ベトナムのSao Mai(サオマイ)が、クアンガイ省で5,000億ドン(約1,900万ドル、1ドル=156円換算で約30億円)を投じた農産物・ハーブ加工工場を稼働させた。年間1万トンの果実を処理し、欧州・米国・日本・韓国・中国へ輸出する。2,000ヘクタールの栽培地と工場を結ぶ閉ループ型バリューチェーンを掲げ、FSSC22000やHalal、FDAなど主要認証を取得済み。日本向けの加工果実・ハーブ調達において、認証を揃えた新たな供給元が立ち上がった。
1,900万ドル工場が稼働
クアンガイ省で2025年8月31日に落成したこの工場は、5,000億ドン(約1,900万ドル)を投じたもの。敷地は5万平方メートル超で、イタリア製の加工設備を導入している。年間処理能力は1万トン、想定年間売上は1億ドルとされる。
取得認証はFSSC22000、Halal、Kosher、GACC、FDAと幅広く、欧米・イスラム圏・中国それぞれの輸入要件に対応する設計だ。
農家と工場を結ぶ閉ループ
Sao Maiは、クアンガイ省内の2,000ヘクタールの栽培ゾーンと工場を直結させる。主要作物はパッションフルーツ・パイナップル・マンゴー・グアバで、収穫から加工・輸出までを一気通貫で管理する。
省人民委員会のグエン・ホアン・ザン委員長は「このプロジェクトは農家と企業を結びつけ、栽培・調達から加工・輸出までの閉ループ・バリューチェーンを築く」と述べた。原料産地と加工を近接させる発想は、Nafoodsがザライ省で進めるパッションフルーツ加工拠点とも共通する。
製品と能力の整理
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 投資額 | 5,000億ドン(約1,900万ドル/約30億円) |
| 落成 | 2025年8月31日 |
| 敷地 | 5万平方メートル超 |
| 年間処理能力 | 果実1万トン |
| 想定年間売上 | 1億ドル |
| 栽培ゾーン | 2,000ヘクタール(クアンガイ省内) |
| 取得認証 | FSSC22000・Halal・Kosher・GACC・FDA |
※1ドル=156円で円換算。製品は果汁・濃縮果汁・生果/ドライフルーツ・フリーズドライ冬虫夏草・果実/ハーブの発酵酒など。
現地の反応と雇用
工場は地元住民を数百人雇用し、少数民族の労働者も含む。平均月収は1,200万ドン(約455ドル)とされ、現地の所得向上にも寄与する。グエン・ホアン・ザン委員長が閉ループ構築の意義を強調したほか、ERPによる生産・サプライチェーン管理の導入も評価されている。
業界では「ハーブや冬虫夏草など高付加価値品まで取り込む点が珍しい」との声がある。果汁・濃縮だけでなく発酵酒やフリーズドライまで幅を持たせ、単価の高い製品で稼ぐ設計だ。
日本のバイヤー・流通への影響
FSSC22000やFDAを取得済みである点は、日本の食品メーカーが取引先を選ぶ際の前提条件をクリアしている。マンゴーやパッションフルーツの濃縮果汁、ドライフルーツ、フリーズドライ素材といった日本でも需要のある品目を、認証を揃えた一社からまとめて引ける利点がある。
2,000ヘクタールの自社管理ゾーンと結ぶ閉ループは、原料の品質と数量の安定につながりやすい。産地証明やトレーサビリティを重視する日本市場との相性は良い。
業界への波及
ベトナム中部では農産加工投資が続いており、クアンガイ省では養蚕復活の動きも出るなど、地域の1次産業が多様化している。Sao Maiのような大型加工拠点は、農家の出荷先を安定させ、地域の農業を「作って終わり」から「加工して輸出する」構造へ押し上げる。
Halalまで取得していることで、中東・東南アジアのイスラム圏も視野に入る。日本向けに加えて多市場展開できる体制は、需要変動への耐性を高める。
まとめ
Sao Maiのクアンガイ工場は、2,000ヘクタールの栽培地と結ぶ閉ループと幅広い国際認証を武器に、欧米日韓中へ加工果実・ハーブを送り出す。日本のバイヤーにとっては、認証を揃え高付加価値品まで扱う供給元が一つ増えた格好だ。マンゴー・パッションフルーツの濃縮やドライ、フリーズドライ素材の調達先として注目しておきたい。