NÔNG NGHIỆP VIỆT NAM — TẠP CHÍ NÔNG NGHIỆP ĐÔNG NAM Á

生果は急落、冷凍は20倍──越ドリアンが加工で開く調達の窓

ベトナム南部のドリアン産地で、生果の卸値が数日のうちに1kgあたり2,000〜3,000ドン下がった。中国の需要が繁忙期を過ぎて通常水準に戻り、そこへ今季の増産が重なった構図だ。ただ、これを「値崩れ」とだけ読むと、いま起きている本当の変化を取り逃す。生果が安いこの局面こそ、冷凍・乾燥といった加工品の輸出が伸びており、日本の輸入・調達担当にとっては仕入れの選択肢が広がるタイミングでもある。生果と加工品で市場が逆方向に動く今の全体像は、スイカやRi6ドリアンの店頭価格が産地の底値と乖離する供給過剰の現場とも地続きだ。本稿では価格の実態から、加工へ舵を切る産地の動き、そして日本側が取れる一手までを追う。

目次

数日で1割超、品種別に進んだ卸値の下落

現地商人や協同組合の話を総合すると、下げ幅は品種と等級ではっきり分かれている。ドンナイ省の買付商人チャン・バン・クオン氏は「数日で1kgあたり2,000〜3,000ドン下がり、まだ底が見えない」と話す。輸出向けの主力であるタイ種(モントン系)A級は、これまでの1kg7万〜9万ドンから5万9,000〜6万7,000ドンへ。円換算では1万ドンを約60円とみて、およそ350〜400円/kgの水準だ。

国内消費と冷凍加工に回りやすいRi6種はさらに低い。A級で3万4,000〜3万8,000ドン、B級は1万9,000〜2万2,000ドンまで下げ、前年の同じ時期を大きく下回った。メコンデルタの一部では前年同期の3分の1という水準まで落ちた地域もある。生果だけを見れば厳しい数字だが、下がっているのは主に「生のまま中国へ運ぶ」ルートの価格だという点を押さえておきたい。

需要の一服・増産・検査強化が重なった

下落の理由は一つではない。第一に、端午節前後の中国の駆け込み需要が一段落し、買い付けが平常運転に戻った。第二に、ベトナム国内のドリアン生産量が前年比で20〜30%増え、本格シーズンに潤沢な供給が出そろった。タイ南部産の品質低下も重なり、市場全体が供給過多に傾いている。

加えて、中国側の税関検査が厳格になり通関に時間がかかるようになったことで、鮮度が命の生果は足踏みを強いられている。中国はいまもベトナム産生鮮ドリアンの輸出先の約9割を占める最大市場だけに、その一挙手一投足が産地価格へ直に響く。裏を返せば、単一市場・単一形態(生果一本)への依存が価格の振れをそのまま農家に押し付けている、という構造が今回あらためて可視化された。

数字で見る、生果と加工の逆行

生果が下げる一方で、加工品は明確に上を向いている。2026年1〜3月のドリアン輸出額は約2億2,170万ドルと前年同期比230%増を記録し、その伸びをけん引したのが冷凍ドリアンだった。生果と加工品の平均単価を並べると、価値の差が一目で分かる。

区分 価格・数量(2026年) 備考
タイ種A級(生果・産地卸) 5万9,000〜6万7,000ドン/kg 従来は7万〜9万ドン
Ri6種A級(生果・産地卸) 3万4,000〜3万8,000ドン/kg B級は1万9,000〜2万2,000ドン
生鮮ドリアン平均輸出価格 約3,095ドル/トン 前年同期比9.2%安
冷凍ドリアン平均輸出価格 約4,300ドル/トン 生果を約39%上回る

冷凍の輸出量そのものも急拡大している。2024年に4,600トン強だった冷凍ドリアン輸出は、2025年に9万1,000トン超へと約20倍に膨らんだ。2026年第1四半期だけで生鮮6万8,500トンに対し冷凍が約1万1,600トン。伸び率でみれば、価格が下がっている生果よりも加工品のほうがはるかに勢いがある。

「生のまま」から「加工して送る」へ動く産地

現場の声を拾うと、下げ相場のなかでも視線はすでに次の一手へ向いている。

  • クオイ・フォン・ファーム社長のファン・ニャット・タム氏は、1日70〜80トンあった買付量が15〜20トンに減り、輸出も1日3〜4コンテナから2〜3日に1コンテナへ落ちたと明かす。生果一本の脆さを最も痛感している当事者だ。
  • スアンディン農業協同組合のダン・ティ・トゥイ・ンガ理事長は「市場の動きに合わせて調整するしかない。前日決めた買付計画が翌日には変わる」と、生果取引の読みにくさを語る。
  • ベトナム青果協会のダン・フック・グエン事務局長は、需給バランスが戻れば市場は落ち着くとみる。実際、企業側はIQF(個別急速冷凍)やフリーズドライ乾燥など、価格変動に左右されにくい深加工への投資計画を進めている。

韓国向けの冷凍ドリアン輸出が262%増、米国向けが107%超増と、中国以外の市場が伸びていることも背景にある。加工品は日持ちと物流の扱いやすさから、単一市場依存を薄める受け皿になりつつある。産地が「加工して送り出す」段階へ移る流れは、冷凍が20倍に爆増した輸出構造の変化を数字で追った分析とも符合する。

日本の調達担当が今この局面で読むべき三点

生果暴落のニュースを、日本の輸入・小売・食品加工の担当者はどう活かせるか。要点は三つある。

第一に、加工品ならではの調達しやすさだ。生果ドリアンは鮮度・匂い・輸送コストの制約が大きく、日本のサプライチェーンに乗せにくい。一方、冷凍やフリーズドライの加工品は零下18度の保管で18〜24カ月もつとされ、賞味期限と物流の面で扱いが一気にやさしくなる。菓子・製菓材料・冷凍デザート・トッピング用途など、業務用として組み込める余地が広い。生果高騰時には敬遠していた企業も、いまなら安定した加工原料として検討できる。

第二に、原料コストが下がる局面という追い風だ。生果の産地卸が下がれば、それを一次加工する冷凍・乾燥品の原料コストも当面は落ち着きやすい。中国向け生果が停滞して国内に滞留する分は、加工に回る余地が大きい。買い手の立場では、加工メーカーと組んで数量と規格を先に固めておけば、次の生果高騰局面に対する価格ヘッジにもなる。値動きの反転をどう読むかは、産地が加工クラスターへ舵を切るダクラク省の動きが参考になる。

第三に、供給元を早めに見極める重要性だ。冷凍・乾燥の品質はIQFの設備水準や衛生管理で大きく変わる。輸出額が急伸する局面ほど新規参入も増え、玉石混交になりやすい。カドミウムや着色料の検査体制、コールドチェーンの実力を持つメーカーを、価格が落ち着いている今のうちに絞り込んでおくのが賢い。

加工ドリアン調達の基本スペック

項目 内容
主な加工形態 冷凍果肉(IQF)/冷凍パルプ/フリーズドライ乾燥
主力品種 Ri6種、タイ種(モントン系)
保管温度・賞味期限 零下18度/おおむね18〜24カ月
平均輸出価格(冷凍) 約4,300ドル/トン(生果を約39%上回る)
伸びている輸出先 韓国(+262%)、米国(+107%超)ほか
想定用途 製菓・冷凍デザート・トッピング・業務用原料

まとめ──「安い今」に加工でつながっておく

生果ドリアンの下落は、産地にとっては痛みを伴う調整だが、市場全体で見れば加工へ重心が移る転換点でもある。中国向け生果の価格が揺れる一方、冷凍・乾燥は単価も数量も伸び、韓国や米国という新しい出口が育っている。日本の調達担当がまず取れる一手は、生果の相場を横目で追いつつ、冷凍・乾燥の加工メーカーに接点を作り、規格と数量を試験的にでも固めておくことだ。価格が落ち着いている今は、供給元を選び、条件を交渉する余裕がある局面でもある。次の生果高騰が来る前に、加工品という安定した窓口を一つ確保しておきたい。

参照元

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

目次