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ソンラ省がコーヒー3万6千haを3区分、12月30日までに台帳を作る

ベトナム北部ソンラ省が、省内のコーヒー園をすべて洗い直す作業に入った。省農業環境局は9月23日と24日の2日間、林業地の上にあるコーヒーを棚卸しし、EUの森林破壊防止規則(EUDR)に沿った栽培地データを作るための会議を開いた。参加したのはコーヒー主産28地区の代表と、省内の一部の企業・協同組合。省が置いた期限は2026年12月30日で、この日付は日本の焙煎所や商社が来季のソンラ産コーヒーを引くときの交渉カレンダーになる。

目次

ソンラが48地区3万6,400haのコーヒーを地区ごとに洗い直す

2日間の会議で揃えたのは、区画の描き方と連携の手順

ソンラ省人民委員会は8月21日、林業地上のコーヒーの棚卸しと栽培地データ構築、トレーサビリティを進める計画231/KH-UBNDを出した。今回の会議はその実行版で、区画の描画、リモートセンシング画像を解読した地図を現地の見本と突き合わせる手順、調査ツールの使い方、リスク区分の評価方法が指導された。省農業環境局と各地区人民委員会の役割分担も、この場で統一されている。

試験棚卸しは2地区8,352haで、省全体の22.9%にあたる

2026年7月末時点で、省内のコーヒーは48の地区(xã・phường)に約3万6,400ha。うちナムラウ(Nậm Lầu)とムオンチャン(Mường Chanh)の2地区、8,352haで試験的な棚卸しが済んだ。8,352を3万6,400で割ると22.9%で、原文が示す比率と一致する。残るのは46地区の約2万9,000ha。当面は28の重点地区に絞り、その後48地区全域へ広げる段取りだ。

低・中・高の3区分で、ロットの売り先が分かれる

グループ1は輸出向けの優先リストに載る

低リスクは、区画が完全に農地の上にあり、3種森林の計画区域の外で、2020年12月31日以降に森林転換の変動がなく、農地使用の書類が適法に揃っているロット。この面積は、輸出向けにトレーサビリティを優先する栽培地リストに入る。省の計画は3区分いずれもこの2020年12月31日を判定の軸に置いており、境目より後に切り開かれた区画は高リスク側に落ちる。

グループ2は現地検査と書類の追完が条件になる

中リスクは、農地上だが林業地の計画区域に隣接している、2020年12月31日より前に植生被覆の変動の兆候があって追加検証が必要、土地使用の由来を示す書類が不十分——このいずれかに当たる区画。現地確認、書類整備、監視措置がセットで求められる。買い手には黒でも白でもない面積で、書類が間に合えばグループ1へ動く余地がある。

グループ3は法令上の処理に回り、欧州向けから外れる

高リスクは、3種森林の計画区域上にある、2020年12月31日以降に森林が転換・開墾された、画像解読で自然林や植林がコーヒーのために除かれたと確認された区画。計画上はEUDRの要件を満たす条件に足りず、土地法と林業法の規定に沿った処理の対象になる。どれだけの面積がここに入るのかは、棚卸しが終わるまで数字が出ていない。産地全体の供給量にどう響くかは公表待ちだ。

12月30日はソンラの期限で、EUDRが大・中規模事業者に及ぶ日と重なる

省の完了目標とEU側の適用開始が同じ日に並ぶ

記事にある12月30日はソンラ省が自ら置いた棚卸し完了の目標で、EUDRそのものの期限として書かれているわけではない。一方で欧州委員会の公式ページでは、EUDRは大規模・中規模の事業者に2026年12月30日から適用され、小規模・零細は2027年6月30日から、旧EU木材規則(EUTR)の対象だった小規模・零細は2026年12月30日からとされている。省の期限とEU側の初日がそろった形で、台帳が間に合うかが欧州向けの初年度に直接響く。

インスタントコーヒーは1年遅れの2027年12月30日から

欧州委員会によると、委任規則(EU)2026/2102で対象品目に追加された可溶性コーヒー(インスタント)、一部のパーム油派生品、冷凍の牛タンは2027年12月30日から規則の対象になる。焙煎豆・粉とインスタントで適用日が1年違うため、ベトナム産原料を使って欧州にも出す受託加工は、期日を分けて管理する必要が出てくる。

面積3万6,397ha・生豆4万トン、認証は延べ3万5,465ha

同じソンラ省農業環境局が7月に示した数字を並べる。

指標 数値 時点
コーヒー面積 36,397ha(48地区) 2026年7月末
生豆生産量(見込み) 約40,000トン 2026年
試験棚卸し済み 8,352ha(2地区・全体の22.9%) 2026年9月
残る棚卸し対象 約29,000ha(46地区) 2026年9月
持続可能認証と同等の認証(延べ) 35,465ha 2026年7月
有機に向けた生産 543.7ha 2026年7月
生産・加工に関わる企業・協同組合 28 2026年7月

単収は1haあたり約1.1トン、認証面積は「延べ」で読む

3万6,397haと約4万トンを割ると、1haあたり約1.1トン。認証面積の3万5,465haは延べの数で、同じ園地が複数の認証で重ねて数えられる。総面積とほぼ同じだからといって全域が認証済みとは読めない。有機に向けた生産は543.7haで、面積比では1.5%に届かない。

中央の共用データベースは無償で、使用は義務ではない

農業環境省の栽培・植物保護局で副局長を務めるNguyễn Quốc Mạnh氏は、同省が関わって作る栽培地データベースについて、地方と企業のEUDR対応を支える共用基盤であり使用は義務ではない、正式公表後は無償で提供して地方に分権すると説明している。企業が自前で作った原料地のデータを共用側に統合でき、ゼロから集め直す必要はないという。この仕組みは2024年1月からラムドン省とダクラク省で試験導入され、15万1,000haを超えるコーヒーでデータが集まった。

日本の焙煎所と商社が今季の交渉で確かめる4点

「EUDR対応済み」と一括で聞かず、区分と測位率を分ける

ソンラで欧州向けの比率が高いPhúc Sinh Sơn La社の総経理Vũ Việt Thắng氏は、年間生産量の約6割が欧州市場向けの輸出で、連携する農家の全戸に研修を行い、園地の65%をGPSで測位したと述べている。残る35%は測位が済んでいない。同氏はデータの行政共有に前向きな一方、管理・更新・利用の仕組みを早く統一して企業間の重複を避けるべきだとも求めている。買い手が聞くべきは「対応済みか」ではなく、測位の済んだ園地の比率と、自分が買うロットの区分の2つだ。

グループ1は欧州向けと取り合う面積になる

EUDRは日本への輸入に法的な義務を課す規則ではない。それでもグループ1が「輸出向け優先」として整備されると、供給元の内部に優先順位が生まれる。同じ園地から出るロットの行き先が欧州側の物差しで仕分けられるため、日本の買い手は適合ロットを選びやすくなる立場と、欧州向けと同じ面積を取り合う立場の両方に立つ。数量を先に押さえるか、区分が確定してから質で選ぶかで発注の時期がずれる。ソンラの生産者はライブ配信で直接販路を探る動きも見せており、ソンラの農家がスマホ販路を模索する現場と今回の台帳づくりは別方向から取引の透明度を上げている。深加工に寄せた例はカウダットの有機アラビカの深加工、産地データを現物の身分証に落とす試みは肥料袋にRFIDを付けたビンディエンの実験が比較材料になる。

37ドルと4,000ドン、単価は段階を必ず分ける

為替は2026年9月25日時点の1米ドル=158.68円、1万ドン=61.1円で筆算した。

価格 原文表記 円換算 取引の段階
ビックタオ協同組合のブルボン種 生豆 37 USD/kg(前年30 USD/kg) 約5,870円/kg 輸出向け生豆。条件(FOB/CIF)は原文に明記なし
同組合の焙煎粉 最大1,5 triệu đồng/kg(150万ドン) 約9,170円/kg 組合が示す到達水準。販売段階は原文に明記なし
2014〜15年のコーヒー(回想) 約4.000 đồng/kg(4,000ドン) 約24円/kg 畑先で農家が受け取る水準
同時期の摘み取り賃 3.000 đồng(原文に単位表記なし) 約18円 畑先の摘み取り賃。文脈は1kgあたり

37米ドル/kgはビックタオ協同組合が2025年に到達したブルボン種の輸出生豆の価格で、コモディティのアラビカ相場でも日本着の値でもない。同組合は特産コーヒーの97%を日本・ドイツ・米国・韓国など20カ国超へ出している。代表のNguyễn Xuân Thao氏が語る2014〜15年の4,000ドン/kgは畑先の農家手取りで、桁が3つ違う。見積の土台にするなら、畑先渡しか輸出生豆か日本着値かを先に確認する。

次の一手は、区分と測位状況を3点で聞く1通

12月30日を待つ必要はない。取引のあるソンラの輸出者や協同組合に、①買っているロットがグループ1〜3のどれに当たる見込みか、②該当園地のGPS測位が済んでいる比率、③省の台帳と中央の共用データベースに登録する予定があるか——の3点を1通で聞くところから始められる。省農業環境局は16の作業班を設置し、その任務期間を2026年11月30日までとしている。10月から11月は現場に調査の人手が入る時期で、具体的な答えが返ってきやすい。

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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