NÔNG NGHIỆP VIỆT NAM — TẠP CHÍ NÔNG NGHIỆP ĐÔNG NAM Á

ディエンビエンが拓くアラビカとマカダミア、北西部という第二の調達先

ベトナムのアラビカ調達といえばソンラ、ロブスタといえば中部高原――そう覚えてきた日本のコーヒー・ナッツバイヤーにとって、地図に一つ産地を書き足す動きが北西部で始まっている。中国国境に接するディエンビエン省が、アラビカコーヒーとマカダミアを軸に、パイナップルや薬用作物まで含めた輸出向けの生産ベルトを描き直そうとしている。特定の産地への一極集中を避け、調達先を分散したい買い手にとって、この北西部の高地は次の候補地になりうる。

目次

「農業地図を描き直す」という宣言

地元農業メディアが伝えたのは、ディエンビエン省が小規模・自給的な農業から、科学技術と加工・輸出を前提にした大規模な商品作物へ舵を切るという方針だ。省はアラビカコーヒーとマカダミアを主力品目に位置づけ、栽培面積の拡大だけでなく、品種・栽培技術・加工・原産地の追跡・地理的表示・ブランドづくりまで一連のバリューチェーンを整える構想を示した。単に木を植える話ではなく、輸出に耐える産地をどう組み立てるかという設計の話になっている。

なぜディエンビエンなのか

ディエンビエンは標高が高く、昼夜の寒暖差と土壌がアラビカ栽培に向く。同省のアラビカ作付面積はすでに約8,500haに達し、ソンラやラムドンと並ぶ国内有数のアラビカ産地に育っている。マカダミアも約12,000haと、ラムドンに次ぐ全国2位の規模だ。コーヒーとマカダミアはどちらも高地の斜面地を生かせる品目で、一つの産地で二つの輸出作物を同時に伸ばせる点が、この地域の強みになっている。国境を越えた中国市場が近いことも、輸出を意識した産地づくりを後押しする。

数字で見る産地の輪郭

公表された面積と計画を整理すると、現状の規模と、これから積み増す量の両方が見えてくる。以下は現状値と、省が掲げる計画値を分けて示したものだ。

品目 現状の作付面積 計画・目標
アラビカコーヒー 約8,500ha(国内有数の産地) 長期で20,000haへ拡大(計画)
マカダミア 約12,000ha(全国2位) 2026年に新植を上乗せ(計画)
コーヒー+マカダミア合計 2026年に約12,000ha新植(内訳:コーヒー約5,930ha+マカダミア約6,070ha・計画)
パイナップル 約1,200ha 拡大候補
パッションフルーツ・薬用作物 有望品目として育成(面積未確定)

20,000haや2026年の新植面積は省が掲げる計画・目標であり、達成を約束するものではない。

ソンラ・ダクラクと何が違うのか

調達地としてのディエンビエンを、既存の主要産地と並べると輪郭がはっきりする。

  • ソンラとの関係:同じ北西部のアラビカ産地でも、ソンラはトウモロコシ畑からアラビカへの転換が先行してきた地域だ。ディエンビエンはそのソンラに続く「もう一つのアラビカ高地」として、同じ北西部の中で調達先を二つに分けられる意味を持つ。
  • ダクラクとの違い:中南部のダクラクはロブスタと大量生産の中心地。北西部のディエンビエンはアラビカと高地作物という別カテゴリで、ロブスタ偏重の調達に対する補完になる。
  • 二毛作ならぬ二本柱:コーヒー単一ではなく、マカダミアという別の輸出作物を同じ産地に抱える。片方が不作でも、もう片方で産地との取引を続けられる構造は、単一品目の産地にはない安定材料だ。

日本のバイヤーはどこを見るか

この構想が計画段階である以上、日本の買い手がいますぐ大量に引ける産地ではない。集荷・加工・輸出の体制が固まる前の段階だからこそ、量の確保より先に関係づくりが始められる。アラビカのスペシャルティ需要は日本でも根強く、単一原産地(シングルオリジン)として売れる産地を早く押さえたい焙煎業者には、ディエンビエンは口説く価値のある相手だ。マカダミアも、菓子・製パン・ギフト向けに国産に頼れない原料であり、ベトナム産で調達ルートを複線化できるなら検討材料になる。

ディエンビエンでは、ムオンアン産アラビカが地理的表示(GI)として登録されるなど、産地の看板づくりは動き出している。残る課題は、そのGIを実際の輸出に生かす運用と、栽培地コードやトレーサビリティの整備だ。日本向けに出すなら、品質の安定と履歴の透明性が前提になる。産地の副産物を資源に変える取り組み(捨てるはずのコーヒー枝葉が資源に、越コーヒーの脱炭素が拓く商機)まで含めて、産地の成熟度を一緒に見ていく姿勢が要る。買い手側が早い段階で品質要件を伝え、産地の設計に関与できれば、後発の産地ほど要望を反映しやすい。

北西部という「調達の第二軸」

ディエンビエンの動きは、一つの省の話にとどまらない。ソンラのアラビカ転換(トウモロコシ畑がアラビカに変わる、ソンラ高地が拓く豆と果実)や、標高で価格が決まるトゥエンクアンの雪茶(標高が値段を決める茶、トゥエンクアンの雪茶が動く)と合わせて見ると、ベトナム北西部の高地が、中南部とは別の高付加価値な調達軸として立ち上がりつつある。気候変動でロブスタ主産地の収量が揺れるなか、標高の高いアラビカ産地を複数持っておくことは、コーヒー全体の調達リスクを下げる打ち手になる。日本の商社・焙煎・菓子メーカーにとって、北西部を「一つの塊」として捉える視点が要る局面だ。

ディエンビエン産地データの要点

所在 ベトナム北西部・ディエンビエン省(ラオス/中国国境に近接)
主力品目 アラビカコーヒー、マカダミア
育成品目 パイナップル、パッションフルーツ、薬用作物
アラビカ現状 約8,500ha(全国3位)
マカダミア現状 約12,000ha(全国2位)
方向性 大規模商品作物化・加工・輸出(原産地追跡/地理的表示/ブランド化)
参考 前年のコーヒーは1ha当たり約11,500USDの産地平均売上と報じられる(報道ベース)

まとめ

ディエンビエンは、ソンラとダクラクだけで組んできたベトナム調達に、アラビカとマカダミアの二本柱を持つ第三の高地を書き加えようとしている。面積の多くはまだ計画段階だが、産地が固まる前に品質要件を伝えて関係を作れるのは、後発産地ならではの利点だ。コーヒーバイヤーはシングルオリジンのサンプル取り寄せと栽培地コードの確認から、ナッツの調達担当はマカダミアの加工・選別体制の照会から、それぞれ小さく接点を持ちにいく価値がある。北西部を一つの調達圏として地図に描き直す作業は、産地だけでなく買い手の側にも求められている。

参照元:Dân ViệtDân Việt(アラビカ加速)

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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