ベトナムの果実加工大手Nafoods(ナフーズ)が、ザライ省の果実加工工場の第2期建設を2026年4月に完了し、6月から稼働させる。総投資7,440億ドン(約2,825万ドル、1ドル=156円換算で約44億円)、年間処理能力10万トンで、アジア最大のパッションフルーツ加工拠点を目指す。パッションフルーツの濃縮果汁やピューレは日本の飲料・製菓メーカーの調達対象でもあり、供給能力の一段の拡大はバイヤーにとって見逃せない動きだ。
第2期で年10万トン処理へ
Nafoodsの果実加工工場は、第1期(1,040億ドン)が2022年8月に完成済み。今回の第2期は6,400億ドン(約2,429万ドル)を投じ、2026年4月に建設を終えて6月に操業を開始する。敷地は1.3ヘクタール超で、第2期完成後の年間投入処理能力は10万トンに達する。
処理対象はパッションフルーツのほか、パイナップル・ドラゴンフルーツ・サワーソップ。約1,000トンの冷蔵保管能力を備え、パッションフルーツだけで年間約6万5,000トンの原料を消費する見込みだ。
「アジア最大のパッションフルーツ拠点」構想
Nafoodsはこの工場を「アジア最大のパッションフルーツ生産・加工拠点」に育てる方針を掲げる。同社は「フル稼働すれば年間最大10万トンのパッションフルーツを処理できる」としている。
パッションフルーツはベトナムの輸出品目として急伸しており、Q1の対欧州輸出が73%増の3,050万ドルでEU向け果物トップに立ったことが、加工能力増強の背景にある。ザライ省は中部高原のパッションフルーツ主産地で、原料調達と加工を近接させる立地だ。
投資と能力の整理
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総投資 | 7,440億ドン(約2,825万ドル/約44億円) |
| 第1期 | 1,040億ドン(2022年8月完成) |
| 第2期 | 6,400億ドン(建設完了2026年4月/稼働6月) |
| 敷地 | 1.3ヘクタール超 |
| 年間処理能力 | 10万トン |
| パッション原料消費 | 年約6万5,000トン |
| 冷蔵保管能力 | 約1,000トン |
| 処理対象 | パッションフルーツ・パイナップル・ドラゴンフルーツ・サワーソップ |
※1ドル=156円で円換算。
業績の裏付けと反応
増設投資は好調な業績に支えられている。Nafoodsの2025年第3四半期の純売上高は前年同期比75%増の約6,280億ドン(約2,384万ドル)、純利益は56%増の約440億ドンだった。1〜9月では売上1兆6,600億ドン、利益1,150億ドンを計上している。
同社は欧州・米国・日本・韓国・中東・豪州など5大陸70カ国超に展開しており、業界では「原料産地に隣接した大型加工拠点が、供給の安定性を一段引き上げる」との評価が出ている。親会社Nafoods Group(1995年設立)は加工子会社Nafoods Tay Nguyenの99.86%を保有する。
日本のバイヤー・流通への影響
パッションフルーツの濃縮果汁・ピューレは、日本の飲料・乳製品・製菓で需要がある原料だ。年10万トン規模の加工拠点が稼働すれば、対日供給の安定性と数量の確保がしやすくなる。
原料産地に隣接した立地は、収穫から加工までの時間を短縮し、品質のばらつきを抑える利点がある。冷蔵保管能力を備える点も、繁忙期の供給平準化に寄与する。
業界への波及
ベトナム中部・中部高原では果実加工投資が相次いでおり、AIGがメコンデルタにココナッツ加工第2工場を着工するなど、1次産品を国内で加工して付加価値を取り込む流れが広がっている。Nafoodsの増設はその象徴例だ。
パッションフルーツのように生果での日持ちが難しい品目ほど、加工拠点の充実が輸出競争力を左右する。アジア最大級の処理能力は、ベトナムをパッションフルーツ加工のハブへ押し上げる可能性がある。
まとめ
Nafoodsのザライ省第2期は、年10万トンという処理能力で「アジア最大のパッションフルーツ拠点」を狙う大型投資だ。EU向けで急伸する需要を取り込み、原料産地に隣接した加工で品質と数量を両立させる。日本の飲料・製菓バイヤーにとっては、濃縮果汁・ピューレの安定調達先がまた一つ厚みを増す。