ベトナムの対米青果輸出で、ココナッツが品目別の首位に立った。VnExpressが2026年9月22日に報じたベトナム税関局(Cục Hải quan)の集計では、2026年1〜7月の対米ココナッツ輸出が1億527万ドルに達し、マンゴーの3,230万ドル、竜果(ドラゴンフルーツ)の2,670万ドルを大きく上回った。道端にあふれるほど並べて売られる果実が、対米青果およそ3億6,100万ドルの29%を占める最大品目になっている。日本の食品バイヤーにとっては、米国の棚で何が選ばれ、その供給元がどこなのかを読み取れる材料になる。
対米ココナッツ1億527万ドルは青果全体の29%、伸び率は全体の約2倍
税関局の集計で、2026年1〜7月の対米青果輸出は約3億6,100万ドル(前年同期比+14.4%)。このうちココナッツが1億527万ドル(約2兆7,000億ドン)で、前年同期から28%増えた。1年前の同期は8,200万ドルで対米青果の26%を占めていたから、金額は2,300万ドル超の積み増し、構成比は3ポイント超の上昇になる。ココナッツの伸び率28%は、青果全体の14.4%のほぼ2倍にあたる。
| 品目 | 2026年1〜7月の対米輸出額 | 前年同期比 | 対米青果に占める比率 |
|---|---|---|---|
| ココナッツ | 1億527万ドル | +28% | 29% |
| マンゴー | 3,230万ドル | ― | 約9% |
| 竜果(ドラゴンフルーツ) | 2,670万ドル | ― | 約7% |
| 青果全体 | 約3億6,100万ドル | +14.4% | 100% |
金額と前年比、ココナッツの29%はVnExpressが伝えた税関局の数字で、青果全体は原文でも概数として示されている。マンゴーと竜果の比率は本サイトで算出した。原文はこの1億527万ドルの生鮮・加工の内訳を示していない。
首位の入れ替わりは、あくまで米国市場に限った話だ。本サイトが9月に整理した品目別の輸出構成の入替では、同じ2026年1〜7月にベトナムの竜果輸出が全世界向けで3億2,190万ドル、マンゴーが2億6,500万ドルだった。こちらの全世界集計は別の出所(Mekong ASEAN経由)で、対米の数字とは集計元が違う。単純に割れば、対米はマンゴー輸出全体の約12%、竜果の約8%にとどまる。両品目の主戦場は依然として米国以外にあり、今回の順位変動は米国の棚でココナッツが伸びた結果として読むのが実態に近い。
Vina T&Tは2017年からベンチェ省で産地を作り、2022年に対米出荷を再開した
輸出大手Vina T&TのCEOグエン・ディン・トゥン氏は、ベトナム産ココナッツが2019年より前に米国へ出ていたものの、その後は技術要件と市場開放の手続きによって途絶えたと説明する。再開は2022年で、同社は品種や原料産地から保存、製品の形まで、それまでと違う進め方を取った。
トゥン氏によれば、かつて輸出向けに使われた一部の品種は果実が大きい一方で、味が米国の消費者に合っていなかった。米国側の嗜好も動いており、タイの一部の dừa dứa のように甘みが強いものより、すっきりと軽い味を好む買い手が増えている。これに対してベンチェ省の dừa xiêm xanh は、すっきりした甘さと後味の軽さを持つ。この傾向をつかんだ同社は2017年からベンチェ省で dừa xiêm xanh の原料産地を育ててきた。
木にある間とは別の課題として、長い輸送距離を経ても買い手の手元で十分に新鮮であることが求められた。保存技術によって、生ココナッツの使用可能な期間は70〜80日まで延びた。包装も変わり、栓の形(dạng nút)に削る形も出ている。割るための器具を使わずに開けて、そのまま飲める。
米国の店頭は1個1.99ドル、トゥン氏は生鮮需要に年20%超の余地を見る
米国でのベトナム産ココナッツの小売価格は、1個あたり約1.99ドル、または9個入り1箱で16.99〜17ドル。箱売りを1個あたりに割り戻すと約1.89ドルで、バラ売りとの差は10セント前後にとどまる。買い手はベトナム人やアジア系の住民だけでなく、米国人にも広がったとトゥン氏は述べる。VnExpressが掲載した写真は、ニューヨークのスーパーマーケットの棚に並ぶベトナム産の生ココナッツをVina T&T提供として伝えている。
伸びの余地についてトゥン氏は、米国の生ココナッツ需要が今後数年、年20%を超えて伸びる可能性があるとの見方を示す。一方で缶詰のような加工ココナッツの分野は比較的飽和しているという判断だ。生鮮と加工で見立てが分かれている点は、原料の形態を選ぶ段階で確かめておきたい。
ベトナムココナッツ協会のコア事務局長は、再購入につながらないリスクを課題に挙げた
ベトナムココナッツ協会のカオ・バー・ダン・コア事務局長も、米国市場にはベトナム産ココナッツの余地がまだ大きく、製品は最初の段階に入ったばかりだと見る。ベトナム産が入る前、米国が主に使っていたのはタイと南米諸国のココナッツだった。
ただしコア氏は、対米輸出を持続的に伸ばすには受注と生産量を追うだけでは足りないと指摘する。1人が試しに買っても買い直すとは限らず、品質が安定しない、あるいは製品が約束と違えば、顧客を失うおそれがあるという。必要なのは、地域ごとの消費者と流通の仕組み、そして競争のしかたを理解し、販売のたびに透明性と信用を保つことだと述べている。同氏はこれを、規模が小さく資源も限られている多くのココナッツ企業にとっての難所と位置づけている。品質のばらつきと約束不履行というこの指摘は、輸出額が28%伸びた局面での注意書きとして出ている。
コア氏が挙げた企業規模と資源の制約に加えて、原料相場も動いている。本サイトが6月に伝えた生ココナッツの過去最高値の時点では、農家の庭先価格が1ダース18〜21万ドン(既報の円換算で約1,040〜1,210円)、輸出業者の買付が20〜22万ドンまで上がり、干ばつと病害でタイ・スリランカ・フィリピンを含む産地全体が前年比50〜100%の高騰となっていた。9月時点の水準は確認できていない。
日本の買い手が持ち帰れるのは米国で売れている形と供給元の2点
日本の調達担当が今回の報道から確実に持ち帰れるのは、米国で売れている形(1個1.99ドル前後のバラ売りと9個入り箱、鮮度70〜80日、器具なしで飲める栓型)と、その供給元がベンチェ省の dừa xiêm xanh だという2点になる。日本向けの輸入条件や検疫上の扱いはこの報道の範囲外で、品目ごとに個別の確認が必要だ。コア氏が挙げた再購入の不確かさ、品質のばらつき、約束との差は、買い手の側から見れば供給者を選ぶ基準の一覧に読み替えられる。規格と鮮度、出荷実績を書面で提示できる相手を早めに絞っておけば、トゥン氏が見込むように米国の需要が年20%を超えて伸びる場合でも、数量と価格を話す余地を残せる。
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