NÔNG NGHIỆP VIỆT NAM — TẠP CHÍ NÔNG NGHIỆP ĐÔNG NAM Á

対日ティラピアが8ヶ月で77%増、刺身に回るのは1.7kgの汽水魚

ベトナム水産物加工輸出協会(VASEP)が2026年9月25日に公表した集計で、ティラピア(cá rô phi)の輸出は1〜8月の累計で9,000万ドル、前年同期比43%増に達した。同じ集計に、対日は累計200万ドルで77%増、8月単月は40万ドル(原文「400 nghìn USD」)で192%増という2行が並ぶ。金額は小さい。それでも日本の白身魚の買い手に効くのは、VASEPが「ベトナムの汽水ティラピアが日本の寿司・刺身の区分に入り始めた」と書いているからだ。冷凍フィレを安く出す産地から生食用の原料を作れる産地へ、立ち位置が動いている。

円換算は1ドル=158.85円(2026年9月24日のECB参照レート)で筆算した。9,000万ドルは約143億円にあたる。

目次

8ヶ月で9,000万ドル、ただし8月単月は前年割れした

VASEPの集計は累計と単月を並記する。混ぜると逆の結論が出る。1〜8月の累計は9,000万ドルで43%増、8月単月は1,100万ドル(約17.5億円)で8%減。年で見れば伸びているが、直近1ヶ月は前年割れだ。

市場別の並びは1国に寄っている

市場 8ヶ月累計(原文) 円換算 前年比 8月単月・前年同月比
合計 90 triệu USD=9,000万ドル 約143億円 43%増 11 triệu USD・8%減
ブラジル 44 triệu USD=4,400万ドル 約70億円 22,142%増 4 triệu USD・記載なし
米国 21 triệu USD=2,100万ドル 約33億円 48%減 2 triệu USD・72%減
サウジアラビア 7 triệu USD=700万ドル 約11億円 23%増 2 triệu USD・20%増
日本 2 triệu USD=200万ドル 約3.2億円 77%増 400 nghìn USD・192%増

VASEPはブラジル1国で8ヶ月累計のほぼ半分を占めるとしている。地域別ではCPTPPが累計600万ドルで50%増、EUが400万ドルで7%増。CPTPPを引っ張るのは日本とメキシコ、EUはベルギーだ。中東全体はサウジ1国と同額の700万ドルだ。

対日の40万ドルは「累計の2割が8月に入った」数字

対日の累計200万ドルに対し8月単月は40万ドル。8ヶ月分の約2割が8月の1ヶ月に入った。192%増は前年8月の基数が小さいことの裏返しで、絶対額は6,400万円ほどだ。VASEPの7月28日の集計では対日は1〜6月累計で約140万ドル(約2.2億円)の54%増、6月単月は約20万ドル。

ブラジルの「22.142%」を22%と読むと産地図を見誤る

原文はブラジル向け累計を「44 triệu USD, tăng 22.142%」と書く。ベトナム語の数表記はピリオドが桁区切り、カンマが小数点だ。これは22.142%ではなく2万2142%増である。同じVASEPが米国の関税を「37,5%」とカンマで書いている。

割り戻すと前年同期は約20万ドルになる

4,400万ドルを222.42で割ると約19.8万ドル。VASEPが「前年同期の低い基数から輸出規模が急拡大したことを反映した」と補足する説明と一致する。22%増と読めば前年同期は3,600万ドル規模となり、「低い基数」という記述と食い違う。

ベトナム語の桁表記を先に固定しておく

原文表記 意味 誤読 今回の実例
nghìn 千 単位落とし 400 nghìn USD=40万ドル
triệu 100万 億と読み100倍ずれ 90 triệu USD=9,000万ドル
tỷ 10億 億と読み10倍ずれ 本稿では未登場
22.142 2万2142 小数と読む tăng 22.142%=2万2142%増

対米が48%減った事情はベトナム側の数字だけでは見えない

在庫が減らず、輸入業者が新規手当てを絞っている

米国向けは累計2,100万ドルで48%減、8月単月は200万ドルで72%減。VASEPは、米国の購買力が回復せず在庫が高い水準にあるため輸入業者が新規の買い付けに慎重だ、と書いている。

中国産フィレの関税と米国卸売の値動きは別の取引段階の話

VASEPが9月15日にFoodmateを引いて出した別の記事では、中国産ティラピアフィレの対米輸入関税が現在37.5%で、前年の45%から下がったとしている。内訳は2018年から適用のSection 301の25%に7月24日公表の12.5%が乗った形で、それ以前のIEEPAに基づく関税は失効したという。この37.5%は中国原産のフィレにかかる税率で、ベトナム産に適用される数字ではない。関税が下がっても輸入は戻らず、6月までの累計で米国の中国産冷凍フィレ輸入は7,857万ポンド(約3.56万トン)、16%減だ。

同記事の価格記述は取引段階を分けて読む。米国の卸売段階は週35がほぼ横ばいで、中国産冷凍フィレが約0.05ドル/ポンド上がったのはその前の週だ。「広東・広西・海南の500〜800gサイズが横ばい」は、産地で原料魚を加工場へ渡す段階(週36)の価格を指す。ベトナム産の輸出価格はさらに別の段階にあり、掛け合わせても意味が出ない。起点の集計にベトナム産の単価(ドル/kg)は示されていない。

刺身に回る魚は1尾1.7kg以上・8〜9ヶ月、汽水で育てる

カントー沿岸の40ha近くで単性ティラピアを汽水養殖

「寿司・刺身の区分に入った」の中身は、VASEPが9月24日に伝えた1社の事例で具体化できる。ベトナム・クリーン水産株式会社(Cleanfood)は2026年2月以降、刺身加工用のティラピアフィレを日本へ継続的に出している。同社の会長兼社長ヴォー・ヴァン・フック氏によると、カントーの沿岸部に40ha近くを充て、汽水で単性ティラピアを育てている。汽水の魚のほうが高価格帯に肉質が合うと判断しての方針だ。

VASEPが9月17日に出した解説では、汽水養殖の魚は身が締まり、味がすっきりと甘く、小骨が少なく、泥臭さがはっきり出ないとされる。育種の川上でも同じ動きがあり、別の企業が英国の育種会社と組んで種苗に手を入れている(ナムヴィエトが英ベンチマークとティラピア育種、白身の受け皿を質で作る)。

日本側の取引先が池ごとに収穫前検査に入る

日本で受け入れられるまで、工程の作り込みと輸入者側の要件対応に約6ヶ月かかったという。日本側の取引先が養殖区を直接検査し、収穫前に池単位で品質を確認する。収穫した魚は酸素を保った状態で速やかに工場へ運ぶ。VASEPは生食用原料の条件として、養殖区・水質・原料から加工・凍結・寄生虫管理・食品安全・トレーサビリティまでを挙げる。

泥臭さを止めるのが水質管理、そこに8〜9ヶ月かかる

フック氏によれば、刺身向けは1尾1.7kg以上で養殖期間は8〜9ヶ月。泥臭さと生臭さを抑えて肉質を保つには水質管理が特に重要だという。中国で原料魚として流通する500〜800gサイズと比べ重量は2倍以上ある。同じ「ティラピア」でも中身は別の商品だ。

コスト面では飼料が養殖原価の約30%を占め、農場内の飼料工場が約2ヶ月後に稼働予定だという。日本からの需要は大きいが自社の生産量が注文に追いついていない、というのが同社の現状説明だ。ベトナム国内でも大手外食チェーン1社と5つ星ホテル系列が購入に向けて動いている段階だという。VASEPは9月17日の記事で専門家の見解として、流行に乗った拡大は避け、種苗・飼料・技術・産地規模を揃える必要があるとしている。

日本の買い手が引き合い前につめておく項目

見積もりを取る前に確認する6項目

対日200万ドルという規模は、裏返せば供給側の枠がまだ埋まっていないということでもある。白身の代替で先に日本の外食へ入ったのはパンガシウスだ(世界で白身魚が足りない、越産パンガシウスが日本の外食調達に開く隙間)。ティラピアは単価の取れる生食用から入ろうとしている。

項目 確認する内容 出所
魚体重 1尾1.7kg以上か 同社長
養殖期間 8〜9ヶ月。短期回転魚と別 同社長
養殖水 汽水か淡水か・泥臭さ対策 VASEP 9/17・24
産地検査 池単位の収穫前検査の可否 実施例あり
凍結・寄生虫 生食向け凍結条件と管理記録 VASEPの列挙
数量 生産が注文に追いつかない 同社長

生産が追いつかない産地との交渉は規格から入る

生産が注文に追いついていない相手に数量を先に置くと、条件が固まらないまま順番待ちになる。先に規格(魚体重・フィレのグレード・凍結方法)と受け入れ検査の範囲を決め、量は四半期単位で刻むほうが話が動く。エビ池を転用する産地なら、エビ側の作付けと重なる時期も先に聞く。認証は品目ごとに別で、エビで取ったASCがティラピアに効くとは考えない(越エビ養殖組合がASC認証取得、対日EU調達で希少な通行証に)。

ここから3ヶ月、対日の単月だけ追えばいい

40万ドル台が3回並ぶかを見る

対日は累計200万ドル、生食用を出せる会社も限られる。VASEPのティラピア欄で9〜11月の対日単月を追い、40万ドル台が続くかだけを見る。8月の跳ねが3ヶ月並ばないと、産地の生産が乗ったとは判断できない。月20万ドル前後へ戻るなら1社の出荷波にすぎない。

並んだら汽水ティラピアの加工場に規格表を出す

3ヶ月そろった時点で、汽水ティラピアを扱う加工場へ自社の規格表(魚体重・フィレ重量・凍結方法・検査項目)を出す番になる。いま動いているのは「日本側が池を見に来る」段階の取引だ。あとから来た買い手の規格が通る余地がある。

参照元

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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