ベトナム南部メコンデルタで、ドリアン農家が原価割れの価格で出荷を強いられている。中国向け輸出でカドミウムが検出されて検査が厳格化し、買い付けが滞ったことが引き金となった。主力品種Ri6の卸値は1kg2万〜3万ドン(約120〜180円)まで落ち込み、生産コストの約3万3,000ドン(約200円)を下回る水準に達している。農家は契約を反故にされ、収穫物を路上で売りさばく事態となっている。
旧正月の3分の1以下、Ri6は卸2〜3万ドンに
ベトナムメディアの報道によると、ドンタップ省やカントーでは買い付け価格が急落している。Ri6種は旧正月(テト)時期に約9万ドンだったものが、現在は卸で2万〜3万ドンまで下げた。モントン種も以前の11万ドンから7万〜8万ドンに後退している。路上の小売でも3万〜5万ドンにとどまり、生産コストを賄えない農家が続出している。
価格下落の構図——価格テーブル
| 区分 | 以前 | 現在 | 円換算(現在) |
|---|---|---|---|
| Ri6(卸) | 約90,000ドン(テト時) | 20,000〜30,000ドン | 約120〜180円 |
| モントン(卸) | 110,000ドン | 70,000〜80,000ドン | 約420〜480円 |
| 路上小売 | — | 30,000〜50,000ドン | 約180〜300円 |
| 生産コスト | — | 約33,000ドン | 約200円 |
※円換算は1,000ドン=約6円で計算した参考値。
カドミウム検出が招いた輸出停滞
下落の直接の引き金は、中国向けの複数ロットでカドミウムが検出されたことだ。中国側の警告を受けて出荷前の検査が厳格化し、ラボでの不合格が相次いだ。仲買人が複数農家のロットを混載する慣行が、出荷前検査での原因特定を難しくしているとも指摘されている。中国市場への依存度が高い構造が、検査強化の影響をそのまま価格に波及させた。
背景にある作付け面積の急膨張
ドンタップ省は栽培面積3万2,000ha、うち約2万2,000haが結実期に入り、年間50万トン超を産出する。5〜6月だけで11万トンの収穫が見込まれていた。カントーも約1万3,000ha・年間約9万5,000トンを抱える。全国では作付けが15万haを超え、2030年の計画目標を2025年時点で前倒しで倍増させた格好だ。品質の標準化が追いつかないまま面積だけが拡大した構図が、供給過剰と価格崩落を招いた。
日本のバイヤー・流通への示唆
ベトナム産ドリアンの調達を検討する流通・バイヤーにとって、価格の安さだけで産地を選ぶリスクが浮き彫りになった。残留検査をクリアできるロットを安定的に確保できるか、トレーサビリティが整った栽培園・コードと取引できるかが、調達可否の分かれ目になる。仲買経由の混載ロットは検査リスクが高く、栽培園単位で履歴を追える供給網の価値が相対的に高まっている。
まとめ
カドミウム検出という品質問題が、面積過剰と中国依存という構造的な弱点を一気に表面化させた。ベトナム産フルーツが量から質へ転換できるかどうか、ドリアンはその試金石になっている。トレーサビリティと検査体制の整備が、次の輸出シーズンの明暗を分ける。
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