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ベトナム青果輸出Q1で31%増の15.3億ドル――ドリアン・バナナ・ポメロの品目別バリューチェーンが10億ドル目標を引っ張る

ベトナムの青果(果物・野菜)輸出が2026年第1四半期に前年同期比31.4%増の15.3億ドルに達した。中国需要に加え、米国・日本・欧州への出荷が伸びた。年100億ドルの目標達成のカギは、マクロな数字ではなくドリアン・バナナ・ポメロ・ココナッツといった品目ごとの閉ループ・バリューチェーンをどこまで作り込めるかにある。本稿はこの品目別の供給構造に絞って、日本のバイヤー・流通が読むべき変化を整理する。

目次

Q1の起点――15.3億ドルの中身

ベトナムの青果輸出は2026年Q1に31.4%増の15.3億ドルとなった。けん引役は中国需要だが、米国・日本・欧州への出荷拡大も寄与している。当局は、ドリアン・バナナ・ポメロ・ココナッツといった主力品目を閉ループ・バリューチェーンで育て、既存の輸出議定書を有効活用できれば、2026年に100億ドルへ届くとの見通しを示す。

注目すべきは、数量や金額の総和ではなく、品目ごとに「誰がどう作り、どの市場の規格に合わせるか」という供給設計が成否を分ける段階に入った点だ。

ドリアン――議定書活用で量と単価を両取り

Q1のドリアン輸出額は約2億2,200万ドルで前年同期比127.8%増と突出した。生果に加え冷凍が伸びており、市場別の議定書を使い分ける戦略が効いている。トレーサビリティを栽培地コードで管理し、土壌から出荷まで一気通貫の「グリーンレーン」で中国向けの通関を速める取り組みが進む。

その一方で、検査強化が需給を揺らすリスクも残る。韓国向けが262%急伸し冷凍が20倍に膨らんだことが示すように、市場を分散させてバリューチェーンの耐性を高める動きが鮮明だ。

バナナ――「ヘクタール単価」で稼ぐ設計へ

バナナは品目別バリューチェーンの好例だ。2026年初には南米系キャベンディッシュ11コンテナ・220トンが日本・韓国・中国へ出荷された。U&Iアグリカルチャー(Unifarm)のファム・クオック・リエム会長は、現状約3億8,000万ドルのバナナ輸出について「ヘクタールあたりの輸出額を年2万5,000ドル程度まで引き上げられれば、将来38億ドルに届く」と語る。

同社は市場ごとの認証に都度合わせるのではなく、生産チェーン全体に統一した品質基準を通す手法を採る。2016〜17年に広がったパナマ病への対策として、耐病性品種UNI126のような自社開発も進めている。日本・韓国向けには残留農薬規制の順守が前提となる。

品目別バリューチェーンの比較

品目 Q1動向・規模 バリューチェーンの要点 主な市場
ドリアン 約2億2,200万ドル(+127.8%) 栽培地コード+グリーンレーンで通関短縮、冷凍で市場分散 中国・韓国
バナナ 輸出額約3億8,000万ドル 統一品質基準、ヘクタール単価2.5万ドル、耐病性品種 日本・韓国・中国・豪州
青皮ポメロ 豪州初出荷(5トン空輸+約11.9トン海上) GlobalGAP・有機肥料転換で安定買取 豪州・米国・中国
ココナッツ 議定書発効で拡大局面 加工拠点増設で付加価値化 中国・米国

※金額は2026年Q1基準。為替は1ドル=156円換算(本文中の円換算同様)。

ポメロ――豪州開拓を支えたGlobalGAP転換

青皮ポメロは2026年4月13日、ヴィンロン省・ドンタップ省から豪州へ初出荷された。約2年の交渉を経た解禁で、Blue Ocean社が約5トンを空輸(kgあたり約7ドル)、Vina T&T社が約11.9トンを海上輸送した。

この開拓を支えたのが、栽培現場のバリューチェーン整備だ。サプライチェーンに参加しGlobalGAPを適用する過程で、農家は有機肥料・生物農薬への転換と食品安全規定の順守を迫られた。その結果、買い取りが安定し市場リスクが下がった。ヴィンロン省は青皮ポメロだけで約13,800ヘクタールを抱える主産地で、対米輸出でも前年比6割増と拡大フェーズにある。

日本のバイヤー・流通への影響

品目別に見ると、日本向けで現実味があるのはバナナとポメロだ。バナナは日本・韓国向けの残留農薬規制を前提に統一基準で作る生産者が増えており、規格の安定した玉を確保しやすくなる。ポメロは豪州・米国の厳しい市場を通したGlobalGAP対応園が育っており、日本向けにも品質の裏付けが取りやすい。

仕入れの観点では「総額がいくら伸びたか」よりも、「どの生産者がどの認証チェーンで作っているか」を見極めることが重要になる。閉ループで作られた玉ほど、数量と品質のブレが小さい。

業界への波及と10億ドル超への道

当局が示す100億ドル目標は、マクロの追い風だけでは届かない。ドリアンの議定書活用、バナナのヘクタール単価向上、ポメロのGlobalGAP転換という品目ごとの作り込みが積み上がって初めて現実になる。価格暴落のリスク(中国検査強化による国内オーバーサプライ)を避けるためにも、市場分散と閉ループ化が共通課題だ。

日本市場は数量より品質と安定供給を求める。品目別バリューチェーンが整うほど、日本向けの取引は数字の上下に振り回されにくくなる。

まとめ

Q1の31.4%増という総額の裏では、ドリアン・バナナ・ポメロがそれぞれ異なるバリューチェーン戦略で輸出を押し上げている。100億ドル目標の達成は、マクロ数字ではなく品目ごとの供給設計にかかっている。日本のバイヤーは、伸び率の大小よりも「どの認証チェーンで作られた玉か」を軸に、バナナとポメロを中心に調達先を見極めたい。

参考

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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