NÔNG NGHIỆP VIỆT NAM — TẠP CHÍ NÔNG NGHIỆP ĐÔNG NAM Á

タイグエンの党支部書記が緑竹3haを先行、家族はタケノコで年4.5億ドン

ベトナム北部タイグエン省フー・ルオン県の動ダット(Động Đạt)集落で、党支部書記のブイ・ヴァン・ズオン氏が緑竹(tre lục trúc)およそ3ヘクタールを先行して植え、いまでは家族の年収が約4.5億ドン(1円≒170ドンの概算で約265万円)に達した。地元紙ダンヴィエットが2026年7月25日に報じた。新しい作物に村人が二の足を踏むなか、旗振り役が自ら最初の損失リスクを引き受けた——この順番が、タケノコという原料をひとつの産地に育てた。日本の食品メーカーにとっては、タケノコ水煮やメンマの調達先としてベトナムをどう位置づけるかを考える具体材料になる。

目次

動ダット集落で先に3haを植えたのは、村人ではなく党支部書記ズオン氏だった

報道によると、この集落では過去に導入された新規作物のプロジェクトが振るわず、農家は新しい品目に懐疑的だった。緑竹の原料区を成立させるには8ヘクタール分の登録が必要だったが、手を挙げる世帯が足りない。ここでズオン氏が2022年に栽培の研修を受け、不足していた面積を自ら引き受けた。まず自分が植え、収穫と販売で採算を示してから、周囲の農家が続いた。現在は8ヘクタールのうちズオン家族が約3ヘクタール、他の農家が約5ヘクタールを担う。

この「先に賭ける」構図は、ベトナム農村の産地化でしばしば起点になる。元党書記がボア種ヤギの飼育で村を立て直したトゥエンクアンの事例と並べて読むと、指導的立場の人物が最初の実証を負うことで合意形成が動く、という共通の型が見えてくる。技術や補助金より先に、誰が最初の1年を背負うかが分岐点になっている。

1本30kg・kg5万ドン、緑竹タケノコの採算が3〜3.5億ドンの直売収入を支える

数字を追うと、緑竹タケノコの経済性がはっきりする。ズオン氏の説明では、株1本あたりの年間投入は約4万ドン(概算で約240円)で、1本から採れる生タケノコはおよそ30キロ。収穫期は3月から10月までと長い。生タケノコの直売価格は1キロ5万ドン(約290円)で、家族の総収入4.5億ドンのうち3〜3.5億ドン(約176〜206万円)を生タケノコの販売だけで得ており、残る1〜1.5億ドンは苗木や下処理・乾燥品の販売が埋める。ピーク時には日雇い10〜15人を雇い、1日400〜500キロを出荷、配送先はハイフォン、ハノイ、タイグエン、ダナンに及ぶ。

製品形態 価格(1kgあたり) 円換算の概算
生タケノコ(直売) 5万ドン 約290円
下処理・パッケージ品 6万ドン 約350円
乾燥タケノコ 150万〜200万ドン 約8,800〜11,800円

価格差の桁が示す通り、乾燥まで進めると単価は生の30倍前後になる。苗木そのものにも需要があり、ズオン氏は健全な株を選んで苗として残し、ハザン省をはじめ複数の省から注文が入るという。植え付け後に長く採り続けられる多年生作物という点では、一度植えれば10年採れる薬用クチナシで山村が生薬産地に育ったランソンの事例と同じ収益構造を持つ。初期の植え付けを越えれば、毎年の投入が軽くなる。

買い取り保証と乾燥機が、8haの原料区を村ぐるみの産地に変えた

ズオン氏の役割は、自分の畑で稼ぐことにとどまらない。品質基準を満たした製品は自分が買い取ると保証し、周囲の農家に技術支援を続けている。買い取り先が読める状態を先に作ったことで、後発の農家は価格の不安を抱えずに植えられた。加えて乾燥機とトレーサビリティのラベル、パッケージ設備を導入し、生のまま安値で流すしかなかった原料を、乾燥品という高単価の形にまで持ち上げた。

ここには、集落単位で加工まで一貫させると土地の価値が跳ね上がる、という再現性のある設計がある。遊休林を林床のキノコ栽培で年7億ドンの収益源に変えたフート省の事例と同様に、使い道の乏しかった土地に加工と販路を組み合わせる発想が効いている。緑竹の場合は、竹という耐久性のある資源に、タケノコという毎年の現金収入を重ねられる点が強い。

台湾由来の甘い緑竹は、水煮とメンマで性格が分かれる

緑竹(tre lục trúc)は中国南部・台湾に由来し、1990年代前半にバクザン省で本格栽培が始まった品種とされる。甘みと歯ざわりの良い生食向きのタケノコで、ベトナムでは荒れ地に植えて1ヘクタールあたり年3〜5億ドンの収入を得る例が各地にある。動ダット集落の採算は、この一般的な水準の中にきれいに収まっている。

日本側の調達で気をつけたいのは、タケノコ加工品のなかで用途が分かれる点だ。水煮やスライスに向くのは緑竹のような甘い生食系タケノコで、メンマは麻竹(Dendrocalamus latiflorus)を乳酸発酵させて作るのが本来の姿とされる。品種と加工法が違えば、狙う棚も違う。緑竹の産地は水煮・惣菜・乾燥品の原料として見るほうが実態に近く、メンマ原料として横並びに評価すると齟齬が出る。現状、日本のタケノコ水煮やメンマの原料は中国・台湾産が主軸だが、調達先を1国に寄せない動きのなかで、ベトナムは供給の受け皿として名前が挙がりつつある。動ダット集落のように乾燥機とラベルを備えた小さな産地は、その受け皿の最小単位になる。

リーダーが先に損を引き受ける普及モデルは、他の一次産品にも移せるか

この事例で日本の調達担当が持ち帰るべきは、タケノコの単価表よりも普及の順番だと考える。新規作物が村に根づかないのは、多くの場合で技術不足ではなく、最初の1年の赤字を誰も背負いたがらないからだ。動ダット集落では、その1年を党支部書記が引き受け、採算を見せ、買い取りを保証した。産地としての信頼は、この順番の上に積み上がっている。

調達側がベトナムの小さな産地を評価するとき、面積や価格だけでなく「誰が最初の実証を担い、誰が買い取りを保証しているか」を見ておくと、供給の安定度を読み違えにくい。旗振り役が明確な産地は、後発農家の離脱が起きにくく、量と品質の両面で読める。緑竹タケノコに限らず、香辛料でも果実でも、この構図を確認する習慣が調達の外れを減らす。

参照した情報源

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

目次