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ドンタップの干しマンゴーを日本へ運ぶ353の産地コード

メコンデルタのドンタップ省が、マンゴー産地を「番号」で束ね始めた。省内のマンゴー栽培は約1万7,300ha・年産18万5,000トン超。このうち1万30.17haが353の産地コード(mã số vùng trồng)を取得し、VietGAP・GlobalGAP・有機の各基準で品質を揃えつつある。そのなかで、加工企業のソフトドライ(干しマンゴー)が中国・ロシアと並んで日本の棚に乗り始めた。

この動きは、ドライフルーツや乾燥野菜を扱う日本の輸入・OEM調達の担当者にとって、生果とは別の調達ルートが1本増えることを意味する。原料の素性と加工品の供給元を同時に確認したいバイヤー目線で、産地標準化の中身を分解する。

目次

1万30.17haに353コード、GI「カオラン」がマンゴーを裏付ける

ドンタップ省農業環境局のレー・チー・ティエン副局長によれば、省内マンゴーの栽培面積は約1万7,300ha、年産は18万5,000トンを超える。産地コードは1万30.17haで353件が登録済みで、面積ベースでは全体の6割弱にコードが割り当てられた計算になる。

品種は、糖度と香りで知られるホアロック(Hòa Lộc)、輸出主力のカットチュー・カオラン(Cát Chu Cao Lãnh)、緑皮で日持ちするトゥオン・ダーサイン(Tượng da xanh)が中心。地理的表示(GI)「カオラン」は2019年にカットチュー種などで登録され、産地名そのものが品質の裏付けとして機能している。生果の輸出先は中国、米国、ロシア、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、オランダ、韓国に広がる。

ロンウエンのソフトドライが日本に入り、原料は1日20〜30トンで回る

加工の現場では、ロンウエン社(Long Uyên、ファン・クオック・ナム代表)が輸出向けマンゴー調達を6年続け、自社のソフトドライ(xoài sấy dẻo)を中国・ロシア・日本と国内市場に出荷している。ナム代表は「輸出マンゴーには生果と、加工用の原料という2つの方向がある」と整理する。生果で価格が崩れても、加工原料としての出口を持てば産地の収益は安定しやすい。

原料の吸収力も具体的だ。トゥアンダット社(Tuấn Đạt、生産責任者ファム・ヴォー・チー・トン氏)はソフトドライ向けに「1日平均20〜30トンを調達し、主にカットチューとホアロックを使う」。生果の等級から外れた果実も加工に回るため、産地全体の歩留まりが上がる構図になっている。生果を高値で売れる時期は生果へ、相場が緩む時期は加工原料へと出口を切り替えられることが、加工企業を抱える産地の強みだ。

日本の店頭では、干しマンゴーはタイ産やフィリピン産が長く定番の位置を占めてきた。そこにベトナム・ドンタップ産が産地コードと認証を携えて加わることは、調達側にとって仕入れ先を1国に絞らないための代替ソースが増えることを意味する。カットチューは繊維が少なく糖度も高いため、ソフトドライにすると口当たりが軽く仕上がる品種で、既存のドライマンゴーとは食感で差を出せる。

生果より加工品、日本の乾燥食品調達が生鮮の先を見る理由

日本側から見ると、生マンゴーの輸入は検疫・鮮度・季節性の制約が重い。一方で干しマンゴーや冷凍ピューレは、常温・冷凍で長期在庫が組め、加工食品やお菓子、パン、飲料の原料として通年で使える。日本の青果調達が生鮮の先へ動いている流れのなかで、ドンタップの干しマンゴーは「素性が追える加工原料」という位置づけで検討できる。

この構造はドリアンで先に起きた。生果の相場が下がる局面でも、冷凍・加工に回すと単価が跳ね上がるのは、輸送ロスと季節変動を吸収できるからだ。マンゴーのソフトドライも同じ論理で、生果の価格リスクを負いにくい調達先として組み込める。日本のドライフルーツD2Cや乾燥食品メーカーが、季節に縛られず品目を積み増せる余地がここにある。

353コードとGAPが、トレーサビリティを買い手の手元に渡す

産地コードは輸出の通関上の要件であると同時に、バイヤーにとっては「どの畑の、どの認証の果実か」を遡れる仕組みでもある。ドンタップの産地コードが農家単位まで細分化されている取り組みと合わせて読むと、コードとGAP認証がそのまま調達側のトレーサビリティ書類になる。

実務では、コード番号・認証区分(VietGAP/GlobalGAP/有機)・対応品種・加工可能量を発注前に突き合わせておくと、ロット単位で産地を指定しやすい。加工企業は生果と原料の二本立てで動いているため、生果調達だけでなく「加工品として買う」交渉の余地も残されている。ロンウエン社が輸出向け調達を6年積み上げてきた事実は、単発の取引ではなく供給の継続性が期待できることの目安になる。産地コードが面積の6割弱にとどまる現状は裏を返せば、認証区画を指定して発注すれば、素性の確かなロットに絞り込めるということでもある。

日本の乾燥野菜・ドライフルーツD2Cがドンタップから学べること

乾燥野菜・ドライフルーツを国内で扱う立場からは、ドンタップの設計はそのまま自社の原料戦略に読み替えられる。等級外の果実を加工に回して歩留まりを上げる発想、産地コードで素性を担保する発想は、国産のドライ品でも通用する。

  • コード番号と認証区分を発注書に明記し、ロット単位で産地を固定する
  • 生果と加工原料の二本立てで見積もりを取り、価格変動時の切り替え先を確保する
  • 品種指定(カットチュー=繊維少なめ、ホアロック=高糖度)で仕上がりの甘みと食感を設計する
  • ソフトドライの含水率・保存条件を先に取り決め、日本の常温流通に合わせる

京都の乾燥野菜や京丹後のドライ梨を手がけるなかで実感するのは、産地の素性を数字で示せる原料は、最終商品の物語にそのまま乗るということだ。どの畑で、どの認証で、どの品種を乾かしたのか。この3点が言えるだけで、パッケージやEC商品ページの説得力は変わる。ドンタップが353のコードで積み上げているのは、その「示せる素性」にほかならない。輸入品でも同じ情報を握れれば、国産ドライ品と並べて訴求する土台になる。

次に確認すべきは加工品の含水率と認証書類

ドンタップは、1万7,300haのマンゴー産地を産地コードとGAPで標準化し、ロンウエン社のソフトドライを日本へ送り出す段階に入った。日本の輸入・OEM調達で次に動くなら、生果の相場を追う前に、加工企業のソフトドライの含水率・保存条件と、コード番号・認証区分の書類を取り寄せて突き合わせるのが早い。生果と加工原料の二本立てという現地の設計を、そのまま調達側の選択肢として使える。

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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