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ダムゾイのASCブラックタイガー721ha、日本の水産調達に効くか

ベトナム最南端カマウ省のダムゾイで、エビ大手ミンフー(Minh Phu)と組んだ国際認証ASCのブラックタイガー養殖ゾーンが動き出した。対象は268戸・721ヘクタール。認証原料を条件にする日本の水産バイヤーにとって、産地と認証がひもづいた調達ソースが一つ具体化したことになる。白足エビ(バナメイ)に偏りがちな調達の外で、ブラックタイガーという別の選択肢を確認しておく価値がある。

目次

ミンフーと組んで268戸をASCゾーンにした

ダムゾイ(カマウ省)は、ミンフー系の社会的企業と連携し、268戸・721ヘクタールのブラックタイガー養殖でASC(水産養殖管理協議会)認証の取得を進めている。ASCは環境負荷や労働、トレーサビリティを審査する国際認証で、欧州や日本の小売・外食が調達の条件に据える場面が増えている。加工大手が産地の組織化から認証取得まで関与する形は、個々の農家では届きにくい認証を面で取りに行く動きだ。

この構図は、同じカマウで進む養殖組合のASC取得とも重なる。越エビ養殖組合のASC認証取得は、対日・対EUで希少な通行証を面で確保する動きの一例になっている。

なぜブラックタイガーで認証を取りに行くのか

ベトナムのエビ輸出は白足エビ(バナメイ)が量の主役だが、ブラックタイガー(現地名トムスー)は大型で身が締まり、天ぷらや寿司ネタ、頭付きの姿売りで日本の需要が根強い。単価はバナメイより高く、認証がつけば業務用や小売でのブランド価値も乗せやすい。産地からすれば、量で薄利のバナメイに全振りするより、認証ブラックタイガーで単価と販路を確保する戦略が立つ。

ダムゾイの養殖は一様ではない。超集約型の池が462ヘクタール超、改良した粗放型が7,100ヘクタール超と、集約度の異なる方式が併存する。認証ゾーンはこの中から品質と管理を揃えられる区画を選び、面で標準化する取り組みになる。

ブラックタイガーは、稚エビから出荷サイズまで育てる期間が長く、密度を上げすぎると病気に弱い。だからこそ、水利や餌、投薬の記録を面でそろえるASCの枠組みが効いてくる。加工大手が入って技術を伝え、農家の記録づけを揃えれば、単発の池では届かない安定した品質と数量が見込める。認証は結果の証明であると同時に、産地の管理水準を底上げする過程でもある。

ダムゾイの養殖構成と組織化

項目 規模
ASC認証ブラックタイガー養殖ゾーン 268戸・721ヘクタール
超集約型養殖 462ヘクタール超
改良粗放型養殖 7,100ヘクタール超
その他農業(野菜・果樹・畜産) 85ヘクタール超
水利整備 5件・延長6km
協同組合(HTX) 9組織・139人
協同グループ(THT) 9組織・173人
技術研修(2026年1〜8月) 9回・246人

認証ゾーンの721ヘクタールは、7,100ヘクタール超の改良粗放型に比べれば一部だ。裏を返せば、認証で管理された区画とそうでない区画が同じ地域に併存する。調達側は「ダムゾイ産」だけでなく、どの区画・どの認証かまで確認する必要がある。

組織化の数字も、産地の底力を測る材料になる。協同組合9組織139人、協同グループ9組織173人という枠があり、2026年の1〜8月だけで9回の技術研修に246人が参加した。研修と組織化が続いている産地は、担い手が入れ替わっても品質の再現性を保ちやすい。水利整備が5件・延長6kmで進んでいる点も、養殖の生命線である水の管理に投資が向いていることを示す。認証ゾーンは、こうした基盤の上に立っている。

日本の水産バイヤーに何が刺さるか

認証原料を探す日本のバイヤーにとって、268戸・721ヘクタールという数字は交渉の入口になる。面で認証を取っていれば、単発の農家買いより供給の安定と数量の見通しが立てやすい。加工大手が関与していれば、一次加工や冷凍、輸出書類までの一貫体制も期待できる。頭付きブラックタイガーの姿売りや、外食向けの規格品を狙うなら、産地の管理体制を早い段階で確かめておきたい。

越エビの主要市場は米国関税や為替で揺れており、産地側にも販路分散の動機がある。対米関税が日本の調達に開く隙間は、認証ブラックタイガーの交渉余地を読む材料になる。米国向けが揺れる局面では、産地は安定して質を評価する市場を求める。品質と認証で買う日本の外食・小売は、その受け皿になりやすい立場にある。

バナメイ偏重の調達を見直す材料

日本の輸入エビはバナメイと在来のブラックタイガーが中心だが、供給元は特定国に偏りやすい。市場ごとの伸び縮みを見ると、越エビは仕向け先を組み替えている最中だ。主要5市場の並び替えが示すように、需要側が動けば産地の交渉姿勢も変わる。認証ブラックタイガーという細いが高単価の流れを、今のうちに供給網の候補として押さえておく意味は大きい。

調達前に確認したいこと

ダムゾイの事例が投げかけるのは、認証を面で持つ産地をどう見極めるかだ。日本側が取れる動きは具体的になる。第一に、ASC認証の対象区画と認証番号、有効期限を書面で確認する。第二に、超集約型か改良粗放型かで品質やサイズ規格がどう変わるかを産地に問う。第三に、加工・冷凍・輸出までの一貫体制と、頭付き姿売りや規格品への対応可否を早めに握る。認証が通行証になる市場では、条件を先に確認した側が安定調達を組みやすい。

参照元: Nong nghiep va Moi truong「ダムゾイ、水産養殖を経済発展の原動力に」

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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