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寿司ネタのイカ・タコを日韓へ、越食品社が3,000万ドルを狙う

ベトナムの食品会社Liên Việt Xanh Food Groupが、寿司ネタ向けのイカとタコの加工品で日本・韓国市場に狙いを定めている。2026年の輸出売上目標は約3,000万ドル(約45億円、1ドル150円換算・概算)。上半期だけで約1,600万ドルを積み上げており、下期に残り半分を取りに行く計算だ。同社の会長兼社長Phạm Hồng Tuấn氏は、長年の操業で培った企業体力と、日本市場の厳しい基準を満たせる点を強みに挙げ、需要の改善が続くと見て、締結済みの受注を満たすだけの原料を確保していくと説明する。ベトナム発の水産ニュースをまとめたダントリ紙の報道から、対日・対韓で寿司ネタ調達を扱うバイヤー、外食チェーンの仕入れ担当が読み解くべき点を整理する。

目次

1社が寿司ネタで対日・対韓3,000万ドルを掲げた

Liên Việt Xanhが輸出しているのは、イカ筒(mực ống)、コウイカ(mực nang)、アオリイカ(mực lá)、そしてタコ(bạch tuộc)。いずれも寿司や刺身の握りネタ、軍艦、サラダ用スライスに回る一次加工品だ。同社はこれらを日本と韓国に絞って売り、2026年通期で約3,000万ドルを取りに行く。上半期の約1,600万ドルという実績は、単純計算で年間ペースに乗っており、目標が机上の数字ではないことを示す。

会長のTuấn氏は、締結済みの受注を満たすだけの原料を確保していくとしたうえで、当面の課題は資本と原料の手当てだと語る。相場任せの原料輸出ではなく、署名済みの注文に合わせて原料と生産を組み立てる加工輸出の発想が読み取れる。

原料のまま売る段階から、寿司ネタに仕立てて売る段階へ

この動きは、ベトナム水産全体の構造変化の一部だ。エビを筆頭に輸出は回復基調にあり、業界は2026年通期で121〜123億ドル(対2025年比8〜10%増)を見込む。1〜7月の累計はすでに約68.6億ドル(前年同期比11.5%増)に達し、うちエビが約27.8億ドル(同12.6%増)と全体の4割強を占める。

数量の伸びを牽引するのはエビだが、単価と利幅で効いてくるのが加工度だ。冷凍原料をそのまま船に載せるのではなく、皮を剥き、筒状に開き、寸法とグレードをそろえて寿司ネタとして納める。この一手間が価格を押し上げる。イカ・タコは白身魚ほど量が出る品目ではないが、握り一貫あたりの単価が高く、下処理の手間を外注したい日本の外食にとって加工済みの供給元は貴重だ。ベトナム産の付加価値化は原料輸出から加工へ舵を切るVASEPの方針とも重なる。

Liên Việt Xanhがエビではなくイカ・タコを主戦場に選んだ点にも意味がある。エビは輸出額こそ大きいが、それだけ大手が競い合い、価格競争も激しい。イカ・タコは市場規模が小さい分、握りネタとしての規格対応や安定供給で差がつきやすく、中堅企業でも特定市場を深く押さえれば存在感を出せる。日本と韓国という2市場に品目を絞る戦い方は、限られた原料と設備を集中投下して利幅を確保する現実的な選択だ。

検証済みの数値

項目 数値 補足
Liên Việt Xanh 2026年輸出目標 約3,000万ドル 約45億円(概算)/対日・対韓
同社 2026年上半期実績 約1,600万ドル 約24億円(概算)
ベトナム水産 2026年通期見通し 121〜123億ドル 対2025年比8〜10%増
同 1〜7月累計 約68.6億ドル 前年同期比+11.5%
うちエビ 1〜7月 約27.8億ドル 前年同期比+12.6%/全体の約41%

1ドル≒150円で円換算した概算。tỷ USD=10億ドル、triệu USD=100万ドル。出典はダントリ紙および各社報道。

日本の寿司・回転寿司・外食調達にどう効くか

回転寿司や居酒屋チェーンにとって、イカ・タコは通年で数量が読める定番ネタだ。国内の生イカ相場はスルメイカの不漁で不安定になりがちで、下処理の人手も確保しにくい。ここに、握りサイズにカットし歩留まりをそろえた加工品を安定供給できる海外の作り手が入る余地がある。Liên Việt Xanhが日本と韓国に的を絞っているのは、両国が寿司・刺身文化を共有し、イカ・タコの規格や食べ方の要求水準が近いからだ。1つのラインで両市場に出せれば、生産計画は組みやすくなる。

調達側が見るべきは価格だけではない。イカ・タコは水揚げの季節変動が大きく、原料の確保力がそのまま供給の安定に直結する。Tuấn氏自身が当面の課題に「資本と原料の手当て」を挙げている点は見逃せない。締結済みの受注を満たすだけの原料をどう確保するかが同社の生命線であり、長期の固定数量を約束する前に、原料の調達ルートと冷凍在庫の回転をどう管理しているかを確認したい。ベトナム産の寿司ネタ供給は魚種の広がりも進んでおり、白身ではエビ大手がティラピアを寿司ネタに仕立てる動きも出ている。イカ・タコと白身を組み合わせれば、1社からネタの幅を確保しやすくなる。

韓国という同時展開先が意味すること

対日と対韓を並行して攻める設計は、単なる販路の分散ではない。韓国もイカ・タコの消費が厚く、加工品の需要が読める。日本向けに整えた規格を韓国にも流用でき、片方の需要が落ちても他方で吸収できる。ベトナムの加工業者が韓国へ販路を広げる例は他品目でも増えており、法学部卒の生産者が薬草仕立ての巻貝を韓国へ出す事例のように、日本一辺倒を避ける動きが目立つ。日本の調達側からすると、供給元が対韓でも実績を積んでいることは、生産の平準化と経営の安定を測る材料になる。

ベトナム産イカ・タコの供給地図が広がる

加工と並行して、原料そのものを安定させる動きも進む。イカ・タコは天然の水揚げ頼みで年ごとの変動が大きく、これが供給の弱点になってきた。採捕依存から抜け出す養殖の試みも各地で立ち上がり、原料の裏付けが厚くなれば、Liên Việt Xanhのような加工輸出企業の供給計画も立てやすくなる。日本の調達担当が中長期で1社と組むなら、その加工品が天然原料に依存しているのか、安定調達の仕組みを持っているのかを見極めることが、数量約束の前提になる。

取引で押さえる実務ポイント

  • 原料の調達ルート(自社水揚げか買付か)と、季節変動をならす冷凍在庫の回転を確認する。
  • イカ筒・コウイカ・アオリイカ・タコの品目ごとに、握りサイズのカット規格と歩留まりを事前にすり合わせる。
  • 同社は資本と原料の手当てを課題に挙げている。需要期(年末・行楽期)の枠は早めに押さえ、原料確保の状況を確認する。
  • 対日・対韓の両建て出荷を前提に、日本向けラベル・規格の個別対応可否を詰める。
  • 目標3,000万ドルは通期計画であり、月次の供給余力は市況で変動する点を織り込む。

まとめ

Liên Việt Xanhの3,000万ドル計画は、ベトナム水産が「安い原料の供給地」から「寿司ネタの作り手」へ移る流れを、イカ・タコという具体的な品目で映し出している。上半期1,600万ドルという実績は目標の現実味を裏づける。日本の外食・回転寿司の調達担当にとっては、下処理の手間を外に出しつつネタの幅と価格を確保する選択肢が1つ増えたことを意味する。次の一手は、需要期の枠取りと原料調達ルートの確認から始めるのが現実的だ。

参照元

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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