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胡椒を6形態に割る越バウマイ協同組合、日本の原料調達に何が使えるか

ベトナムの日刊紙ニャンザンが2026年9月24日、ホーチミン市ホアヒエップ村の胡椒産地を取り上げた。主役は「バウマイ農業・商業・観光協同組合」(Hợp tác xã Nông nghiệp – Thương mại – Du lịch Bầu Mây)で、黒胡椒を原料のまま袋で出すのをやめ、ミルク胡椒や生胡椒の塩漬けなど複数の形態に割って売っている。日本にも出荷があり、村と市はこの品目をOCOP(一村一品)5つ星に上げる書類を詰めている。日本の原料バイヤーにとっては、産地相場よりも「誰がどの形態まで加工して出してくるか」を読む材料になる。

目次

黒胡椒を袋で売らない協同組合が、日本にも出している

商品は6形態、生胡椒の塩漬けから種なし胡椒まで

記事が挙げた商品は、ミルク胡椒(tiêu sữa)、生胡椒の塩漬け(tiêu tươi muối)、青胡椒の塩漬け(tiêu xanh muối)、一日干し胡椒(tiêu một nắng)、種なし胡椒(tiêu không hạt)、そして tiêu xanh giọt の6つ。最後の1つは日本語の定訳がなく、記事にも製法の説明はない。会長兼所長のラム・ゴック・ニャム氏は、胡椒の一番おいしい部分をどう残し、誰でも食べられるようにするかを考えてきた、という趣旨を語っている。

生産は GlobalGAP に沿い、有機の方向を目指し、加工工程には ISO を適用している——というのが同氏の説明だ。包装にQRコードを入れ、読み取れば生産・加工の工程が追えるという。ただしこのQRは自社が自社の工程を示すもので、第三者が管理する台帳とは別物だ。コーヒーではソンラ省が3万6千haを3区分して台帳を作る動きがあり、圃場と台帳の紐付けは越産原料の全体で進んでいる。胡椒の協同組合がどちらの水準にいるかは、QRの中身を開いて判断するしかない。

輸出先に9カ国が挙がり、6カ国で保護を受けている

国内の売場は有機食品店、栄養食品店、高級スーパー、一部の空港売店。輸出は日本、シンガポール、韓国、オーストラリア、米国、カナダ、ロシア、英国、フランス…という書き方で、9カ国を並べたあと三点リーダーで続く。「9カ国」が輸出先の総数として書かれているわけではない。さらに「6カ国で保護を受けている」(được bảo hộ tại 6 quốc gia)とあるが、商標なのか地理的表示なのか、原文は種類を書き分けていない。

OCOP5つ星は審査中、市が挙げた候補は10品目だった

村の12品目のうち1つが5つ星候補に入った

ホアヒエップ村人民委員会のグエン・ホアン・トゥー副委員長によると、村内のOCOP認定品は12品目。そのうちバウマイ胡椒について、所管機関が5つ星の認定を検討している。村は書類作成に職員を付け、農業部門と内容を詰めたという。同氏は、こうした生産現場が見学・体験の場になり得るとして、産品と結んだ農村観光も検討していると述べている。確定した計画ではなく、村側の構想として読む部分だ。

市は1,050品目超を抱えたうえで数は追わないと説明した

市の農村開発支局長ヴー・ゴック・ダン氏は、市内のOCOP認定品が1,050品目を超えたと述べ、直近の評価では3つ星・4つ星と「5つ星候補」を審査し、候補は10品目だったと説明している。数を増やすより品質・意匠・包装・トレーサビリティ・商談力を見る方針だという。記事の時点でバウマイ胡椒は5つ星の認定済みではなく、候補として審査を受けている段階にある。商談資料に「OCOP5つ星」と刷られていたら、認定書の日付を必ず見せてもらいたい。

産地の買付は1kg13万6500ドン、輸出向け建値は1トン5,970ドル

段階の違う値を並べるときに何を分けて見るか

協同組合の売値は記事に出てこない。代わりに、ベトナム胡椒・香辛料協会(VPSA)が9月25日に公表した値を段階別に置く。為替は2026年9月26日時点の1米ドル=157.54円、1米ドル=25,965.70ドンで換算した。

取引段階 原表記の値 円換算の目安
産地の集荷(買付)価格・バリア=ブンタウ(ホーチミン市) 136,500 VND/kg 約828円/kg
産地の集荷(買付)価格・ダクノン(ラムドン)=最高値 140,000 VND/kg 約850円/kg
輸出向け建値・黒胡椒 500g/l 5,970 USD/t 約941円/kg
輸出向け建値・黒胡椒 550g/l 6,075 USD/t 約957円/kg
輸出向け建値・白胡椒 8,450 USD/t 約1,331円/kg
年初〜9月15日の平均輸出単価(全仕向け) 6,503 USD/t 約1,024円/kg

産地で集荷業者が買う値を1トン換算すると約5,260ドル、黒胡椒500g/lの輸出向け建値は5,970ドル。差は約700ドルだが、これは加工の利益ではなく、乾燥・選別・保管・輸出手続きが乗る区間の差にすぎない。なお原文は「輸出価格」とだけ書き、FOBなどの条件を明示していない。そしてバウマイ協同組合が売るのは塩漬けや種なしの加工品で、この黒胡椒の建値とは別の値段の世界に入る。段階の違う数字を割って倍率を出すのは避けたい。

収穫は17万トンで12.8%減、輸入は3割超増えた

VPSAの集計では、2026年のベトナムの胡椒収穫はおよそ17万トンで前年比12.8%減。生産国全体の在庫も17万トン程度、うちベトナム分は5〜6万トン。一方で年初から9月15日までの輸入は4万7,961トン、前年同期比で約35%増えた。国内生産が縮んでも輸入原料で再輸出の量をつないでいる。ベトナム産を名乗る荷が必ずベトナムの畑から来るとは限らないので、胡椒では原産地を書類で押さえる手間を省けない。協同組合から直接買う形は、その点で追いやすい。

日本のバイヤーが最初に確かめたい4点

表記が「Bầu Mây」と「Bàu Mây」で揺れている

記事の見出しと本文は Bầu Mây、写真説明と記事タグは Bàu Mây と書いている。声調記号が1つ違うだけだが、法人検索・商標検索・書類照合では別語として扱われる。問い合わせの前に協同組合の正式名称と綴りを固定しておきたい。通関書類で綴りが割れると後から直すのに時間がかかる。

GlobalGAPと「有機の方向」、ISOはどこにかかるか

記事にあるのは、GlobalGAPに沿った生産、有機を目指す方向の栽培、加工工程へのISO適用。有機認証を取得したとは書かれていない。認証書の番号・有効期限・対象圃場を現物で確認し、ISOは規格番号と認証範囲(工場全体か特定工程か)を分けて聞く。ここを踏まないと、日本の売場表示で使える言葉が校閲で削られる。

6形態のうち日本の棚に乗りやすいのはどれか

生胡椒の塩漬けと青胡椒の塩漬けは、日本では瓶詰やチルドの調味素材として扱いやすく、粉体の黒胡椒と売場で競合しない。種なし胡椒は食感を理由に使う商品で、価格の説明が要る。一日干しやミルク胡椒は、日本語の商品名を決める作業から始まる。同じ協同組合でも形態ごとに輸入区分・賞味期限設計・保管温度が変わるので、見積は形態別に取るほうが早い。日本側の要望で形態が変わる例は他の品目にもあり、ゆで卵では取引先が缶から袋への切り替えを求めた経緯がある。

輸出の半分は米・中・UAE・印・タイ、日本の商談は小口で動く

米・中・UAE・印・タイで数量の半分を占める

ベトナム税関の集計では、2026年年初から9月15日までの胡椒輸出は20万2,414トン・13億2,000万ドルで、数量15.2%増、金額10.3%増。平均輸出単価は6,503ドル/トンと4.2%下がった。市場別の首位は米国で4万7,254トン(23.5%)、次に中国2万2,620トン(11.2%)、UAE1万3,486トン(6.7%)、インド8,158トン(4.1%)、タイ8,135トン(4.0%)。この5市場で数量の半分を占め、日本の名前は上位5市場に出てこない。

協同組合規模の売り手と組むときの実務

数量で大口になれない市場は価格交渉で強く出られない。逆に協同組合規模の売り手からすると、数トン単位で動く日本の商談は組みやすい相手になる。ココナッツでは週5〜10コンテナの供給枠が欧米で埋まり日本の枠が残らない例を扱ったが、胡椒の加工品はロットが小さいぶん、その詰まり方にはなりにくい。代わりに詰まるのは工程側で、塩漬けは塩分濃度と容器、種なしは歩留まりが上限を決める。

次に出す1通で聞くこと

最初の問い合わせで確かめたいのは4点に絞れる。形態別の加工場渡し価格と最小ロット、認証書の写し(GlobalGAPとISOの範囲)、日本向けの出荷実績(品目・年・数量の3点セット)、そしてOCOPの現在の等級と認定日。ここまで揃えば、5つ星の審査が通るかどうかを待たずに、扱える形態が1つでもあるかを判断できる。塩漬けの生胡椒をサンプル1品から動かすのが、いちばん軽い始め方になる。

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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