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ソンラのバンレイシが1個1.3kg、畑先で完売し4haで利益15億ドン

ベトナム北西部ソンラ省マイソン県で、1個0.8〜1.3kgに育つ大玉のバンレイシが収穫初日から畑先で買い手に囲まれ、注文が途切れない状態が続いている。かつてトウモロコシとキャッサバの自給地だった斜面が、タイ種・台湾種・サウリエン種への植え替えとライブ配信販売で、1戸あたり利益15億〜18億ドン(約857万〜1,029万円)を生む果樹産地に変わった。日本の青果バイヤーにとっては、山岳の小規模農家が産直とECだけで単価と回転を両立させた実例として読む価値がある。

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マイソン県1,160haのうち920haが実り、年9,000トンが山から下りる

マイソン県のバンレイシ栽培面積は1,160haで、うち920haがすでに収穫期に入り、年間の生産量はおよそ9,000トンに達する。この地域は標高が高く昼夜の寒暖差が大きいため、果肉に糖が乗りやすい。以前は主にトウモロコシやキャッサバを植えていた痩せ地で、現金収入が細く出稼ぎに頼る世帯も多かった土地だ。

県内では協同組合が核になり、契約栽培の枠組みが広がっている。協同組合理事長のグエン・フウ・トゥ氏が束ねる提携面積は約300haで、そこから年6,500トンが安定的に出荷される。産地全体の生産量の7割強が組合を通じた計画的な供給に乗っている計算になり、収穫のピークに価格が崩れにくい構造がつくられている。

バンレイシの収穫は夏から初秋に集中する。同じ時期には各地の在来種も一斉に出回るため、他産地と同じ玉を作っていては価格競争に巻き込まれる。マイソンが選んだのは、玉を大きくし種を減らした差別化種で単価帯を一段上げる道だった。ベトナム国内では大玉・少種のバンレイシが贈答や都市部のスーパー向けに需要を伸ばしており、痩せ地を抱える北西部の県がこの需要をつかんだ形になる。

1個0.8〜1.3kg・畑先30,000〜40,000ドン、ホイ氏は4haで利益15億ドン

玉の大きさが従来の在来バンレイシと段違いで、上物は1個1.3kgを超える。畑先での取引価格は1kgあたり30,000〜40,000ドン(約170〜230円)で、収穫と同時に業者や個人買いが列をつくる。農家のグエン・クオック・ホイ氏は4haで約80トンを見込み、経費を差し引いて15億ドン超(約857万円)の利益を計算する。別のグエン・フウ・ロン氏は5haのうち3haが実り、60トンで18億ドン(約1,029万円)を見込む。

項目 ホイ氏 ロン氏
栽培面積 4ha 5ha(うち収穫3ha)
収穫見込み 約80トン 約60トン
利益見込み 15億ドン超(約857万円) 18億ドン(約1,029万円)

為替は1円≒175ドン、1USD≒148円で概算。畑先価格・利益は原記事の農家申告値で、選果や年により変動する。

ドー・レー・トゥイ氏のライブ配信が1日100〜200件、日量2トンをさばく

この産地の伸びを支えているのは、卸に丸投げしない売り方だ。生産者のドー・レー・トゥイ氏はスマートフォンからのライブストリーム販売で、1日に100〜200件の注文を受け、多い日は2トンを直接消費者へ届ける。収穫の様子や玉の重さを画面で見せながら価格を提示し、仲買を挟まずに畑と食卓をつなぐ。大玉で見栄えがするバンレイシは、映像で訴える販売と相性がいい。

産直とライブ販売を組み合わせると、収穫のピークに集中しがちな出荷を細かく散らせる。市場価格が下がる時期でも、指名買いの層に一定単価で流せるため、農家の手取りが読みやすくなる。仲買に渡す取り分が消える分、同じ畑先価格でも生産者の実入りは厚くなり、翌年の苗や資材への再投資に回せる。北部では夜間のLED点灯と観光を組み合わせてドラゴンフルーツの利益を積み上げるトゥエンクアンの事例もあり、山岳の果樹が販路そのものを設計し直す動きは各地で重なっている。

ただし、この売り方は玉の見栄えと鮮度が命綱になる。ライブ配信で映した通りの大玉が届かなければ指名買いは離れる。マイソンの農家が摘果や選果に手をかけるのは、映像で見せた品質を実物で裏切らないためでもある。売り方と作り方が一本の線でつながっている点が、単なる直販とは違う。

タイ種・台湾種・サウリエン種への植え替えが自給地の稼ぎ方を変えた

マイソンで植わっているのはタイ種、台湾種、そして果肉が濃厚で名前に「サウリエン(ドリアン)」を冠する大玉種だ。いずれも在来種より玉が大きく、種が少なく可食部が多い。収量と単価の両方が持ち上がるため、同じ面積でもトウモロコシの数倍から十数倍の粗収入になる。ソンラ省ではトウモロコシ畑がアラビカや果実に置き換わる転換が進んでおり、バンレイシもその流れの一つだ。

品種を替えれば売れる、という単純な話ではない。玉を大きくするには摘果と施肥、剪定の管理が要る。組合が苗と技術を共有し、収穫期を分散させる栽培管理を敷いているからこそ、大玉が畑先で捌ける。個別農家が樹ごとに管理を詰めて稼ぐ姿は、樹単位で採算を組む越ドリアン農家の考え方とも通じる。

日本の輸入業者がソンラを産直の教材として読む理由

バンレイシは日持ちと追熟の難しさから、生果での対日輸入がすぐ動く品目ではない。それでもソンラの事例は、日本の青果・加工バイヤーに二つの示唆を残す。一つは、産地が卸依存を脱してライブ販売で単価を保つと、契約時の希望価格が上振れしやすいこと。もう一つは、大玉・少種のプレミアム種が組合単位で面的に増えている点で、将来ピューレやドライ、冷凍パルプといった加工原料として調達候補に上がる余地があることだ。

気をつけたいのは、国内直販で単価が取れている産地ほど、輸出向けの手間に振り向く動機が弱いことだ。ライブ販売で当日完売する農家にとって、輸出に必要な栽培地コードや残留農薬の検査、追熟・冷蔵の物流を新たに組む負担は割に合いにくい。日本側が組みたいなら、加工原料としての年間契約や、選果・一次加工を現地で担う座組みまで踏み込んで初めて、産地の関心が向く。ソンラは「まだ日本に出ていないから狙い目」ではなく、「なぜ出ていないのか」を先に読み解く産地だと考えたほうがいい。

実務では、次の点を早めに押さえておきたい。

  • 取引の起点は個別農家より協同組合。理事長単位で提携面積と出荷計画を確認する。
  • 畑先価格は1kg30,000〜40,000ドンが基準線。ライブ販売の指名買いがある産地は値引き余地が小さい。
  • 生果より加工向けの引き合いが現実的。追熟のばらつきを前提に、ピューレ・冷凍での規格をすり合わせる。
  • タイ種・台湾種・サウリエン種で果肉の濃さと種の量が違う。用途に合う品種を指定する。

自給の斜面がわずか数年で年商数億ドンの果樹産地に変わった背景には、品種の入れ替えと、卸を通さず自分で売り切る販路の設計がある。ソンラのバンレイシを日本の店頭で見る日はまだ先でも、産地がどう単価を守り、どの窓口で交渉が始まるのかは、いま調達先を分散させたいバイヤーが観察しておくべき現在進行形の動きだ。

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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