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対韓ドリアンが7ヶ月で188%増、日本のバイヤーは何を仕込むべきか

ベトナム産ドリアンの輸出先で、韓国向けが2026年の1〜7月に前年同期比188%増え、金額は240万ドル(2,4 triệu USD)に達した。9月8日付のDan triが果菜協会系の集計を引いて伝えた数字だ。金額そのものは小さい。それでも、対中依存をどう崩すかを最優先課題にしている産地と輸出企業にとって、韓国は「中国以外でも売れる」ことを実地で示した試験市場になった。日本の食品バイヤーや商社にとっても、次の受け皿が自国になり得るかを測る材料になる。

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韓国向け188%増、それでも金額は中国の約690分の1

同じ集計では、韓国の果実輸入に占めるベトナムのシェアが2025年の3.59%から2026年1〜7月に4.2%へ上がり、韓国はベトナム果実の伸び率が高い市場の8位に入った。韓国側にも買う理由がある。国内果樹が天候不順で減り、韓国政府が熱帯果実の輸入枠を緩め、一部品目に一時的な優遇関税を敷いて消費者物価を抑えにきた——この需要の空きにベトナム産が入り込んだ、と現地各紙は伝える。ただし240万ドルという金額は、同じ7ヶ月でドリアン輸出全体が記録した18億ドル(1,8 tỷ USD、前年同期比47%増)のごく一部にすぎない。うち中国向けが16.5億ドル(1,65 tỷ USD、57%増)を占める。桁を並べれば、韓国は中国の約690分の1にとどまる。

だからこの188%を「韓国が主力市場になった」と読むと外す。読むべきは伸び率の裏にある動きのほうだ。中国という単一市場に9割超を預けてきた輸出構造に対し、産地と輸出企業が小さくても複数の出口を同時に開き始めた——その最初の実数が韓国で出た、と受け取るのが妥当だ。

項目 数値(原表記を併記) 期間・出所
対韓ドリアン輸出 +188%/240万ドル(2,4 triệu USD) 1〜7月・Dan tri
韓国の果実輸入に占める越シェア 3.59%→4.2% 2025→2026年1〜7月
ドリアン輸出総額 18億ドル(1,8 tỷ USD、+47%) 1〜7月
うち中国向け 16.5億ドル(1,65 tỷ USD、+57%) 1〜7月
国内相場 Ri6一級 55,000〜60,000 VND/kg 9月8日
国内相場 タイ種A級 85,000〜90,000 VND/kg 9月8日

「量」から「質」へ、業界紙の見出しが変わってきた

この韓国の数字が出た週、ベトナムの業界メディアの見出しは一様に変わっている。9月上旬には「8ヶ月で20億ドルに迫る」といった総額報道が並ぶ一方で、そこに「品質の圧力を伴う成長」という趣旨の但し書きが付くようになった。伸びていることを祝う記事から、伸びをどう守るかを問う記事へと、論点が移りつつある。

この変化は日本側にとって好都合な情報だ。理由は単純で、価格や量の速報は誰でも同じものを見るが、供給側が「次に何で詰まるか」を自ら口にし始めた局面こそ、調達交渉の入り口になるからだ。中国向けで通関が厳格化し、残留基準やトレーサビリティで弾かれるロットが増えるほど、産地は「基準を満たすが行き先が細い」在庫を抱える。韓国向けの188%は、その在庫が別の窓から流れ出た痕跡でもある。

韓国の次に日本が受け皿になれるか

日本で狙うなら生果でなく冷凍・加工原料

日本市場で生鮮ドリアンを大量に捌くのは現実的でない。棚持ち・匂い・単価の三点で日本の小売棚に載りにくいからだ。狙うなら冷凍果肉と加工原料になる。ピューレ、ペースト、冷凍パルプは、菓子・アイス・ドリンクのOEM原料として通年で動かせる。生果の相場変動を直接受けず、規格を固定して年間契約に落とし込める点が、バイヤー側の管理コストを下げる。韓国で伸びた実需の多くも、生果より加工・業務用に寄っているとみるのが自然だ。

ドリアン一択で考える必要もない。ベトナム側は同じ「脱・中国」の文脈で複数品目を同時に押している。カシューが111%増でドラゴンフルーツに並び、越の果実輸出の顔ぶれが入れ替わりつつある動きと重ねて見ると、ドリアンの韓国188%は単発の珍事ではなく、輸出先分散という同じ流れの一断面だと分かる。日本のバイヤーは、ドリアン加工を入り口にしつつ、同じ産地・同じ商流で複数品目を束ねて引く発想を持てる。

9〜12月という調達の窓を外さない

ドリアンは時期で供給主体が入れ替わる。タイ産の端境に入る秋口から、ベトナム産が世界供給の中心に立つ。9〜12月にベトナム産が主役になり、タイの端境が調達の窓を開ける構図を踏まえれば、韓国の実績が出た今この時期は、日本側がサンプル取りと規格すり合わせを始める好機に重なる。相場が締まる中国最需要期を避け、産地が別市場に目を向けている端境で話を詰めるほうが、条件も通りやすい。

国・企業・産地が別々に輸出先を広げている

数字の裏では、産地・企業・行政がそれぞれ別々に手を打っている。抽象的な「多角化」ではなく、実名と実数のある動きだ。

  • 国レベルでは、輸出先そのものを増やす制度動作が進む。インドがベトナム産ドリアンを解禁し、対中95%依存に風穴が開いた件は、韓国188%と同じ「窓を増やす」政策の産物で、韓国の実数はその効果が金額で確認できた最初の例に位置づけられる。
  • 企業レベルでは、越の輸出各社が中国以外のバイヤーと直接会う場に自ら出向いている。香港のアジア果実見本市に越22社が並び、中国以外へ動く取引先の名前が具体的に挙がった動きは、韓国の数字を作った商流の実体そのものだ。
  • 産地レベルでは、行政の解禁や商談を待たず、生産者自身が販路を作る例も出ている。畑先での完売やライブ配信販売で、仲買を通さず売り切る村が現れている。

日本のバイヤーにとっての含意は明快だ。韓国188%は「ベトナムが売りたがっている」ことの証拠であり、しかもその意思は国・企業・産地の三層で同時に動いている。交渉相手を選べる局面だということだ。

日本のバイヤーが今週動くなら

速報の価格を眺めるだけでは何も始まらない。この記事の数字を根拠に、具体的に一手だけ進めるとすれば、冷凍果肉または加工原料のサンプル請求と、対応可能な規格(品種・等級・残留基準・トレーサビリティ書類)の確認だ。相場は下の水準を目安に置きつつ、生果相場そのものは加工原料の見積もりに直結しない点を押さえておく。

確認項目 目安・原表記 補足
国内生果相場 Ri6一級 55,000〜60,000 VND/kg 加工原料価格の直接指標ではない
タイ種A級 85,000〜90,000 VND/kg 品種・産地で幅
ロブスタ国際指標 ロンドン9月限 3,400 USD/t 同じ産地の商流を測る背景値
供給が厚くなる時期 9〜12月 タイ端境・越が主役
優先確認書類 残留基準・栽培地コード 中国向け厳格化で選別が進む

金額の桁に惑わされず、188%という伸び率が示す「意思」と、9〜12月という時間の窓、この二つを同時に握っている今が、ベトナム側と条件を詰める最も安い局面になる。まず一社、加工原料の見積もりを取るところから始めれば、来季の中国最需要期に相場が締まる前に、自社の枠を確保できる。

参照元:Dan tri「Giá nông sản hôm nay 8/9」(2026年9月8日)https://dantri.com.vn/kinh-doanh/gia-nong-san-hom-nay-89-ca-phe-dien-bien-trai-chieu-sau-rieng-giam-nhe-20260908065434604.htm。対韓188%と7ヶ月18億ドルの各数値は、Thanh Nien、Doanh nghiệp và Tiếp thị 等の同時期報道でも一致を確認した。

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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