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越エビ飼料の6割問題、GrowMaxが値上げを見送り続ける理由

ベトナムのエビ養殖用飼料でシェア上位のGrowMax(グローマックス)が、全飼料製品の価格を据え置く方針を継続すると2026年8月に発表した。飼料は養殖原価の6割を占める最大費目で、その値上げ見送りは農家の採算に直結する。多くの同業が6月以降に値上げへ動くなかでの逆張りである。日本のエビ調達にとっても、供給の安定と価格の底堅さを左右する材料になる。

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据え置きは「全飼料製品・6月23日から・エビ相場が戻るまで」

一次報道(Nông nghiệp & Môi trường、2026年8月7日)によると、GrowMaxの価格凍結は同社が2026年6月23日に打ち出した約束の延長だ。8月6日付でCEOのMai Văn Hoàng氏が署名した通知で、「商品エビ(出荷用エビ)の相場が改善するまで、全エビ飼料製品の販売価格を据え置く」とした。期限を切った一時的な値引きではなく、相場回復を条件にした据え置きである点が特徴だ。

背景には、原料コストが高止まりする一方でエビの浜値が低迷し、回復の兆しが見えないという需給のねじれがある。報道は、大半の同業メーカーが原料高を理由に6月以降すでに値上げに踏み切っていると伝えており、そのなかでGrowMaxの据え置きが際立つ構図だ。

飼料が原価の約6割——だから据え置きが効く

この判断の重みは、エビ養殖のコスト構造を見ると分かる。業界データでは、飼料費はベトナムのエビ生産コストの約60〜65%を占め、種苗費(約1割)を大きく引き離す最大の変動費だ。つまり養殖農家にとって、飼料価格が数%動くだけで最終的な採算が大きく振れる。

浜値が低い局面では、農家は「餌をやるほど赤字が膨らむ」というジレンマに陥りやすい。ここで飼料価格が据え置かれれば、養殖を続けるか池を空けるかの判断が変わる。GrowMaxの措置は単なる価格アピールではなく、原価の最大費目を固定して農家の生産継続を後押しする、供給側のてこ入れと読める。

項目 確認できた値 出典
飼料費が生産コストに占める割合 約60〜65%(最大の変動費) 業界データ
価格据え置きの開始 2026年6月23日 一次報道
通知への署名 2026年8月6日(CEO Mai Văn Hoàng氏) 一次報道
据え置きの条件 商品エビ相場が改善するまで 一次報道
GrowMaxの飼料生産量 22万トン(2022年時点でエビ飼料生産量国内3位) 関連報道

GrowMaxはベトナム資本で唯一、エビ飼料の国内3位

GrowMaxは、エビ飼料分野で数少ないベトナム資本のブランドだ。関連報道によれば、参入からわずか2年ほどで生産量22万トンに到達し、2022年にはエビ飼料生産量で国内3位に入った。本社は同ナイ省ロクアン工業団地、ビントゥアン省には3カ所の種苗場を持ち、年間20億尾のエビ稚魚(ポストラーバ)生産能力を掲げる。

種苗から飼料、生物製剤、高度養殖、加工までを自社で束ねる垂直統合型のモデルを標榜しており、飼料の据え置きはこのモデルだからこそ打ちやすい。飼料単体の利幅を削っても、川上・川下の稼働を維持できれば全体で回収する構図が描けるからだ。海外資本が多い飼料市場で、農家との関係を軸に据える点が差別化になっている。

日本のエビ調達にとっての含意

日本にとってベトナムは主要なエビ供給国の一つで、報道ベースではベトナムのエビ輸出において日本は中国・米国に次ぐ第3の市場、金額シェアで約13%を占める。2025年の対日エビ輸出は5億ドル台とされる。ベトナム産エビの多くは、加工度の高い調理済み・むきエビとして日本の外食や小売に流れる。

飼料価格が据え置かれれば、養殖農家の撤退が抑えられ、次シーズンの池入れが維持されやすい。これは日本側から見ると、調達量のボラティリティが下がる方向に働く。逆に、もし飼料が上がって養殖面積が縮めば、加工原料の玉不足から日本の仕入れ値が押し上げられるリスクがある。1社の価格方針が相場全体を決めるわけではないが、原価の6割を占める飼料の動向は、対日供給の先行指標として見ておく価値がある。

調達担当者の実務としては、飼料相場と浜値の両にらみが要る。飼料が据え置かれても浜値がさらに崩れれば、農家は減産に傾く。価格凍結の「解除条件」が商品エビ相場の回復に置かれている以上、次の分岐点はエビの浜値がいつ底を打つかだ。ここが、対日輸出価格の反転タイミングを読む鍵になる。

参考にした情報源

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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