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カマウ省BL9米がメコンデルタ初の美味しい米コンテスト優勝——エビ田んぼ育ち

2026年4月25日、ベトナム南部カマウ省フンヴオン広場で「メコンデルタ美味しい米コンテスト(Cuộc thi Gạo ngon Đồng bằng sông Cửu Long)」が史上初めて開催された。28サンプルが2ラウンドの審査を経て優勝したのは、カマウ省ヴィンロック社バーディン総合農業協同組合(Hợp tác xã Nông nghiệp Tổng hợp Ba Đình)が出品したBL9米。エビ養殖と稲作を同じ田で行う「ルア・トム(lúa-tôm)」方式で生産され、有機肥料と生物農薬のみが使用された。同時にカマウ省は、高さ18メートルの「三粒の稲」モニュメントと稲作博物館の設立計画も発表した。

目次

ニュース詳細

コンテストは「科学技術・文化・観光ウィーク(Tuần lễ Khoa học Công nghệ – Văn hóa, Du lịch)」の開幕イベントとして実施された。カマウ省党委員会副書記で人民評議会議長のファム・ヴァン・ティウ(Pham Van Thieu)氏が開会演説を行い、地域の稲作の歴史的価値と低排出農業への転換を強調した。

審査は2ラウンド構成。第1ラウンドでは原料粒の白さ・光沢・均一性・チョーク粒(白未熟粒)の比率を官能評価し、第2ラウンドで炊飯後の香り・白さ・光沢・粘り・硬さ・膨らみ・甘み・粒の整い方を比較した。28サンプルから絞り込まれたBL9米は、バーディン協同組合のノン・ヴァン・タック組合長(Nong Van Thach)が登壇し生産方法を説明した。

BL9米は、バクリエウ農業水産種子センター(現カマウ省農業種子センター)が長年の研究・選抜を経て育成し、2023年に流通承認を取得した品種。エビ養殖との共生で塩分耐性とミネラル豊富な土壌特性を活かし、化学肥料・化学農薬不使用での高品質米生産が可能となっている。

背景: ルア・トム方式とは

ルア・トム(rice-shrimp)方式は、雨季にコメを育て、乾季にエビ養殖を行う輪作・共生システム。カマウ省では約9万ヘクタールの田が「ルア・トム」として運営されており、塩分濃度の調整・田の透水性・有機物循環という3要素のバランスがコメの食味を決める。化学投入が制限されるため、自然と「クリーン米」が生まれる。

気候変動による塩水浸入の進行は、メコンデルタ西部のコメ作にとって脅威でもあるが、ルア・トム方式はこの脅威を逆手に取った持続可能モデルとして全国的に評価が高まっている。今回のBL9米優勝は、その代表事例として全国に発信される。

コンテスト概要・受賞情報

項目 内容
コンテスト名 メコンデルタ美味しい米コンテスト(第1回)
開催日 2026年4月25日
会場 カマウ省フンヴオン広場
参加サンプル 28品種
優勝 BL9米(バーディン総合農業協同組合)
生産方式 ルア・トム(稲+エビ)、有機肥料・生物農薬のみ
BL9承認年 2023年(流通承認)
カマウ省ルア・トム面積 約9万ヘクタール
同時発表 「三粒の稲」18mモニュメント・稲作博物館

業界・現地の反応

カマウ省党委員会のファム・ヴァン・ティウ副書記は「BL9の優勝はカマウのエビ稲モデルが食味でも全国トップクラスであることを証明した」とコメント。バーディン協同組合のノン・ヴァン・タック組合長は「契約農家の収入安定と若手の定住につながる結果」と述べ、組合員拡大を急ぐ方針を明らかにした。

カマウ省農業種子センターの担当者は「BL9は塩水浸入耐性と粒の質の両立が課題だったが、今回の優勝で品種の市場価値が大きく上がる」と語った。流通面でも、ベトナム国内の高級スーパー・百貨店ギフト用として価格プレミアムを乗せる動きが始まっている。地元観光業界も、稲作博物館との連動でアグリツーリズムを商品化する方針だ。

日本農業関係者・輸入業者への実務情報

BL9米は化学投入を抑えた「ナチュラル米」として、日本のオーガニック志向スーパー・百貨店ギフト・高級和食店向けに親和性が高い。特に銀座・京都の和食店向けに小ロット精米輸入し、産地ストーリーを訴求する形で差別化が可能だ。OEM視点では、レトルトおにぎり・冷凍米飯のプレミアムラインの原料として、ストーリー込みで採用するケースが増えると見られる。

輸入実務上の留意点は、ルア・トム米は塩分濃度が一般米より高い場合があり、寿司用・粥用としての適性は事前にロット別評価が必要。生物農薬使用といえども残留農薬検査・カドミウム検査は標準フローに組み込みたい。バーディン協同組合は組合員80世帯規模の段階だが、現地ベトナム種子センターと連携することで安定数量の確保は可能と見られる。

業界への波及

BL9優勝は、メコンデルタの低排出米プログラムにおいて「品質×サステナビリティ×ストーリー」の三拍子が揃った象徴事例となる。カーボンクレジットだけではなく、食味・農法・地域文化を商品価値に乗せるブランド戦略は、ベトナム米全体のプレミアム化を後押しする。日本の高度経済圏向けには、こうした「文化付き米」が単価競争を回避する突破口になる。

同時発表の18m稲モニュメントと稲作博物館は、農業観光の核として機能する。フエ・ホイアンに匹敵する文化観光地としてカマウを再ブランディングする動きであり、メコンデルタ全体の観光収入にもプラスに働く。

実用情報まとめ

項目 内容
品種 BL9
生産者 バーディン総合農業協同組合(カマウ省ヴィンロック社)
生産方式 ルア・トム(稲+エビ共生)
投入 有機肥料・生物農薬のみ
輸出可能性 日本の高級スーパー・百貨店・和食店向け
関連発表 稲作博物館・「三粒の稲」モニュメント
問い合わせ先 カマウ省農業種子センター・バーディン協同組合

まとめ

BL9米のメコンデルタコンテスト優勝は、エビ稲共生という独自の農法と地域ブランディングを結びつけた象徴的な勝利だ。化学投入抑制・気候変動適応・食味プレミアムの三つを兼ね備えた商材は、日本市場でも単価競争を超えた付加価値訴求の素材として活用余地が大きい。カマウ省全体としても、稲作博物館・モニュメント等の文化発信と連動することで、メコンデルタ観光のもう一つの核を形成しつつある。

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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