2026年のベトナム産ライチは記録的な不作に見舞われながら、買取価格は過去最高を更新した。暖冬と長雨で花芽形成が乱れ、序盤の収量は前年比35〜50%減。一方で農家からの買取価格は1kg5万〜9万5,000ドン(約300〜570円)と史上最高に達した。6月初旬には初の対米輸出が実現し、米国の店頭では1kg約78万ドン(14〜15米ドル/ポンド)の高級品として並んだ。
収量は前年比半減、暖冬が直撃
2026年のライチは全国で栽培面積約5万5,000haを抱えるが、序盤の収量は8万5,000〜9万トンと前年比35〜50%減となった。バクニン地域は約9万5,000トン(目標の59.5%、2025年の21万5,000トンから大幅減)、ハイフォン地域も約5万5,000トンと前年を下回る。暖冬で歴史的平均を0.5〜1℃上回る気温が続き、2月下旬から3月の長雨と霧が花芽の分化・開花・着果を妨げたことが要因だ。
買取95,000ドン・米国78万ドン——価格テーブル
| 区分 | 価格 | 円換算 |
|---|---|---|
| 農家買取(園地) | 50,000〜95,000ドン/kg(史上最高) | 約300〜570円 |
| 序盤の小売 | 140,000〜180,000ドン/kg | 約840〜1,080円 |
| 高品質・空輸品 | 195,000〜210,000ドン/kg | 約1,170〜1,260円 |
| 米国店頭 | 約780,000ドン/kg(14〜15米ドル/ポンド) | 約4,700円 |
※円換算は1,000ドン=約6円、1米ドル=約155円で計算した参考値。
対米輸出が始動、ヒューストンへ初出荷
2026年6月初旬、ベトナム産生鮮ライチの最初の2ロット(約2トン)が米テキサス州ヒューストンへ輸出された。航空輸送により色・風味・品質を保ち、現地のスーパーやアジア系市場、消費者の関心を集めた。Ameii社は今シーズン、米国・オーストラリア・日本・フランスなどへ約1,000トンの生鮮ライチを輸出する計画だ。バクザン産ライチは米国の一部スーパーで14〜15米ドル/ポンド(約78万ドン/kg)の価格で並んだ。
不作と高値が同時に起きる構図
不作にもかかわらず価格が上がるのは、供給が絞られる一方で品質の高いロットへの需要が国内外で強いためだ。中国の主要産地(広東・海南)も暖冬と降雨の影響で開花が減り、周期的な生産減も重なった。世界的に供給が細るなかで、輸出可能な高品質ライチの希少性が価格を押し上げている。
日本のバイヤー・流通への示唆
不作下でも対米・対豪・対日へ空輸される高品質ライチは、価格は高いものの品質履歴が整っている可能性が高い。供給が細る年ほど、確実に出荷できる産地・輸出企業との関係が調達の安定に直結する。Ameiiのように複数先進国市場へ出荷実績を持つ企業は、日本向け調達でも有力な取引候補になる。
まとめ
不作と過去最高値が同居する2026年のライチ市場は、ベトナム産フルーツが量から付加価値へ移る局面を映している。対米輸出の始動で、高品質ライチはプレミアム商材として海外に広がりつつある。気候変動が収量を揺らすなか、品質と販路を握る産地・企業の存在感が増している。
関連記事
- ライチ不作:バクザン収量計画比60%、早生12万ドン/kgで史上最高値
- バクザン省ライチ5/25収穫開始――GlobalGAP認証園117カ所で輸出強化
- ベトナム果物価格暴落――スイカ3.8セント/kg、Ri6ドリアン半値、中国検査強化で国内オーバーサプライ