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韓国が越をKフード物流ハブに、日本の調達はどう動く

韓国が、ベトナムをASEAN向け「Kフード」の物流・流通ハブに正式指定した。韓国農林畜産食品部が7月7日に発表した方針で、ハノイに構えた大型物流センターを起点に、加工食品と生鮮品をカンボジアやラオスへ再配送する構図を描く。舞台となったベトナムは、日本の食品バイヤーにとっても仕入れ地であり、加工委託先であり、対ASEANの中継地でもある。韓国が先に敷いたこの物流網は、日本の調達・輸出の設計を考え直す材料になる。

目次

ハノイの物流センターを起点にASEANへ再配送

方針の中心にあるのは、6月に稼働を始めたハノイの物流センターだ。通常倉庫に加え、冷凍・急速冷却・コールドチェーンを備え、イチゴ・ブドウ・梨といった生鮮果実や畜産品の鮮度を保ったまま扱える設計になっている。ベトナムは韓国にとって農食品輸出の第4位市場であり、そこに拠点を置いて周辺国へ広げる発想である。

再配送の担い手として名前が挙がるのが、ベトナム国内で150店超を展開する韓国系スーパー「Kマート」だ。農食品部は同社の物流・流通網を使い、共同マーケティングとカンボジア・ラオスへの供給拡大を協議している。自前の店舗網と冷蔵物流を、そのまま近隣国への足がかりに転用する動きといえる。

展示会で46件のMOU、数字が示す実需

ハブ指定の直接のきっかけは、7月2〜3日にハノイで開かれた「ASEAN Kフードフェア2026」だった。ここで韓国の農食品輸出企業45社が、ASEAN各国から集まった輸入業者107社と商談し、合計2,100万ドル相当の覚書46件が結ばれている。展示会での覚書は最終契約ではないものの、45社対107社という数の厚みは、Kフードの実需がハノイに集まっている実態を裏づける。

項目 内容
ハブ指定の発表 2026年7月7日(韓国農林畜産食品部)
物流センター稼働 2026年6月・ハノイ/冷凍・急冷・コールドチェーン装備
ベトナムの位置づけ 韓国の農食品輸出 第4位市場
Kフードフェア成果 韓国45社×輸入107社/覚書46件・計2,100万ドル
再配送の想定先 カンボジア・ラオスなどASEAN近隣国

なぜ韓国は「生産地」でなく「物流」を押さえたか

注目したいのは、韓国がベトナムを原料の生産地としてではなく、消費地兼中継地として押さえた点だ。ベトナムはすでに水産や青果を大量に輸出する供給国だが、韓国はそこへ「自国の完成品を流し込む出口」として拠点を築いた。生産地の争奪ではなく、流通の主導権を取りにいく発想である。イチゴ・ブドウ・梨という日本産とも競合しうる品目をコールドチェーンで運ぶ体制は、ASEAN市場での棚の取り合いが、鮮度を保てる物流を持つ側に有利へ傾くことを示している。

ベトナム自身も、生鮮のまま安く出す段階から、加工して付加価値をつける段階へ動いている。国内の青果は上半期だけで大きな輸出額を積み上げつつ、加工へ軸足を移す動きが鮮明だ。水産でも、日本の調達側が「加工」という穴場に目を向け始めている。韓国の物流ハブは、こうしたベトナムの加工力と冷蔵インフラの上に乗る形で機能する。

日本の食品・物流企業への示唆

ここで日本側が読み取るべきは、二つの構造変化だ。第一に、ASEANの食品流通において「ベトナムを起点に近隣へ配る」モデルが実際に動き始めたこと。第二に、その競争軸が価格や品目そのものより、鮮度を保ったまま運べる物流網の有無に移りつつあることだ。韓国はKマートという既存の店舗・物流資産を持っていたからこそ、指定から短期間で再配送まで描けた。日本企業が同じ土俵に立つには、現地パートナーの物流網に相乗りするか、加工・保管の機能を現地側に委ねる設計が現実的になる。

調達の面でも影響がある。ベトナムの店頭には輸入果実が急速に増えており、輸入16億ドル規模の商機が生まれている。韓国が冷蔵物流を強化すれば、この生鮮流通の質はさらに上がる。日本の食品企業にとっては、競合の出店余地が広がる一方で、整備が進むコールドチェーンを自社の対ASEAN物流に活用できる余地も生まれる。韓国が先に敷いたレールを、そのまま脅威と見るか、共用できるインフラと見るかで、次の一手は変わってくる。

まとめ:物流の主導権をどう取り込むか

韓国のベトナム・ハブ化は、完成品の輸出戦略であると同時に、ASEAN物流の主導権をめぐる先手でもある。日本の食品・物流企業にとっての具体的な検討点は三つに絞れる。ひとつは、ベトナムを単なる仕入れ地でなく対ASEANの中継地として位置づけ直すこと。ふたつめは、現地の加工・冷蔵機能に相乗りできるパートナーを早めに押さえること。みっつめは、韓国が整備する冷蔵物流を競合と決めつけず、共用や併用の可能性まで含めて調達網を組み替えることだ。生鮮を鮮度のまま動かせる側が棚を取る時代に、日本の調達がどこで物流の一枚を握るかが問われている。

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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