NÔNG NGHIỆP VIỆT NAM — TẠP CHÍ NÔNG NGHIỆP ĐÔNG NAM Á

捨てるはずのコーヒー枝葉が資源に、越コーヒーの脱炭素が拓く商機

コーヒー農園で剪定した枝や葉、精製後に残る豆殻は、これまで畑の隅で燃やされるか放置されるだけの厄介者だった。ところがベトナムの主要産地では、この「捨てるはずのもの」を有機肥料へ作り替え、化学肥料の使用を抑えながら農家の収入まで押し上げる動きが広がっている。廃棄物を資源に変えるアップサイクルは、脱炭素と収益性を同時に満たす手段として定着しつつある。日本の調達・素材業界にとっても、この副産物の流れは見逃せない。

起点となった報道は、ベトナムのコーヒー産地で枝葉や豆殻を燃やさず堆肥化し、土に戻す取り組みを伝えている。焦点は二つ。ひとつは畑の外に出ていた炭素を土壌へ循環させて排出を減らすこと。もうひとつは、有機物が増えた土壌で品質と収量を保ち、農家の手取りを増やすことだ。廃棄物処理のコストを削るのではなく、廃棄物そのものを価値に転じる発想が現地で共有されている。

目次

越コーヒー産業が脱炭素へ舵を切る理由

ベトナムは世界有数のロブスタ生産国で、コーヒーは主力の輸出農産物のひとつだ。欧州連合の森林破壊防止規則(EUDR)をはじめ、輸出先が求める環境基準は年々厳しくなっている。産地証明やカーボンフットプリントの開示を求められる場面が増え、生産者は栽培方法そのものを見直さざるを得ない。

ここで注目されたのが、剪定枝・豆殻・家畜糞を組み合わせた堆肥化だ。従来は除草して裸地にしていた畑を、自然の草で覆う手法へ切り替える。草の被覆は土壌温度を下げ、有機物を増やし、保水性を高める。化学肥料の一部を自家製堆肥で代替できれば、購入コストと製造由来の排出を同時に減らせる。廃棄物の焼却をやめること自体が、煙とともに逃げていた炭素を土に留める効果を生む。

背景には、コーヒー価格の乱高下という構造的な悩みもある。豆の相場に手取りを左右されてきた農家にとって、外部から買う肥料を減らし、畑の中で資源を回す仕組みは経営の下支えになる。品質を落とさずコストを削れれば、相場が下がっても利益を残しやすい。脱炭素という国際的な要請と、農家の足元の採算という二つの動機が重なったことが、資源化を一過性の実験で終わらせずに広げている。

数値で見る資源化のインパクト

報道と各社の公表値をもとに、主要な取り組みを整理した。企業ごとに規模や指標の取り方が異なるため、単純比較ではなく傾向の把握として見てほしい。

主体 取り組みの規模・指標 ねらい
Nestlé Việt Nam 約23,000戸の農家と連携、栽培地約50,000ヘクタール。2011〜2025年に49万人以上を研修 再生農業の普及と排出削減
Vĩnh Hiệp社 1万戸超と連携、ロブスタ17,400ヘクタール超。生産量の約70%が国際認証を取得 認証取得とフットプリント管理
農家の収入変化 取り組み農家で収入が30〜150%増と報告 収益性の確保
Vĩnh Hiệpの排出係数 製品1kgあたり3.77kg CO₂e(ISO 14067基準) 数値による見える化

Nestlé Việt Namは2025年までに20%、2030年までに50%の排出削減、2050年のネットゼロを掲げる。数字の大きさより重要なのは、剪定枝や豆殻という「これまで数えていなかった資源」が削減と増収の両輪に組み込まれた点だ。

現地と業界の反応

Nestlé Việt Namは、100万本以上の苗木を再生栽培向けに供給し、長期の農家研修を続けてきたと説明する。単発の技術指導ではなく、土づくりから収穫までを一体で変える姿勢がうかがえる。

ロブスタ産地の輸出企業Vĩnh Hiệpは、生産量の多くをRainforest Allianceや4C、オーガニックなどの認証で裏づけ、製品あたりの排出係数をISO基準で算定していると公表する。買い手が求める「数字で示せる持続可能性」に応える構えだ。

ドイツの国際協力機関GIZは、小規模農家が炭素の価値を受け取れる「コミュニティ型カーボンの仕組み」づくりを支援していると伝えられる。堆肥化や草被覆で土に留めた炭素を、いずれ収益として農家へ還元する道筋を探る動きだ。現場の農家からは、堆肥化の導入後に収入が伸びたとの声が報じられている。

日本の健康茶・素材メーカーへの示唆

ここからは調達視点での考察になる。今回の報道が扱うのは主に肥料化だが、コーヒーの副産物は肥料以外の出口も持つ。乾燥させた果肉(コーヒーチェリーの外皮)は「カスカラ」と呼ばれ、ほのかな甘みと酸味を持つ茶系素材として海外で流通実績がある。葉を用いたコーヒーリーフティーも同様に、カフェインや香りを生かした飲料原料になり得る。

ベトナムのように大量の副産物が一箇所に集まり、しかも産地証明や認証の整備が進む地域は、こうした新しい茶系素材の供給源として有望だ。日本の健康茶・ボタニカル素材メーカーにとって、価格競争の激しいコーヒー豆そのものではなく、これまで捨てられていた枝葉・果肉に目を向けることは、原料の差別化とストーリー性の両方を手に入れる機会になる。廃棄物由来という背景は、環境配慮を打ち出したい国内ブランドの訴求とも噛み合う。

実際、カスカラは欧米ではドリンクや焼き菓子の原料として定着しつつあり、コーヒーの生産国が付加価値を国内に残す手段としても注目されている。ベトナムが枝葉や果肉を肥料に回すだけでなく、一部を食品グレードで乾燥・加工する体制を持てば、輸出できる新カテゴリーが立ち上がる。豆の値動きに依存しない収益源を産地に用意することにもなり、日本の買い手にとっては安定供給の面でも利点がある。

ただし食品用途では、乾燥・選別・残留基準の管理が肥料用とは別次元で求められる。堆肥用に集めた副産物をそのまま飲料原料に転用できるわけではない。収穫から乾燥までの時間管理を誤れば発酵やカビのリスクもある。現地の加工事業者と組み、食品グレードの一次加工から設計する視点が欠かせない。

業界への波及

副産物の資源化は、コーヒーに限らずベトナム農業全体で加速している。水産では、パンガシウス(ナマズ)の副産物をコラーゲンなどへ転用し価値を大きく高める動きが進む。コメの分野でも化学肥料を減らしながら利益を確保する低排出栽培が広がる。共通するのは、増産一辺倒から「残さを稼ぎに変える」設計への転換だ。

日本の調達担当にとって、この流れは二つの意味を持つ。ひとつは、環境対応が進んだ産地ほど輸出先の基準を満たしやすく、長期取引の相手として安定すること。もうひとつは、副産物という新カテゴリーが原料調達の選択肢を広げることだ。豆や果実といった主産物だけを見る調達地図は、そろそろ描き替える時期に来ている。

実用情報

副産物素材の調達を検討するなら、まず加工の実態を確かめたい。堆肥用か、食品グレードか、乾燥・保管の設備があるか。認証の有無だけでなく、副産物のトレーサビリティが取れるかも確認したい。少量からのサンプル取引で、香りや成分の安定性を国内で評価してから量を増やすのが現実的だ。現地パートナーには、コーヒー豆の輸出実績があり副産物にも関心を持つ企業を選ぶと話が早い。EUDRなど輸出先の規制に対応済みの産地は、日本向けでも書類整備がスムーズになりやすい。

まとめ

捨てられていたコーヒーの枝葉や豆殻が、肥料として排出削減と増収を同時に生む資源へ変わりつつある。この副産物の流れは、カスカラやコーヒーリーフティーといった新しい茶系素材の供給源にもつながり得る。日本の健康茶・素材メーカーと調達担当にとって、主産物の陰に隠れていた「残さ」は、差別化と環境配慮を両立させる次の一手になる。産地の脱炭素は、原料調達の地図を静かに書き換えている。

参照元

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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