NÔNG NGHIỆP VIỆT NAM — TẠP CHÍ NÔNG NGHIỆP ĐÔNG NAM Á

中国のエビ在庫調整でベトナム卸値が下押し、日本の調達に開く買い場

中国の水産卸市場で、輸入業者が「新規に買う」より「抱えた在庫を吐き出す」ことを優先する局面に入った。ベトナム水産物輸出加工協会(VASEP)が2026年8月5日に伝えたところによると、外食需要の弱さと供給過多が重なり、エクアドル産バナメイを軸に卸値が下押し圧力を受けている。中国はいまベトナムのエビにとって最大の仕向け先だ。その市場で起きている在庫サイクルは、越産の輸出単価を通じて、日本の商社やOEM調達の仕入れ値にも回り込んでくる。価格速報として消費するのではなく、調達の判断材料として読み解きたい。

目次

中国の輸入業者が在庫を減らす局面に入り、エクアドル産の卸値が崩れている

VASEPの報道は、中国市場を「弱い消費需要」と「潤沢な供給」という言葉で描いている。輸入業者は手元在庫の消化を急ぎ、新規発注を絞る。結果として取引の動きそのものが鈍り、卸値に下向きの力がかかる。とりわけ影響を受けているのが、中国向けバナメイ最大の供給国であるエクアドルだ。業界専門紙アンダーカレント・ニュースの週次アセスメントでも、2026年第32週(8月上旬)の中国向けエクアドル産は、小売パックの塩水漬けやセミIQF製品を中心に値下がりが続いたと報じられている。7月末には販売を伸ばすために供給側が値を切る動きも出ていた。

具体的な週次のCNY建て単価は有料データのため本稿では扱わないが、価格帯の桁感として、2025年7月時点でエクアドル産バナメイの中国卸値はサイズ・荷姿によりおおむね1kgあたり32.75〜50.8元(約4.56〜7.07米ドル、150円換算で約684〜1,061円)のレンジが示されていた。ここから在庫調整でレンジ下限側へ押し込まれている、というのが足元の構図だ。

中国が最大市場になったからこそ、中国の在庫サイクルが越産価格を左右する

この話がベトナムに効いてくる理由は、市場構造の変化にある。ベトナムのエビ対中輸出は、2026年1〜5月で中国本土・香港向けが約7.11億米ドル(約1,066億円)、前年同月比プラス46%と急伸した。水産物全体で見ても、中国は2026年上半期にベトナム産を約14億米ドル(約2,100億円、前年比プラス40%)買い付け、米国を抜いて最大の輸入先になっている。2025年通年の対中エビ輸出が約13億米ドル(約1,950億円、前年比プラス55%)だったことを踏まえると、この1年で中国はベトナムのエビ需給を左右する存在に変わった。

最大市場が在庫調整に入るということは、越産エビの「出口」で買い手が一斉に強気の値切りに回るということでもある。エクアドル産の値崩れは、同じ中国市場でシェアを争う越産にとっても価格の天井を下げる。中国の在庫サイクルは、もはや越産の輸出単価を動かす外部要因ではなく、内側の変数になっている。

指標 数値 時期
越産エビ 対中国・香港輸出 約7.11億USD(約1,066億円)/前年比+46% 2026年1〜5月
中国のベトナム産水産物輸入 約14億USD(約2,100億円)/前年比+40%・米国抜き首位 2026年上半期
越産エビ 対中国輸出(通年) 約13億USD(約1,950億円)/前年比+55% 2025年
越産エビ 総輸出額 約23.5億USD(約3,525億円)/前年比+14.2% 2026年上半期
エクアドル産バナメイ 中国卸値(参考) 約4.56〜7.07USD/kg(約684〜1,061円/kg) 2025年7月時点

※米ドルは1USD=150円、参考卸値の元建ては当時レート約7.18元=1USDで換算。

越産は高付加価値シフトで、バナメイの値下げ競争を一部かわしている

ただし、越産が中国の値崩れをそのまま被るとは限らない。対中輸出の伸びを牽引しているのは、ブラックタイガーや高付加価値の加工品で、汎用バナメイの安値合戦から半歩ずれた領域だ。エクアドルが冷凍原料バナメイの物量勝負で中国に張り付いているのに対し、ベトナムは加工度と品種で単価を守る戦い方をしている。VASEPが在庫調整の主戦場としてエクアドル産を名指しし、越産全体の失速を報じていないのは、この棲み分けが効いているためと読める。

とはいえ完全な防波堤ではない。加工原料としてのバナメイ相場が中国発で下がれば、越産の原料調達コストも下がり、輸出オファーの下押し余地は広がる。値持ちの良い品種と、相場に連動する汎用品を分けて見る目が要る。ベトナムのエビ産業の構造は、ベトナム農業の成功事例で触れたコールドチェーンとトレーサビリティへの投資と地続きだ。養殖の主産地であるメコンデルタの生産事情はメコンデルタ農業地帯の特徴にまとめている。

「ゼロ在庫では回せない」——リバウンドを織り込んだ日本の調達

日本の買い手にとって、この局面は二つの意味を持つ。第一に、中国の需要が緩む間はベトナム産の一部に余剰が生まれ、日本向けオファーが軟化しやすい。中国と日本は越産エビの取り合いをしており、最大の買い手が発注を絞れば、その分の玉が他市場へ向かう。短期的には仕入れの追い風だ。

第二に、在庫調整は必ず反転する。中国の輸入筋の間では「全員が在庫を減らせば、いずれゼロでは回せなくなり、発注を再開せざるを得ない」という見方が出ている。8月10日時点の週次アセスメントではエクアドル産の値動きが下げ止まりの兆しを見せており、底入れから積み増しへ転じれば、いったん吐き出された在庫を補充する買いが相場を押し戻す。ドリアンで中国の需要変動が産地価格を揺らしたのと同じ力学が、エビでも働く(中国ドリアン需要とベトナム農業への影響)。

実務的な含意ははっきりしている。軟化している今のうちに、汎用バナメイ加工品は数量を確保する契約余地がある。一方でブラックタイガーなど値持ちの良い品目は、中国の高付加価値需要が下支えするため、大幅な値下がりを待つより通常の商談ペースで押さえる方が確実だ。中国の在庫が「減らす」から「積む」へ切り替わる転換点を見誤らないことが、仕入れ値の巧拙を分ける。

まとめ:中国の在庫の向きを、越産の値札より先に読む

2026年8月の中国エビ市場は、消費の弱さと在庫消化が重なってエクアドル産を軸に卸値を押し下げている。ベトナムは対中エビ輸出を1〜5月で前年比46%伸ばし、中国を最大市場に押し上げたぶん、この在庫サイクルと運命を共にする度合いが強まった。高付加価値シフトが越産に一定の緩衝を与えている一方、汎用バナメイは中国発の値動きに直結する。日本の調達現場が見るべきは、目先の卸値そのものより、中国の輸入業者が在庫を「減らす」局面にいるのか「積む」局面に入るのか——その向きだ。軟化とリバウンドの端境が、次の四半期の仕入れ値を決める。

参照元

  • VASEP「中国の卸値、輸入業者の在庫調整で下押し圧力」2026年8月5日:vasep.com.vn
  • Undercurrent News「Ecuador shrimp prices extend decline in China as volumes increase」2026年8月5日 ほか週次アセスメント(8月3日・8月10日):undercurrentnews.com
  • eFeedLink「Vietnam’s shrimp exports to China surge 46% in first five months of 2026」:efeedlink.com
  • ALIAT「China imports $1.4 billion of Vietnamese seafood in first half of 2026」:aliatlegal.com
  • Undercurrent News「UCN launches wholesale shrimp prices for Ecuadorian vannamei in China」2025年7月14日(参考卸値レンジ):undercurrentnews.com
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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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