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ベトナム産ドリアン、過去最高の45億ドルへ 中国が検査ラボを50に拡大

ベトナムのドリアン輸出が、2026年に過去最高の45億ドル(1米ドル=158円換算で約7,100億円)へ届くか、業界の目線が輸出額に集まっている。VnExpressが8月6日に伝えた目標値だ。追い風になったのは、中国税関総署が7月31日にベトナムの検査ラボ18カ所を新たに認定し、認定ラボが計50カ所に増えたこと。2025年に通関を詰まらせた検査体制のボトルネックが緩み、対中輸送の回転が戻りつつある。日本の冷凍ドリアン調達にも供給量と価格の両面で響く動きなので、数字を一つずつ確かめておきたい。

目次

検査ラボが18増えて計50に、2025年に詰まった通関が動き出す

2025年前半、ベトナムのドリアン対中輸出は失速した。複数の現地報道(SGGP、Produce Report など)によれば、中国側がカドミウムと黄色染料オーラミンO(塩基性黄)の残留を問題視して検査を厳格化し、検査ラボの一時停止と滞留で通関が遅れた。この間にタイが中国市場のシェアを取り戻し、ベトナムの数量は大きく落ち込んだと報じられている。

7月31日の18ラボ追加は、この検査容量そのものを広げる措置だ。認定ラボが50カ所になれば、カドミウムや染料の検査を出荷地に近い場所でさばけるようになり、国境での積み替え待ちが短くなる。VnExpressは、栽培地コードの発行にかかる日数を全面デジタル化で10日から3日へ縮めたことも併せて伝えている。検査と書類の両方で処理を速める設計で、8月から始まる収穫期の物量を通関に乗せ切る狙いが読み取れる。

45億ドルの中身、上半期11億ドルと8〜10月の山で積み上げる

目標額の内訳を追うと、無理のある数字ではない。2026年上半期の輸出は前年同期比32%増の約11億ドル(約1,740億円)。ここに、中部高原(セントラルハイランド)の8〜10月の収穫期が乗る。VnExpressは、前年の同時期は月あたり1億ドル近い、と伝えている。ベトナム産ドリアンの主産地と旬の構造はベトナム産ドリアンとは|産地・品種・旬と輸出の今で整理したとおりで、中部高原とメコンデルタで出荷の波が続くため、下半期に金額が集中する。

年ごとの伸びも押さえておく。2022年末に4億ドルで始まった対中の本格輸出は、2023年に22億ドル、2025年には38億ドルへと拡大した。2025年の38億ドルが従来の最高で、2026年の45億ドルはこれを約2割上回る挑戦になる。上半期の11億ドルと収穫期の山を足せば射程に入る、という組み立てだ。

指標 金額(USD) 円換算(1USD=158円)
2026年 輸出目標 45億ドル 約7,100億円
2025年 実績(従来の最高) 38億ドル 約6,000億円
2026年 上半期(前年比+32%) 約11億ドル 約1,740億円
2023年 実績 22億ドル 約3,500億円
2022年末 実績 4億ドル 約630億円
インド市場 初年度見込み 5,000万〜1億ドル/年 約80〜160億円

輸出の9割が中国、インド解禁で偏りをどう薄めるか

数字の裏側には偏りがある。VnExpressによれば、ドリアン輸出の約9割が中国向けだ。50ラボ体制で対中通関が速くなるほど、中国の検査基準ひとつで年間の輸出額が上下する構図は濃くなる。2025年の失速は、その脆さが表面化した局面だった。中国の需要拡大とベトナム農業への波及は中国ドリアン需要とベトナム農業への影響2024-2026で詳しく追っている。

偏りを薄める一手が、市場の多角化だ。インドは2026年7月にベトナム産生果ドリアンの輸入を解禁した。ベトナム果物野菜協会のダン・フック・グエン事務局長は、インド向けは初期段階で年5,000万〜1億ドルを生み得ると見込む。45億ドルの規模からすれば数%だが、中国一極への依存を一段ずつ下げる出口として意味がある。ベトナムの果物輸出全体の広がりはベトナムは南国フルーツの宝庫|産地・旬・品種でわかる果物ガイドにまとめてある。

日本の調達バイヤーが見るべきは、冷凍の玉と価格の振れ

日本のスーパーや通販で流通する冷凍ドリアンは、ベトナム産が相当量を占める。対中通関が速く回るほど、生果は中国市場へ優先的に流れ、日本向けの冷凍加工に回る原料の玉と価格が影響を受ける。2025年のように中国側の検査が締まる局面では、国内在庫が滞留して冷凍・加工への振り替えが増え、逆に対中がスムーズな年は加工向けの余地が細る、という綱引きになりやすい。

調達側の実務では、8〜10月の収穫期に中国向けの引きが強まる時期と、日本向けの発注・在庫のタイミングを重ねて読むのが手堅い。カドミウムやオーラミンOの残留基準は仕向け先ごとに違い、中国基準で弾かれたロットがそのまま他市場に回るわけではない点も、原料の素性を確認するうえで外せない。50ラボ認定で対中の検査データが積み上がること自体は、産地の品質管理の底上げにつながり、中期的には日本向けの品質の見通しも立てやすくなる。

45億ドルは需要頼みではなく、検査容量50ラボで取りにいく数字

2026年の45億ドルという目標は、需要頼みの願望ではなく、7月31日の18ラボ追加による計50ラボ体制と、栽培地コードの3日発行という処理速度で担保しにいく数字だ。ただし約9割の中国依存は残り、インド解禁は初年度で年5,000万〜1億ドル規模にとどまる。日本の調達バイヤーにとっては、この収穫期の対中通関の回り方が、冷凍ドリアンの玉と仕入れ値を左右する。8〜10月の対中出荷のペースを、自社の発注カレンダーに重ねて見ておきたい。

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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