NÔNG NGHIỆP VIỆT NAM — TẠP CHÍ NÔNG NGHIỆP ĐÔNG NAM Á

養殖×観光で年収10億VND、カムランの億万農家クラブが示す稼ぎ方

ベトナム中南部カインホア省のナムカムラン社で、年収10億ドン超の農業経営者11人が集う「億万農家クラブ」が2026年6月25日に発足した。会員はエビ・ロブスター養殖を軸に、ファームステイ型の観光、レストラン、水上タクシーまでを一人で束ねる複業型の高収益層だ。養殖だけで稼ぐのではなく、海と産地そのものを商品にして利益を積み上げる。日本の水産関係者やバイヤーにとって、これは「安く仕入れる相手」から「現地で稼ぎ方を設計できる相手」へ生産者像が変わりつつある兆しとして読める。

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ナムカムランで11人の「億万農家」が手を組んだ

発表元のDân Việtによると、クラブはナムカムラン社の農民会(農協に相当)が運営報告会の場で正式に立ち上げた。加入条件は年収10億ドン以上の経営規模を持つ生産者で、初期会員は11人。会長にはグエン・ディン・テ氏が就いた。会員の事業は畜産、養殖と観光を組み合わせたエコツーリズム(ファームステイ)、飲食店、高速ボートによる水上タクシーまで幅広い。

あわせて農民会は会員7人を束ねてロブスター養殖の協同組合「キエンロン・カンパニー・カムラン」を設立し、農業生産の発展に向けて30世帯への支援を進めた。地域貢献の動きもあり、ヤンサオ・カインホア社と組んで準貧困世帯のグエン・バン・ビン氏(ホンクイ集落)に住宅建設の初期費用として7000万ドンを拠出している。これらの取り組みに農民会は計15億ドンを3つのプロジェクトに配分した。

なぜ「養殖の村」が観光と組み始めたのか

カムラン湾はベトナム有数のロブスター(現地でいうトムフム)産地で、水深と潮通しの良い静かな入り江がいけす養殖に向く。ここで頭角を現したのが、1994年にロブスターの稚エビ50尾から始め、いまや年商4億ドン規模に育てたチュオン・バン・ライ氏のような生産者だ。同氏は2025年の「ベトナム優秀農民63人」に選ばれている。こうした成功例の蓄積が、今回のクラブ結成の土台になった。

新しいのは、稼ぎ口を養殖一本に置いていない点だ。いけすのある海は観光資源でもあり、ファームステイで宿泊客を呼び、自前のレストランで水揚げをその場で出し、客を運ぶ水上タクシーまで自社で回す。生産・加工提供・サービスを一人の経営者が垂直に握る、いわば現地版の6次産業化が進んでいる。価格変動の大きいロブスター相場に収益を全振りせず、観光と飲食で平準化する設計思想がうかがえる。

輸出は伸びたが、相場リスクは消えていない

背景には、ベトナム産ロブスターの輸出急拡大がある。業界統計では2025年のロブスター輸出額は約8億5800万ドルに達し、うち中国向けが約8億4500万ドルと圧倒的だ。2025年1〜9月だけで中国は1万7000トン超を輸入し、前年同期のほぼ3倍に膨らんだ。けん引役は150〜300グラムのグリーンロブスター(青ロブスター)で、中国の消費者に好まれている。

指標 数値 出所・前提
2025年 ロブスター輸出額(全体) 約8.58億ドル うち中国向け約8.45億ドル
2025年1〜9月 中国向け輸入量 1.7万トン超 前年同期のほぼ3倍
主力サイズ 150〜300g グリーンロブスター中心
クラブ会員の年収基準 10億ドン超/年 1円≈170VND換算で約588万円超が目安

ただし輸出が伸びても生産者の手取りが安定するとは限らない。中国向けが急増した時期にも、いけす元の販売価格は記録的な安値に沈んだ局面があった。需要が一国に集中しているため、相手国の規制や検疫が一度詰まると価格が大きく振れる。今回のクラブが養殖外の収益源を抱える構造は、この相場リスクへの自衛策とも読める。

現地・業界の受け止め

地元の生産者の間では、組織化への期待が語られている。単独では交渉力の弱い小規模ないけす経営者でも、協同組合や会員クラブにまとまれば稚エビの調達、資材、出荷先の確保で有利に動ける、という声だ。ロブスター養殖協同組合の設立は、その実利を狙った一手と受け止められている。

一方で輸出筋からは、中国一辺倒への警戒も聞かれる。市場の多様化を進める動きとして、日本、カナダ、オーストラリア、韓国といったCPTPP圏や安定需要国へ販路を広げたいという意向が業界内で共有されている。観光と組んで国内消費を取り込むナムカムランのやり方は、輸出市場の不確実性に対する別解として注目されている。

地域経済の担い手という視点もある。準貧困世帯への住宅支援や30世帯への生産支援を会員主導で回す構図は、稼ぐ農家が周辺の底上げ役を兼ねる、地方の社会基盤としての農業の姿を映している。

日本の水産・流通関係者がここから読むべきこと

第一に、産地の相手が「生産者」から「事業者」に変わってきている。いけすを持つ漁師ではなく、観光・飲食・物流まで設計する経営者と向き合う前提でコミュニケーションを組み直したい。価格交渉だけでなく、加工度・出荷時期・サイズ規格をどう設計するかという事業の話が通じる相手になっている。

第二に、中国一極の需要構造は日本側の仕入れにとって両刃だ。中国の旺盛な需要が現地価格を押し上げる局面では日本の買い付けは不利になるが、規制で中国向けが滞れば一転して買いやすくなる。中国市場の動きを監視しながら、価格が緩む窓を捉える機動的な調達が現実的だ。冷凍・加工品での取り込みなら、相場の谷を仕入れ拡大の好機に変えやすい。

第三に、複業型の産地は「体験」とセットで売れる素材を持っている。ファームステイや水上タクシーを抱える生産者は、ストーリー性のある産地として日本の小売・外食のプロモーションに乗せやすい。単なる原料調達にとどめず、産地の物語ごと商品化する余地がある。エビ養殖の現場づくりはクアンニン省のエビ養殖事例とも比較すると、地域ごとの戦略の違いが見えてくる。

市場全体への波及をどう見るか

ベトナムの水産輸出は2026年も拡大基調が見込まれ、業界の輸出目標は115億ドル規模とされる。ただし供給国間の競争は激しさを増し、長期の競争力は持続可能な養殖・デジタル化されたサプライチェーン・高付加価値化への投資にかかる、というのが大方の見立てだ。ナムカムランの複業モデルは、養殖の規模拡大一辺倒ではなく付加価値と分散で勝負する方向と整合的で、他産地への横展開が進む可能性がある。

日本の輸入業者にとっては、こうした産地の高度化は調達先の選択肢が増えることを意味する。価格だけで産地を選ぶ段階から、トレーサビリティ・サイズ規格・通年供給力で選ぶ段階へ移っていく。サイズ別・品種別の供給構造は、ロブスターと並ぶ主力であるカマウ省のブラックタイガーの動向も合わせて押さえておきたい。

実務で使える着眼点

カムラン産ロブスターの調達を検討するなら、まず会員クラブや協同組合のような組織化された出荷主体を窓口に探すのが入り口になる。個別のいけす経営者より、規格と数量の安定が期待できる。サイズはグリーンロブスターの150〜300グラムが中国向けの主力帯なので、日本市場で別サイズを狙うなら早めに規格を擦り合わせたい。

価格をウォッチするなら、中国向け輸出の増減と検疫・規制の動きが先行指標になる。中国向けが詰まった局面は、日本側にとって仕入れの好機だ。あわせて、エビ・ロブスター以外の海藻系素材まで視野を広げるなら、付加価値の高いカインホア省のオーガニック海ぶどうのような同省の他品目も、同じ産地ネットワークから供給を引ける可能性がある。

まとめ:産地の「稼ぎ方」を見て付き合い方を決める

ナムカムランの億万農家クラブは、養殖と観光・飲食・物流を一人の経営者が束ねる複業型モデルの広がりを示した。日本側の次アクションは三つに整理できる。(1)カインホア省カムラン産ロブスターについて、協同組合・会員クラブなど組織化された出荷主体をリスト化し問い合わせ窓口を確保する。(2)中国向け輸出量と検疫・規制ニュースを定点観測し、相場が緩む窓で冷凍・加工品の仕入れを検討する。(3)ファームステイなど体験資源を持つ産地を、原料調達ではなくストーリー込みの商品開発候補として評価する。価格表の数字だけでなく、産地がどう稼いでいるかを見て付き合い方を設計する段階に入っている。

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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