NÔNG NGHIỆP VIỆT NAM — TẠP CHÍ NÔNG NGHIỆP ĐÔNG NAM Á

老木を接ぎ木更新、在来ロンガンの産地ブランド化

ベトナム北部トゥエンクアン省のタイビン社(コミューン)で、樹齢を重ねたロンガン(リュウガン)の老木を在来種「アンヴァン(Ánh Vàng)」に接ぎ木更新し、高品質な産地ブランドへ作り替える動きが始まった。2026年6月22日、省の栽培植物保護局が現地を調査し、接ぎ木によるほ場更新のモデル設置や、トレーサビリティ・ブランド名・包装の整備支援に合意した。植え替えではなく既存の根株を生かして品種を切り替えるこの手法は、果樹の世代交代を低コストで進めたい産地に共通する課題への一つの答えだ。日本の青果バイヤーや在来種ブランディングに関わる人にとって、ベトナム北部が「量」から「銘柄」へ舵を切る具体例として読みごたえがある。

目次

タイビンで何が決まったのか

調査の対象はトゥエンクアン省タイビン社。地元紙によれば、ここはロンガン栽培面積172.5ヘクタールを抱える同省最大級の産地で、うち155ヘクタールが収穫期に入っている。現状の主力は地元在来種、コアイチャウ種、フンイエン種で、平均収量は1ヘクタールあたり約15トン、農家所得は1ヘクタールあたり年間およそ2億2,500万ドン(為替1円≒170ドンで概算すると約132万円)とされる。

省の栽培植物保護局は、接ぎ木技術・ほ場管理・着花調整・病害虫防除の研修に加え、ブランド名づくり、トレーサビリティラベル、包装、販路拡大の販促までを支援すると表明した。単なる品種更新ではなく、生産から流通までを一気通貫で底上げする構えである点が、この取り組みの肝になっている。

なぜ今、在来種への「接ぎ木更新」なのか

タイビンの強みであり弱みでもあるのが、樹齢のばらつきだ。記事が示すほ場の年齢構成は、樹齢30年超が5ヘクタール、20〜30年が7ヘクタール、10〜20年が15ヘクタール、3〜10年が105ヘクタール、3年未満が40ヘクタール。古木が一定量あり、ここを丸ごと植え替えると数年は無収穫期間が生じる。接ぎ木更新なら既存の根と樹体を残したまま穂木を切り替えられるため、新植より早く新品種の果実を収穫に乗せられる。老木の更新コストと収入の空白を同時に抑えるという、産地経営の現実的な選択だ。

切り替え先に選ばれた「アンヴァン」は、北部で導入が進む比較的新しい銘柄系のロンガンとして位置づけられている。行政側は、年齢構成が多様で古木が多いタイビンこそ段階的な品種更新と品質向上に向くと判断した。狙いは収量増よりも、はっきりした名前を持つ高品質果として売れる果実づくりにある。

北部ロンガンの実力をデータで見る

タイビン単独では小さく見えても、ベトナム北部ロンガンの全体像は大きい。隣接するロンガンの名産地フンイエンでは、2025年産の生産量が5万トン超に達し、前年から大きく伸びた。さらに出荷量の6割超がVietGAPまたは有機の基準を満たし、米国・EU・日本といった高単価市場と、最大の輸出先である中国の双方を視野に入れている。

項目 タイビン社(トゥエンクアン省) フンイエン(参考・名産地)
栽培面積 172.5ヘクタール(収穫期155ヘクタール)
生産量の目安 平均収量 約15トン/ヘクタール 2025年産 5万トン超
1ヘクタール所得 年間 約2億2,500万ドン
品質認証 これから整備(接ぎ木更新と並行) 出荷の6割超がVietGAP・有機

この対比が示すのは、面積や量の勝負ではなく、認証とブランドで単価を取りに行く北部の方向性だ。タイビンの取り組みは、その入口に立った産地が在来種という資源を再評価し直す動きと読める。同じ北部の輸出動向はライチの輸出ピークの事例とも重なり、季節果実をいかに高値の窓に乗せるかという論点が共通している。

現地・業界の受け止め

産地の関係者からは、植え替えで数年間収入が途切れる不安を抱える農家にとって、接ぎ木更新は収入を保ちながら品種を入れ替えられる現実的な手だという受け止めが聞かれる。行政側は、品質と付加価値を引き上げ「高品質な商業用ロンガン銘柄」を育てたいとの方針を示している。流通の現場からは、名前のついた銘柄として束ねれば、これまで在来種ひとくくりで扱われてきた果実に値づけの根拠が生まれる、との期待がのぞく。いずれも、量を増やすより「どう名乗るか」へ重心が移っていることを示している。

日本の青果バイヤー・産地関係者への示唆

この一件から日本側がくみ取れる論点は三つある。第一に、在来種は差別化の素材になるという視点だ。タイビンは新品種を外から大量導入するのではなく、北部で評価されつつある銘柄系の在来資源に接ぎ木でそろえていく。日本の産地が地場品種を「物語のある銘柄」として磨く発想と通じる。第二に、品種更新は植え替え一択ではないという実務だ。古木更新で収入の空白を嫌う産地にとって、接ぎ木更新は調達側が産地に提案できる現実的な選択肢になる。第三に、トレーサビリティとブランド整備を生産と同時並行で組む設計である。果実ができてからラベルを貼るのではなく、更新の初期からブランドと履歴管理を一体で立ち上げる順序は、輸入時の産地証明や数量計画の見通しを立てやすくする。

調達の現場では、ベトナム産果実の供給量と価格が年ごとに振れる局面が続いている。供給の波と仕入れの好機をどう捉えるかはフルーツ供給過剰と調達好機でも整理した通りで、銘柄が定まり履歴が追える産地は、こうした変動局面でも交渉の足場を確保しやすい。

市場・産業への波及

ロンガンは生果のほか、乾燥や果肉加工の需要も厚い果実だ。在来種を銘柄化して履歴を整えれば、生果輸出だけでなく、ドライや加工原料としての引き合いにも対応の幅が広がる。トゥエンクアン省は産地コード(栽培エリアコード)の取得支援も掲げており、これが整えば中国向けはもちろん、より厳格な品質基準を課す市場への扉も開きやすくなる。北部全体で見れば、フンイエンのような先行産地が築いた認証と輸出の実績に、タイビンのような中堅産地が在来種ブランドで続く構図が見えてくる。韓国向けに初出荷を実現したソンラのマンゴーのように、産地コードと品質設計を先に固めた品目から新市場が開く流れは、ロンガンでも再現し得る。

実用情報・確認ポイント

日本側でベトナム北部ロンガンの調達やブランド連携を検討する場合、確認したいのは次の点だ。アンヴァンの収穫時期と出荷の窓(北部ロンガンは概ね夏から初秋に集中)、産地コードの取得状況、VietGAP・有機など認証の有無、そして接ぎ木更新ほ場が本格収穫に入る時期。タイビンは更新を始めたばかりの段階のため、安定数量が読めるまでには数作を要する点も織り込んでおきたい。

まとめ:次に取るべき一手

タイビンの接ぎ木更新は、「在来種を磨いて名乗り、履歴を整えて売る」という産地戦略のひな形だ。日本の青果バイヤーなら、まずは北部ロンガンの銘柄別・認証別の出荷時期を一覧化し、アンヴァンのような更新銘柄が市場に乗る時期を追いかける価値がある。産地ブランディングに携わる側なら、植え替え前提を一度外し、接ぎ木更新とブランド整備を同時に走らせる設計を、自らの担当産地に当てはめて検討してみたい。量ではなく名前で勝負する産地が、北から確実に増えている。

参照元

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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