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ロブスタ品評会の国際枠10点中9点がベトナム、対日単価は3.9倍に

ダクラク省の地元紙Báo Đắk Lắkが2026年10月2日、第3回世界ロブスタコーヒー品評会(The 3rd GCEF Global Robusta Coffee Competition/Global Robusta Awards 2026)でベトナム勢が決勝Top20の「国際」グループ枠10点のうち9点を占めたと伝えた。主催は大中華コーヒー産業エリート連盟(GCEF)。出品は50点で、中国27点、ベトナム19点、その他の国4点だった。授賞式は2026年10月中旬で、順位はまだ決まっていない。日本の読者にとって効くのは順位そのものより、「ロブスタは安い豆」という前提が輸入統計の上でもう崩れているという事実のほうだ。

目次

50点中19点がベトナム、そのうち13点がブオンマトート協会の会員から出た

まず大会の形を正確に押さえておく。正式名称はThe 3rd GCEF Global Robusta Coffee Competition、別名Global Robusta Awards 2026。主催はGCEF(Liên minh Tinh hoa Ngành Cà phê Đại Trung Hoa)。今回の出品総数は50点で、内訳は中国27点、ベトナム19点、その他の国4点。ベトナムの19点のうち13点が、ブオンマトート・コーヒー協会(Hiệp hội Cà phê Buôn Ma Thuột)の会員企業によるものだった。

出品の条件も報じられている。2025〜2026年産から厳しく選抜し、手摘みで完熟豆を収穫、精緻な精製を施し、生豆が均一で欠点がなく、ネガティブなフレーバーの欠陥を持たないこと。コモディティのロブスタの買い付け条件とはまったく別の話をしている。

審査は、コミュニティ評価(Community Evaluation)の段階を経たうえで、100を超える評価ポイントのネットワークで専門家・業界関係者・コーヒー愛好者が直接テイスティングして採点する。カッピングの採点は、スペシャルティコーヒー協会(SCA)のロブスタ技術基準と、コーヒー品質研究所(CQI)の基準に沿って行われる。評価の実施期間は2026年8月26日から9月27日まで。

そして結果。決勝Top20に入った「国際」グループの10点のうち、ベトナムが9点を占めた。このうちブオンマトート・コーヒー協会の会員企業が6点を出しており、内訳はAeroco Coffee 2点、Coffee Cherry 2点、8Ro Coffee & Roaster 1点、PM Coffee 1点である。

ここは誤読しやすいので線を引いておく。「10点中9点」はTop20全体の話ではなく、Top20のうち国際グループに割り当てられた10枠の話だ。残り10枠の内訳は記事に書かれていない。そして授賞式は10月中旬で、現時点で決まっているのは決勝進出までである。

日本が買っているベトナム産の単価は、14年で143円から552円になった

日本側の数字も見ておく。全日本コーヒー協会が財務省「貿易統計」をもとにまとめた国別の輸入量と単価である。先に断っておくと、この統計は国別であって品種別ではない。ベトナム産生豆の平均単価であり、ロブスタの単価ではない。ブラジル産との比較も、品種と品質の構成が違うもの同士を並べていることになる。

国名 2010年 数量/単価 2020年 数量/単価 2024年 数量/単価
ブラジル 123,073トン/266円 116,816トン/278円 130,210トン/615円
ベトナム 54,737トン/143円 100,311トン/175円 97,331トン/552円
コロンビア 79,060トン/390円 60,430トン/374円 35,858トン/790円
総合計 410,530トン/283円 391,611トン/289円 360,287トン/677円

単価の単位は円/kg、2024年は確々報である。

1つめ、ベトナム産の対日単価は2010年の143円/kgから2024年の552円/kgへ、14年で3.86倍になった。同じ期間のブラジル産は266円から615円で2.31倍。上げ幅はベトナムのほうがはるかに大きい。

2つめ、ブラジル産に対する価格比が変わった。2010年はベトナム産がブラジル産の53.8%の単価だったが、2024年は89.8%になっている。かつての半値という関係ではない。

3つめ、量でも存在感が上がっている。日本のコーヒー生豆の総輸入量は2010年の410,530トンから2024年の360,287トンへ12.2%減ったのに、ベトナム産は54,737トンから97,331トンへ77.8%増えた。シェアは13.3%から27.0%になり、ブラジル・ベトナム・コロンビアの上位3カ国で2024年の輸入量の73.1%を占める。

断っておくと、この単価上昇の大きな部分は国際相場の高騰によるものだ。ロブスタの先物価格そのものが上がれば、品質と無関係に輸入単価は上がる。ブラジル産もコロンビア産も同じ期間に2〜3倍になっているのがその証拠である。品評会の成績が単価を押し上げたという話ではない。

相対的な順位も変わっていない。2024年のベトナム産552円/kgは、ブラジル産615円、総平均677円、コロンビア産790円を今も下回る。「ベトナム産を混ぜれば安くなる」という関係そのものは残っている。

変わったのは絶対額のほうだ。日本の原料担当者が実務で向き合う数字は552円/kgであって143円/kgではない。同じ配合比率でも、原料費に占める金額は3.86倍になっている。安い側の産地を選んでいるつもりでも、台帳の上の数字は以前とまるで違う。

安く買えないなら、高く売れるロットを選ぶ側に回る

ベトナム産ロブスタの日本での主な出口は、インスタントコーヒー、缶・ペットボトルのコーヒー飲料、ブレンドのベースだ。安さと量が選定理由だった。単価がブラジル産の9割まで来ると、その理由の説得力は落ちる。打ち手は配合比率の見直し、商品価格への転嫁、調達時期と契約形態の組み替え、産地の入れ替えと複数ある。品評会が関係してくるのは、そのうち「同じ産地で品質側に振る」という選択肢の材料としてだ。

品評会は後者のための道具になる。審査がSCAのロブスタ技術基準とCQIに沿っているということは、日本側のQグレーダーやカッパーと同じ言語で話せるということだ。欠点豆の定義、カッピングのプロトコル、スコアの意味が共通している。「現地が美味しいと言っている」ではなく、「この基準でこのスコア」という形で情報が来る。

具体的に照会先も出ている。ブオンマトート・コーヒー協会は会員から13点を出品し、Top20に6点を送り込んだ。実名で出ているのはAeroco Coffee、Coffee Cherry、8Ro Coffee & Roaster、PM Coffeeの4社。協会を窓口にすれば、どのロットがどの精製で、どれだけの量があるのかを辿れる。

ただし、各ロットの生産量と供給可能量は今回の報道に出ていない。手摘み完熟と精緻な精製を条件にした出品豆が、年にどれだけの量を出せる園地から来ているのかは分からない。サンプルを取り寄せる前に、数量を聞くところから始めたほうがいい。

品質で競う動きと、台帳を整える動きが別々に進んでいる

ベトナムのコーヒー産地では、品質とは別の軸でも書類の整備が進んでいる。ソンラ省はコーヒー3万6千haを3区分して12月30日までに台帳を作る方針を出した。EUの森林破壊防止規則(EUDR)に対応するための区画台帳である。ソンラは北部で、今回の品評会で名前が出たのは中部高原のダクラク。同じ産地の話ではないし、区画台帳があるからといって出荷ロットから農地まで遡れるとも限らない。それでも、品質で選別される動きと、素性を書類で示す動きが、別々の省で同時に進んでいることは押さえておきたい。日本側がどちらの要求を先に出すかで、相手にする産地が変わる。

中部高原の作付けも動いている。ザライ省ではドリアンが10ha超で枯れ、原因が特定されないまま農家がコーヒーに戻った。ドリアンの高値に引かれて転作した農地が、またコーヒーに返っている。中部高原の面積は、品目の収益性で毎年細かく振れる。品評会で評価される園地はその中の一部にすぎず、残りはコモディティの相場で動く。

日本側から見ると、同じ「ベトナム産ロブスタ」の中に2つの層ができつつある。相場で動く大量の層と、基準で選別される少量の層だ。前者は価格、後者は素性と記録で買う。混ぜて考えると、どちらの仕入れもうまくいかない。

照会するなら、10月中旬の授賞式を待ってからのほうが話は早い

大会の骨子をもう一度まとめておく。

項目 内容
大会名 The 3rd GCEF Global Robusta Coffee Competition/Global Robusta Awards 2026
主催 GCEF(Liên minh Tinh hoa Ngành Cà phê Đại Trung Hoa)
出品数 50点(中国27、ベトナム19、その他4)
審査期間 2026年8月26日〜9月27日
審査基準 SCAのロブスタ技術基準、CQI
Top20の国際枠 10点中9点がベトナム
ブオンマトート協会の会員 出品13点、Top20に6点
Top20入りした実名企業 Aeroco Coffee(2)、Coffee Cherry(2)、8Ro Coffee & Roaster(1)、PM Coffee(1)
結果発表・授賞式 2026年10月中旬
照会先 Hiệp hội Cà phê Buôn Ma Thuột(ブオンマトート・コーヒー協会)

照会のタイミングは授賞式のあとがいい。順位が確定すれば、各社がどのロットをどう訴求するかも決まり、サンプルの手配も通しやすくなる。問い合わせるときに聞くべきは、スコア、精製方法、ロットの数量、2027年産の計画面積、同じ園地から継続して出せるかどうかの5点だ。品評会は一発勝負なので、翌年も同じ品質が出る保証はどこにもない。

まとめ

ベトナム勢が決勝Top20の国際枠10点中9点を取った。ただし順位が出るのは10月中旬で、「優勝した」という段階ではない。並行して、日本が買っているベトナム産生豆の単価は2010年の143円/kgから2024年の552円/kgへ3.86倍になり、ブラジル産の9割まで来ている。

原料を担当している人に勧めたいのは、自社の配合でベトナム産を使っているなら直近5年の仕入れ単価を並べ直すことと、授賞式のあとにブオンマトート・コーヒー協会へTop20入りロットのスコアと数量を問い合わせてみることだ。同じ産地に、相場で買う層と基準で買う層の2つがある。どちらの買い方をしているのかを自覚しておくだけで、交渉の材料が変わる。

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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