ベトナムの青果輸出業者ミチ・フルーツが、品目ごとの仕向地と週あたりの出荷本数を取材で明かした。FreshPlazaが2026年9月23日に掲載した記事で、同社のエリック・ミチ氏は、ココナッツを欧州と米国の2市場あわせて週およそ5〜10コンテナ、マンゴーを豪州へ週およそ1コンテナ出していると述べる。日本向けの話は取材記事に出てこない。それでも品目ごとに行き先を固定している相手だと分かること自体が、日本の食品バイヤーには商談前の材料になる。
ココナッツの週5〜10コンテナは欧州と米国を合わせた本数
この5〜10という数字の掛かり方に注意がいる。ミチ氏の発言は「ココナッツの主要市場は欧州と米国で、両市場あわせて週におよそ5〜10コンテナ」という形だ。欧州に5〜10、米国に5〜10ではない。2市場の合計で、欧州と米国の内訳までは出ていない。目標値でもなく、取材時点で現に出している本数だ。
ドラゴンフルーツ、パッション、マンゴーで行き先が分かれる
同社の扱いは4品目で、それぞれ別の市場へ向かう。ドラゴンフルーツは欧州へ航空便、パッションフルーツはフランス中心で一部オランダ、マンゴーは豪州でメルボルンが主要な着地だ。ミチ氏は「ココナッツとドラゴンフルーツは欧州と米国にしか送っていない。いまドラゴンフルーツをアジア市場には一切出していない」とも述べる。アジア市場を外す判断は品目ごとに出ている。
| 品目 | 主な仕向地 | 輸送手段 | 頻度・数量 |
|---|---|---|---|
| ココナッツ | 欧州・米国 | 海上 | 2市場あわせて週約5〜10コンテナ |
| ドラゴンフルーツ | 欧州 | 航空 | 記載なし |
| パッションフルーツ | フランス中心、一部オランダ | 記載なし | 記載なし |
| マンゴー | 豪州(メルボルン中心) | 青いうちは海上、熟度が進めば航空 | 週約1コンテナ |
コンテナの大きさが分からないと重量に直せない
週5〜10コンテナという単位は、聞いた側の尺度に直しにくい。20フィートか40フィートか、殻付きの丸のままか外皮を削った形かで、1本に載る重量も個数も変わる。取材記事はそこに触れておらず、この数字だけではトン数を詰められない。商談の冒頭でコンテナ規格と積載形態を確認すれば、相手の供給余力を自社の発注ロットと同じ土俵に乗せられる。
雨季明けの9月から増やす話で、増えた後の数字ではない
ミチ氏は今年の雨季を5月末から8月末と区切り、晴天期より数量が落ちると説明する。そのうえで9月から供給が増える見込みで、既存市場への出荷を増やしつつ仕向地も足したい、と語る。増やすのはこれからの話だ。
5月末から8月末が数量の少ない時期にあたる
ミチ氏が語ったのは品目をまとめた全体の増減だ。数量を詰めるなら、年間の平均本数ではなく、端境期にどこまで下がるかを月別で出してもらうほうが実務に合う。ミチ氏は海上輸送が航空よりはるかに安い一方、日数が延びるぶん船の遅れが品質リスクになるとも述べる。
ブリスベン追加は来年の計画として語られている
豪州については、メルボルンに加えてブリスベンへ来年広げる計画がある、という言い方になっている。すでに出荷しているわけではない。「豪州2都市へ供給中」と読み替えると、相手の実績を1段階上に見積もる。香港のアジア・フルーツ・ロジスティカ2026に越22社が出展した動きを整理した香港アジア果実展に越22社、中国以外へ動く取引先の名前では、行き先を名指しする企業が日本の商社の入口になると書いた。ミチ社はそこからもう一段細かく、品目別の仕向地に週あたりの本数まで付けている。
ミチ社の4品目を全国の輸出統計に重ねると伸びと減りが割れる
竜果とマンゴーが前年割れ、パッションとココナッツが伸びた
本サイトが9月に整理したカシュー111%増で竜果に並ぶ、越の果実輸出が入れ替わるでは、2026年1〜7月の集計で竜果が3.219億ドルの1.6%減、マンゴーが2.65億ドルの2.5%減、パッションフルーツが1.868億ドルの25.6%増だった(出所はMekong ASEAN経由の業界集計)。輸出総額が1〜8月で58.7億ドル、21.8%増という局面での前年割れなので、構成比は落ちている。ミチ氏が力を入れる品目に竜果が入る点は全国の趨勢と噛み合わないが、同社はそれを欧州へ空輸で出す。既報は竜果の前年割れの背景に中国市場での競合を挙げており、同社の配置はその主戦場を外している。
| 品目 | ミチ社の扱い | 全国の輸出動向(本サイト既報の集計) |
|---|---|---|
| ココナッツ | 欧米へ海上、2市場計で週5〜10コンテナ | 対米は1〜7月で1億527万ドル、28%増 |
| パッションフルーツ | フランス中心、一部オランダ | 1〜7月で1.868億ドル、25.6%増 |
| ドラゴンフルーツ | 欧州へ航空便 | 1〜7月で3.219億ドル、1.6%減 |
| マンゴー | 豪州へ週約1コンテナ | 1〜7月で2.65億ドル、2.5%減 |
右の列の出所は、対米が税関局の数字をVnExpressが報道したもの、他はMekong ASEAN経由。左の列とは集計元が違い、同社の本数と全国の金額を割ってシェアは出せない。
対米ココナッツ1億527万ドルが欧米志向の裏づけになる
ココナッツを欧米に振り向ける判断には、需要側の数字が対応する。越産ココナッツが対米青果で首位、1億527万ドルはマンゴーの3.2倍超で扱った税関局の集計では、2026年1〜7月の対米ココナッツ輸出が1億527万ドルで、対米青果およそ3億6,100万ドルの29%を占めた。同期間の対米マンゴーは3,230万ドル、対米竜果は2,670万ドル。ミチ社の配置はこの需要に乗る形だ。
越の同業が安値を出し、ミチ氏は値段を自社の課題に挙げた
取材記事はベトナム勢どうしの価格圧力を前面に出す。ミチ氏の発言として「多くのベトナムの輸出業者が非常に低い価格を市場に出すので、価格設定が自分の課題だ」という一文が載る。行き先を欧米に絞っても競争からは抜けられない。
価格競争の話で、比べられる単価は別に取りにいく
取材記事が扱うのは価格競争という状況で、ミチ社のFOB建値や買取価格までは出てこない。ベトナム産青果は、畑先渡し、選果場・加工場渡し、輸出FOB、輸入後の卸値、小売店頭で同じ品目でも桁が変わる。段階をそろえずに倍率を出すと、交渉の前提が崩れる。
米国店頭の1個1.99ドルは小売段階の数字
水準の当たりをつける材料は本サイト既報にある。VnExpressが伝えたVina T&TのCEOの説明では、ベトナム産生ココナッツが米国の小売段階で1個あたり約1.99ドル、9個入り1箱で16.99〜17ドルだった。別の輸出業者が語った棚の価格で、ミチ社の建値でもFOBでもない。倍率を出す材料にはならず、最終需要の価格帯を確かめる用途に限られる。
日本の買い手が商談前に確かめられる材料
ミチ社の日本向け出荷に、今回の取材記事は触れていない。一方で同社が自社サイトに公開する情報からは、初回の面談前に確認できる材料が取れる。
認証はココナッツなど4品目で、期間は1年単位
同社の認証ページには、GLOBALG.A.P.の有効期間が2025年10月23日から2026年10月22日までと記載され、対象品目にココナッツ、ドラゴンフルーツ、ロンガン、パッションフルーツの4つが挙がる。GRASPも同じ期間、SMETAは2025年9月22日を開始日として載る。いずれも同社サイトの記載で、期間は1年単位になっている。実務で効くのは対象品目の範囲のほうだ。ページに並ぶ4品目に豪州向けのマンゴーは入っていないので、最新の証書と登録番号、品目ごとにどの規格で管理しているかを最初の問い合わせで確かめたい。
| 項目 | 内容(2026年9月25日時点の同社サイト) |
|---|---|
| 社名 | MICHI Fruit Company Limited(報道表記はMichi Fruits) |
| 所在地 | No 435 Quarter 25, Dao Thanh Ward, Dong Thap Province, Vietnam |
| 連絡先 | 電話・WhatsApp・Viber +84 945 87 87 82 |
| GLOBALG.A.P./GRASP | 同社サイトの記載でいずれも2025年10月23日〜2026年10月22日。GLOBALG.A.P.の対象はココナッツ、ドラゴンフルーツ、ロンガン、パッションフルーツ |
| SMETA | 開始日2025年9月22日 |
| その他 | HACCP、FDA証書 |
海上と航空をどの品目で切り替えているか
ミチ氏の説明では、青いマンゴーは海上、熟度が進めば航空、欧州向けドラゴンフルーツも航空、ココナッツは海上で、輸送手段の使い分けはそのまま品質条件の話になる。ただし豪州向けの熟度設計をそのまま日本に当てはめられるとは限らない。検疫条件も航路の日数も仕向地で違う。既存の航路で何日かかり、どの熟度で出しているかは品目別に聞いておきたい。
最初のメールの用件を一つに絞るなら、10月から12月に既存の仕向地へ約束済みの本数を品目別に出してもらうことだ。豪州向け週1コンテナ、欧米向けココナッツ週5〜10コンテナは足元の配分で、9月以降に増える分の行き先までは取材記事から読めない。約束済みを引いて残りがあるなら、そこが日本から声をかける余地になる。認証の対象品目と最新の証書を同じ文面で頼めば、次から価格と取引段階の話に進める。