)
  • 4つ星:cà phê đặc biệt(特別品)
  • 4つ星:cà phê sầu riêng(ドリアン風味のコーヒー)
  • 3つ星:cà phê sâm(人参入りコーヒー)

4品が省の最上位に並び、5品目が3つ星で控える構成だ。生豆の単品ではなく、ミルク入り・フレーバー・薬用素材入りと用途を割っているところに、小売の棚を見て組んだ形跡がある。「Cà phê đặc biệt Sáu Nhung」は2025年に国レベルの農村工業代表製品(sản phẩm công nghiệp nông thôn tiêu biểu cấp quốc gia)にも選ばれている。

生豆165万トンの金額は1.5%減る一方で加工コーヒーは14%増えた

この1件を産地の美談で終わらせないために、業界の数字を当てておく。ベトナムコーヒー・カカオ協会(VICOFA)が2026年10月19日に出した2025/26年度(niên vụ)の輸出実績は、数量と金額の方向がはっきり分かれた。以下の数量・金額・増減はいずれも2025/26年度のものである。

数量は伸びたのに金額が付いてこない生豆

輸出の内訳数量金額前年度比
輸出合計180万トン85億ドル(過去最高)数量21%増/金額1%増
生豆(cà phê nhân xanh)165万トン70億ドル数量21.4%増/金額1.5%減
加工コーヒー(chế biến sâu)14万2,600トン15億ドル数量15%増/金額14%増

前年度の2024/25は150万トン超で84億ドル超、平均輸出価格は1トン5,610ドルだった。2025/26年度は数量を2割積み増しても金額は1%しか動いていない。単価が落ちた分を物量で埋めた年ということになる。

加工品は数量の8%弱で、金額の2割近くを持っていく

  • 加工コーヒーは輸出数量の8%弱にとどまる一方、金額では15億ドルを稼いだ
  • 生豆で10万トン超を出した企業は4社
  • 最大手ヴィンヒエップは約18万トンで8億3,600万ドル超、業界輸出額の10%を占めた

生豆の金額が縮み、加工品の金額が伸びる。産地の個人がOCOPの星を4つ取りにいく動機は、この差額のところにある。品質側の評価が付き始めていることは、ロブスタ品評会の国際枠10点中9点をベトナムが占めた件 とも重なる。

ロット上限を決めるのは300haではなく51haの側だ

サウニュンのような相手は、商社や仲買を飛ばして直接話せる可能性がある。ただし「協同組合だから一括で出せる」という読み方をすると、ロットの話でつまずく。

認証区画・ロット上限・買取の連動を突き合わせる

  • 原料エリア約300haの内訳。組合員32人の自作地と連携81戸では、品質管理の届き方が別だ
  • VietGAPとHACCPが載る51haの位置。反収3.5〜4.5トンを当てた単純計算では年178〜229トンが認証ロットの出発点になる
  • 買取が市場価格+約15%という建て方。産地側の原価が相場に連動して動く

トレーサビリティの書類をどこまで求められるかは、産地の台帳整備の進み方で変わる。同じ時期に動いているのがソンラ省がコーヒー3万6千haを3区分して台帳を作る動きで、区画単位の記録が省ぐるみで整う地域とそうでない地域の差は、今後の調達条件に出てくる。

交渉相手が「生豆の売り手」ではなくなっている

  • 相手は自社名のOCOP製品を5品持っており、生豆だけが収益源ではない
  • 4つ星は省が出す最上位で、国内流通と公的な販促枠に乗る条件を満たしている
  • 証書は36か月で切れるため、取得年と有効期限の確認が規格書のやり取りに入る
  • 原料側から製品側へ渡った生産者の例としては、ライチャウで家を売って茶工場を建てた生産者のような先行事例が各作物で出ている

生豆の値段だけを並べる商談は、この種の相手には刺さらない。逆に、日本側が加工の仕様や包材、小売向けの表示まで持ち込めるなら、OCOPの星を取るために組んだ製造ラインをそのまま使う話になる。

ダクハーに問い合わせる前に押さえる地名と組織名

確認する欄表記
組織名HTX Nông nghiệp Sản xuất và Thương mại Sáu Nhung(略称HTX Sáu Nhung)
代表Nguyễn Tri Sáu氏(56)/Giám đốc
所在クアンガイ省ダクハー(Đăk Hà、旧コントゥム省域)
設立2012年、発起人7人
取得認証VietGAP/HACCP(51ha)

4つ星が4品そろった2026年の時点で、認証が載る園地は51haである。組合が原料を集める約300haの2割に届いていない。

参照元

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

目次