ベトナム北部のライチ最大産地バクザン省で、2026年の収量が計画値の約60%にとどまる見通しとなった。開花期の高温と寒気不足で花芽分化が進まず、生産量は約9万5,000トンに落ち込む。早生ライチの取引価格は最高12万ドン(約720円)/kgと史上最高値を記録し、輸出量の縮小も避けられない情勢だ。日本のバイヤーにとっても調達価格の上昇が現実味を帯びてきた。
計画比60%——バクザン省ライチが大幅減産
バクザン省の発表によると、2026年シーズンのライチ収量見通しは約9万5,000トンで、当初計画のおよそ60%にとどまる。原因は開花・花芽分化期にあたる時期の気象条件で、高温が続いたうえに低温期間が短かったため、花芽の形成が不十分だった。前年が豊作だったことの反動も重なり、産地は厳しい数字に直面している。
シーズン序盤の早生ライチは作付面積8,200ヘクタールで4万トン超を見込むが、全体の落ち込みを補うには至らない。早生ライチは5月25日から、主力品種は6月10日ごろから収穫が本格化する。すでに収穫が始まった産地の様子はバクザン省ライチ5/25収穫開始の記事でも報じている。
背景:天候不順と相場急騰の連鎖
ライチは花芽分化に一定の低温を必要とする果樹で、暖冬は減産に直結する。2026年は北部一帯で冬の寒気が弱く、開花そのものがばらついた。結果として出回り量が絞られ、序盤から相場が跳ね上がる展開となった。VietGAP基準で栽培された高品質ロットには指名買いが集中し、価格を一段と押し上げている。
バクザン省は生産量の約6割を国内向け、約4割を輸出向けと想定するが、総量が減れば輸出に回る量も縮む。中国・日本・EU・米国向けの輸出強化を進めてきた矢先の不作で、産地は数量と価格のバランスに苦慮している。
データで見る2026年ライチ相場(円換算)
| 項目 | 2026年 | 円換算(1VND≒0.006円) |
|---|---|---|
| 収量見通し | 約9.5万トン(計画比60%) | — |
| 早生作付面積 | 8,200ha・4万トン超 | — |
| 早生ライチ最高値 | 12万ドン/kg | 約720円/kg |
| スーパー店頭価格 | 5万〜6万ドン/kg | 約300〜360円/kg |
| 国内/輸出比率 | 約60%/40% | — |
現地の反応
産地の生産者からは「花がほとんど付かなかった園もある。例年の半分も採れない」と落胆の声が漏れる。一方で品質を保てた農家は「VietGAP園のライチは指名で売れる。量は少ないが単価でカバーできている」と前向きだ。卸売業者は「序盤からこの値段は経験がない。輸出に回す余力が読みにくい」と慎重姿勢を崩さない。
日本のバイヤー・農業関係者への影響
日本向けライチは数量が限られるうえ、産地価格そのものが上昇しているため、輸入コストの上振れは避けにくい。生鮮での確保が難しい局面では、冷凍ライチや加工品への切り替えを早めに検討する価値がある。調達担当者は、序盤の高値が主力品種の出回りでどこまで落ち着くかを見極めつつ、複数産地・複数形態での分散調達を組み立てておきたい。
業界への波及
ライチの不作は、同じ北部で生産される他の果樹の価格にも心理的な影響を及ぼす。輸出依存度が高い品目ほど、天候リスクに対する産地の脆弱性が改めて意識される。バクザン省が進めてきたGlobalGAP認証園の拡大は、量が減る年でも高単価市場を確保する保険として機能しており、認証栽培の重要性が一段と高まっている。
実用情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主産地 | バクザン省(北部) |
| 早生収穫 | 5月25日〜 |
| 主力収穫 | 6月10日ごろ〜 |
| 主な輸出先 | 中国・日本・EU・米国 |
| 注目認証 | VietGAP・GlobalGAP |
まとめ
2026年のバクザン省ライチは計画比60%の不作となり、早生ライチが12万ドン/kgと史上最高値を付けた。暖冬による花芽分化不良が主因で、輸出に回る量の縮小も見込まれる。日本のバイヤーは生鮮の高値と数量不足を前提に、冷凍・加工を含めた調達計画の見直しが求められる。