NÔNG NGHIỆP VIỆT NAM — TẠP CHÍ NÔNG NGHIỆP ĐÔNG NAM Á

森の山菜ラウニップをカシュー畑の林床で育てるドンナイの副収入

ベトナム南部ドンナイ省ブダン郡トーソン社で、M’nông(ムノン)族の農家がこれまで森で採るだけだった山菜「ラウニップ(rau nhíp)」をカシュー(điều)とコーヒーの樹下に植え、副収入に変えている。農家のディウ・ティ・グルン(Điểu Thị Glung)さんは約2.5haの畑にラウニップを混植し、1〜8月で約4,000万ドンを売り上げた。カシュー1本を植えた土地の林床をもう一段使う複合経営で、日本の輸入バイヤーや中山間地の産地にとっても、樹下空間と在来野菜の組み合わせをどう調達・産地化に落とすかを考える材料になる。

目次

カシュー樹下の2.5haで、ラウニップが1kg最大15万ドンで動く

ラウニップはベトナム中南部の森に自生する野草で、若い芽と葉を摘んで食べる。グルンさん世帯は主作物のカシューとコーヒーの間の日陰にラウニップを植え、樹冠の下という同じ面積を二重に使っている。摘み取りは日々の作業で、朝夕に畑へ出て葉を集めれば現金になる。

価格は通常期で1kgあたり6万〜8万ドン、需要が張る時期には15万ドンまで上がる。グルンさん世帯はこの販売で年初から約4,000万ドンを積み上げた。カシューやコーヒーの収穫が年に集中するのに対し、ラウニップは日銭を生む点が家計の下支えになっている。

項目 現地価格・金額(ドン) 円換算(概算)
ラウニップ 通常期 60,000〜80,000/kg 約340〜460円/kg
ラウニップ 需要期の高値 150,000/kg 約860円/kg
グルンさん世帯 1〜8月の販売額 約40,000,000 約23万円

為替は1円≒175ドンで概算。現地の実勢や時期で変動する。

森の採取からTrảng Cỏ Bù Lạch農協の年16トン出荷へ

個々の摘み取りが販路につながるのは、集荷と出荷を束ねる協同組合があるからだ。ラウニップ有機カシュー農協「HTX Nông nghiệp Điều hữu cơ Trảng Cỏ Bù Lạch」は、年間およそ16トンのラウニップをまとめ、複数省の飲食店や食材店へ供給している。森からの天然採取に頼っていた食材が、樹下栽培と共同出荷で数量の読める商材に変わりつつある。摘み取りを個人任せにせず組合が16トン規模で束ねることで、単発の販売が都市部の飲食チャネルへの継続供給に置き換わっている。

ラウニップはOCOP(一村一品)で3つ星の認定を受けた。地域の特産として星の数が付くことは、域外のバイヤーが品質と産地を確認する入口になる。地方OCOP品が小売の棚に並ぶ動きは各地で進んでおり、コープマートが地方OCOP54品を棚に並べた事例のように、認定と流通が結びついて初めて産地の収入に返ってくる。

261人のĐồng Xanh農協が示す、少数民族主体の有機複合経営

同じブダン郡ダクニャウ社では、有機農業農協「HTX Nông nghiệp hữu cơ Đồng Xanh」が組合員261人を抱え、うち213人(約82%)が少数民族だ。年商は約210億ドン(約1.2億円)、利益は約5億9,000万ドン(約340万円)に達する。カシューやコーヒーの有機栽培を軸に、林床や樹間の空間を野菜・薬草へ広げる複合経営が、少数民族の世帯収入を底上げする形が地域に根づいている。

ラウニップの樹下栽培も、この流れの一部だ。単一作物の相場に世帯収入をぶら下げず、同じ土地から複数の現金源を引き出す設計が、山間部の小規模農家に合っている。カシューは加工・輸出相場の影響を受けやすく、コーヒーも収穫が年に集中する。相場が沈んだ年でも、足元のラウニップが日々6万〜8万ドン/kgの現金を生めば、世帯は主作物の端境期を越えやすい。森林の階層を残したまま下層で収益を取る発想は、ゲアン省が林床の薬用植物を大径材と一体化させたハイテク林業区とも重なる。

樹冠を壊さず下層で稼ぐ、低コスト複合経営の強み

この取り組みの核は、新たな土地取得も高額な施設投資もいらない点にある。カシューやコーヒーの畑はすでにある。その足元の日陰は主作物にとって使いにくい空間だが、日陰を好むラウニップにはむしろ向く。苗は森の在来種を移植でき、種苗コストも小さい。収穫は手摘みで、機械も要らない。

樹冠を伐らずに下層で現金を得る組み立ては、遊休林や果樹園の空間を収益化する各地の動きと同じ方向にある。フート省では林冠の下でキノコを育て遊休林を稼ぐ森に変えた農家が現れ、山の斜面や樹下という「使いにくい面積」を収入源へ転換している。ラウニップも、森を切り開かずに森の産物を畑へ移すことで、環境負荷を抑えつつ日々の収入を作る。バイヤー目線では、天然採取品にありがちな供給の不安定さを、栽培化と組合出荷でどこまで平準化できるかが調達可否の分かれ目になる。

日本の中山間地・山菜栽培化と重なる論点

日本でも、わらびやこしあぶら、うるいといった山菜は長く天然採取に依存し、採り手の高齢化で供給が細ってきた。ラウニップの樹下栽培は、森の野草を果樹園や林の下層で計画的に育て、共同出荷とOCOP認定で流通に乗せる筋道を示す。中山間地の耕作放棄地や手入れの止まった林を、下層の在来野菜で収益化する発想は日本の産地づくりにも接続できる。既存のカシュー・コーヒー園をそのまま使い、苗は在来種を移植する低投入モデルは、間伐が滞った人工林や放任された果樹園を抱える日本の山間集落にも移しやすい。乾燥野菜や山菜加工の調達を考える立場からは、ラウニップのような在来山菜が栽培化・認証化される段階に入ると、原料の安定確保と品質の裏取りが現実的になる。輸入や共同開発の候補として、産地の組合体制と数量の再現性を早い段階から確認しておく価値がある。

調達で押さえる実務ポイント

  • 供給主体は個人農家より組合。Trảng Cỏ Bù Lạch農協が年16トンを束ね、複数省へ出荷している集荷力を確認する。
  • OCOP3つ星は品質・産地確認の入口。認定書と検査記録を実際に取り寄せる。
  • 価格は通常6万〜8万ドン/kg、高値期15万ドン/kgと変動が大きい。年間の価格帯と出荷カレンダーを押さえる。
  • 天然採取由来の栽培品は数量が読みにくい。契約前に月別の収穫量実績を出してもらう。
  • 樹下栽培は無農薬・低投入と親和的だが、有機を名乗るなら認証区分(有機/VietGAP等)と適用範囲を書面で確認する。

林床の特産野菜が中山間の副収入になる条件

ドンナイ省ブダン郡のM’nông族農家は、森で採るだけだったラウニップをカシューとコーヒーの樹下2.5haに植え替え、1kg最大15万ドン、世帯で1〜8月に約4,000万ドンの副収入を作った。組合が年16トンを集約しOCOP3つ星まで押し上げたことで、天然採取品が数量の読める商材へ動いている。日本の山菜栽培化や中山間地の林床活用を考える調達担当は、まずTrảng Cỏ Bù Lạch農協に月別の収穫実績とOCOP認定書を求め、栽培化の再現性を数字で確かめるところから始めたい。

参照元

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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