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HAGL、世界最大2万haの直営コーヒー農園へ――ラオス・ベトナム跨ぎで加工まで垂直統合し売上713億円構想

ベトナムの大手アグリ企業ホアンアインザライ(HAGL)が、2028年までに2万ヘクタール規模の直営コーヒー農園を整え、世界最大級の単一管理農園を目指す構想を打ち出した。栽培にとどまらず焙煎・インスタント・カスカラ茶まで自社で手がける垂直統合モデルで、コーヒー部門だけで年間売上18兆7,500億ドン(約713億円、1ドル=156円換算)を見込む。生豆中心の調達に頼ってきた日本の流通・バイヤーにとって、産地直結の新しい仕入れ先が立ち上がる動きだ。

目次

HAGL会長が示した「世界最大農園」構想

HAGL会長ドアン・グエン・ドゥック氏は、2026年3月16日のセミナーで2028年までに直営コーヒー農園を2万ヘクタールへ拡大する計画を発表した。これが実現すれば、既存最大とされるホライズン・プランテーションズの14,656ヘクタールを上回り、単一企業が直接管理する農園として世界最大級になる。

このうち約15,000ヘクタールをラオス・チャンパサック省パクソン地区でアラビカ栽培に充てる。アラビカは1ヘクタールあたり4,700本、ロブスタは3,150本という高密度植栽で、湿式処理と発酵制御を組み合わせて品質を引き上げる方針だ。

「作って終わり」にしない垂直統合の中身

今回の構想で目を引くのは、栽培だけでなく加工の川下まで取り込む点だ。1兆ドン超(約3,805万ドル)を投じる加工施設で、生豆・焙煎/挽き豆・インスタントやカスカラ茶といった精製品まで一貫生産する。

年間の生果実処理量は約56万5,000トン、コーヒー殻を再利用するカスカラの処理能力は72,743トンを計画する。副産物だったコーヒー殻を商品化する流れは、ベトナム国内でもコーヒー殻から「カスカラ茶」へと価値転換する取り組みが先行しており、HAGLはそれを大規模に取り込む格好だ。

売上713億円の内訳――精製品が稼ぐ設計

コーヒー部門の想定売上18兆7,500億ドンの内訳は、付加価値の高い加工品に重心を置いている。生豆依存から脱却する設計が数字に表れている。

区分 構成比 金額(米ドル換算)
生豆 64.1% 約4億5,746万ドル
焙煎・挽き豆 17.2% 約1億2,244万ドル
精製品(インスタント・カスカラ茶等) 18.7% 約1億3,323万ドル
合計 100% 約7億1,305万ドル(約1,112億円)

※1ドル=156円で円換算(以下同)。加工施設投資は1兆ドン超=約3,805万ドル(約59億円)。

金融・研究機関を巻き込んだ実行体制

大規模農園の運営には資金と技術の裏付けが要る。HAGLはオリエント商業銀行(OCB)と組み、栽培技術では西部高原農林科学研究所(WASI)と連携する。

業界では「生豆輸出に偏ってきたベトナムが、ようやく深加工で稼ぐ段階に踏み込む」との見方が広がる。実際、Intimexがホーチミンにフリーズドライコーヒー工場を計画する動きとも軌を一にしており、産地企業が川下を取りに行く流れが鮮明だ。3月の2026年初動のコーヒー輸出が前年比14%増で立ち上がった追い風も、こうした大型投資を後押ししている。

日本のバイヤー・流通への影響

日本のコーヒー流通にとって、HAGLの垂直統合は「単一の作り手から生豆も加工品もまとめて引ける」窓口が増えることを意味する。トレーサビリティを社内で完結させる体制は、産地証明や残留農薬管理を重視する日本市場と相性がよい。

一方で、ラオス産アラビカが主力になる点は留意したい。原産地表示や関税ルートがベトナム産とは異なる場合があり、調達設計の段階で確認が必要になる。

業界への波及

2万ヘクタール級の直営農園が稼働すれば、ベトナム・ラオス国境地帯のアラビカ供給量が一段と厚くなる。これまで小規模農家からの集荷に依存してきた取引構造が、企業主導の大ロット供給へと移る可能性がある。

カスカラのような副産物の商品化が大規模化すれば、コーヒー1次産地の収益構造そのものが変わる。生豆価格に左右されにくい事業体が増えることは、長期契約を結びたいバイヤーにとって安定調達の選択肢になる。

主要数値の整理

項目 内容
目標農園面積 2万ヘクタール(2028年まで)
うちラオス・パクソン 約15,000ヘクタール(アラビカ)
年間生果実処理量 約56万5,000トン
カスカラ処理能力 72,743トン
加工施設投資 1兆ドン超(約3,805万ドル)
コーヒー部門想定売上 18兆7,500億ドン(約713億円)
連携先 OCB(金融)/WASI(研究)

まとめ

HAGLの構想は、ベトナム・ラオスのコーヒー産地が「生豆を売る場所」から「最終製品まで作る拠点」へと変わる象徴的な一手だ。2028年に向けた農園拡大と加工投資が計画通り進めば、日本のバイヤーは産地直結で生豆から精製品まで引ける新たな調達先を得る。ラオス産の比率が高い点だけ、原産地・関税ルートの確認を前提に動きたい。

参考

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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