ベトナムの小売大手が、地場農産物を農協や小規模農家から直接調達する動きを加速させている。サイゴンCo.op(Saigon Co.op)やCentral Retail Vietnamが、VietGAP・有機・OCOP認証の産品を近代流通網に取り込むプログラムを相次いで拡大。品質認証や産地表示のある産品を優先する姿勢を打ち出している。スーパー各社が国産・協同組合製品の販路となる構図が鮮明になってきた。
サイゴンCo.opが「クリーン農産物同行」プログラム
2025年末、サイゴンCo.opはホーチミン市農民協会と組み、「クリーン農産物に寄り添う(Accompanying Clean Farm Produce)」プログラムを立ち上げた。VietGAP・有機・OCOP認証の産品を傘下のCo.opmart店舗で流通させる取り組みだ。サイゴンCo.op副総裁のDuong Minh Quang氏は、このモデルを系列の店舗網へ段階的に広げる方針を示している。
Central Retailは協同組合からの調達を拡大
Central Retail Vietnamは、地域の協同組合や小規模農家からの仕入れを強める「コミュニティ生計プログラム」を拡張している。同社によると、現在ベトナム国内で11のプロジェクトを運営し、2026年の最初の4か月で約10トン・3億3,000万ドン超(約13,000米ドル=約200万円)の産品を調達した。品質認証・明確な産地・OCOP基準・認証栽培地を持つ産品を優先するとしている。
調達実績の概況——データテーブル
| 項目 | 内容 | 円換算 |
|---|---|---|
| Central Retail プロジェクト数 | 11件(ベトナム国内) | — |
| 調達量(2026年1〜4月) | 約10トン | — |
| 調達額(同) | 3億3,000万ドン超(約13,000米ドル) | 約200万円 |
| サイゴンCo.op 起点 | Co.opmart店舗で展開、系列へ拡大 | — |
※円換算は1米ドル=約155円で計算した参考値。
WinCommerceなども含む業界トレンド
この動きはサイゴンCo.opやCentral Retailに限らない。WinCommerceなど他の小売チェーンも、OCOP産品や地方特産品を全国の店舗網で扱うプログラムを拡大している。近代流通網に地場・協同組合製品を統合する流れが、ベトナム小売業界全体に広がっている。
生産者側に残る販路構築の壁
一方で、多くの農業事業者は安定した販路の構築に依然として苦労している。Central Retailは「協同組合や事業者が産品を近代流通に乗せるための支援に常に応じる」とする一方、優先するのは品質認証・産地明示・OCOP基準・認証栽培地を備えた産品だ。認証取得や産地トレーサビリティが、近代小売へのアクセスの実質的な条件になりつつある。
日本のバイヤー・流通への示唆
ベトナム小売がVietGAP・OCOPの認証産品を選別調達する流れは、日本のバイヤーにとっても産地評価の指標になる。近代流通網に採用される産品は品質履歴が整っている可能性が高く、輸入・PB開発の際の一次スクリーニングに使える。協同組合単位で認証を取得した産地は、安定供給と品質の両面で取引候補になり得る。
まとめ
ベトナムの小売大手が地場農産物の囲い込みを強めることで、認証を持つ協同組合・小規模農家に新たな販路が開けつつある。量販ルートに乗るための条件は明確で、VietGAP・OCOPなどの認証と産地トレーサビリティだ。生産者の認証取得が進むほど、国内外の調達網に組み込まれる可能性が高まる。
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