NÔNG NGHIỆP VIỆT NAM — TẠP CHÍ NÔNG NGHIỆP ĐÔNG NAM Á

米向け照射に2技術目、越トアンファットが崩す果実輸出の壁

米国農務省の動植物検疫局(APHIS)が7月上旬、ベトナム・タイニン省のトアンファット照射工場(TPI)に対し、ガンマ線とX線という2つの照射技術を並行して運用する認可を与えた。対米輸出向けの果実照射施設が2技術を同時に使えるのはベトナムで初めてで、収穫期に集中する検疫処理の目詰まりを緩める一手になる。ドラゴンフルーツ、マンゴー、ポメロ、ロンガンといった対米輸出の主力品目は照射が必須の検疫処理で、その処理能力がそのまま出荷量の上限を決めてきた。青皮ポメロの対米輸出が拡大局面に入ったように、市場が開いても処理が追いつかない——この構図に変化が生まれる。照射という手法を使わない日本の果実バイヤーにとっても、越産果実の供給構造が動く節目として見逃せないニュースだ。

目次

何が認可されたのか——コバルト60に「電気の線源」が加わった

TPIはもともと、コバルト60を線源とするガンマ線照射でAPHISの認証を受けていた。今回そこにX線照射が加わり、2方式を並行して回せる体制になった。線源の性格はまったく異なる。ガンマ線が放射性同位体コバルト60の崩壊を利用するのに対し、X線は電気で駆動する機械線源で、装置のオンオフで制御でき、同位体の補充や減衰の管理を伴わない。

この違いは稼働の柔軟性に直結する。ピーク期に処理量を上げたいとき、電気式のX線は増設や増強の見通しが立てやすい。2025年、TPIはガンマ線照射だけで対米輸出果実を約5,670トン処理した。X線の並行運用によって処理能力はほぼ倍増する見込みで、生果実の在庫日数を詰め、冷蔵倉庫の回転と輸送コストを改善する効果が見込まれている。

なぜ「処理能力」が越産果実のボトルネックなのか

ベトナムの2025年の青果輸出額は約85億ドルと過去最高を更新した。うち対米は約5.47億ドルで、前年比およそ5割増と伸びが大きい。それでも米国が輸入する青果・加工品全体に占める越産のシェアは1.49%にとどまり、市場としての余白はまだ広い。

問題は、伸びしろを止めているのが畑ではなく処理工程だという点にある。多くの品目は収穫が短期に集中し、産地・パッキングハウス・冷蔵倉庫・検疫・照射に同時に負荷がかかる。とりわけ照射は設備投資と認可のハードルが高く、参入企業が限られてきた。APHIS認証の照射施設は、ホーチミン市のソンソンとタイニンのトアンファットの2社に限られ、両社を合わせた照射能力は年3万トン規模にとどまるとされる。検査ラボ不足がドリアン輸出を停滞させた事例と同じで、「作れても送れない」を生むのは畑の外側の処理インフラだ。今回の認可は、その狭い入口をわずかに広げる。

項目 数値
TPIの2025年ガンマ線処理量(対米向け) 約5,670トン
APHIS認証の照射施設数 2社(ソンソン/トアンファット)
2社合計の照射能力 年3万トン規模
ベトナムの2025年青果輸出額 約85億ドル(過去最高)
うち対米輸出額 約5.47億ドル(前年比約5割増)
米国青果・加工品輸入に占める越産シェア 1.49%

現地・業界の受け止め

認可を伝える現地報道からは、処理能力を輸出の生命線ととらえる視線が浮かぶ。

  • ベトナム果物・野菜協会(Vinafruit)のダン・フック・グエン氏——「処理能力こそが、納期を守り輸出需要に応える鍵になる」と指摘。
  • ベトナム農業環境省——追加認可は、検疫処理の需要が急増する収穫ピーク期に、輸出企業の運用の自由度を高めると評価。
  • 現地業界——照射は多くの越産果実にとって対米輸出の必須条件であり、施設認可には巨額の投資と時間がかかるため、新規参入が細ってきたという構造的な制約を認める声。

照射を認めない日本にとって、この認可は何を意味するか

ここが日本の調達関係者にとっての本題になる。結論から言えば、この照射能力の倍増は日本向け出荷を直接は増やさない。だが無関係でもない。踏まえるべき論点は3つある。

第一に、日本と米国では検疫処理の「通り道」がそもそも別だ。日本は食品への放射線照射を、北海道産ジャガイモの発芽抑制を唯一の例外として認めていない。輸入品でも照射が検出されれば食品衛生法違反となり、国内流通できない。だから日本向けのマンゴーやドラゴンフルーツは照射ではなく蒸熱処理(VHT)を通す。飽和蒸気で果実中心温度を47度以上に20分間保つ、という農林水産省の実施細則に沿った処理だ。トアンファットの照射ラインが増えても、日本向けの器が増えるわけではない。

第二に、上位等級の奪い合いが起きうる。日米向けの果実は、多くが同じGAP認証産地・同じパッキングハウスから出る。米国側の処理の受け皿が広がれば、ピーク期に生まれた良品が対米チャネルへ引かれやすくなる。中国依存の一本足がカドミウム検出でドリアンの原価割れ路上売りを招いたように、越産地は仕向け地の分散を急いでおり、米国はその筆頭だ。日本のバイヤーは、数量の早期確定とVHT処理枠の事前押さえで、玉の取り合いに備える必要がある。

第三に、産地の収益安定は日本にとっても供給の安定を意味する。対米チャネルが太れば、中国市場の検査強化や価格変動に振り回されてきた越産地の収益はならされる。仕入れ単価が乱高下する産地より、複数市場に売り先を持つ産地のほうが、日本にとっても計画的に組みやすい相手になる。照射能力の増強は、遠回りに越産果実全体の供給基盤を底上げする話でもある。

日本の調達担当が押さえる実務ポイント

日米で処理方式が分かれる以上、越産果実を仕入れる際に確認すべき勘所も変わる。日本向けで効いてくるのは照射施設ではなく、VHT施設の認定と処理枠だ。

項目 米国向け 日本向け
検疫処理方式 放射線照射(ガンマ線/X線) 蒸熱処理(VHT)
認可主体 米農務省APHIS 農林水産省・植物防疫所
代表的な処理基準 線量ベースの照射 果実中心温度47度以上・20分
ボトルネックになりやすい設備 照射施設(国内2社) 認定VHT施設・処理枠
今回のニュースの直接影響 処理能力ほぼ倍増 直接の増加はなし(間接的に供給安定)

日本向けのマンゴー(カッチュー種)は2015年、ドラゴンフルーツはそれ以前に対日輸出が解禁されているが、いずれも農水省が認定したベトナム国内のVHT施設での処理が前提になる。ピーク期にVHT枠が逼迫するのは、米国側の照射逼迫と同じ構図だ。仕入れ交渉では、産地だけでなく、どの認定施設の枠を押さえているかまで踏み込んで確認したい。

まとめ——次に確かめるべきこと

トアンファットへのX線認可は、越産果実の対米輸出を縛ってきた処理能力の壁を、初めて技術面から押し広げた出来事だ。日本の調達にとっては、輸出インフラが仕向け地ごとに別トラックで整いつつあることを再認識させる。追うべきは3点。第一に、対米処理能力の増強が越産果実全体の価格と供給にどう波及するか。第二に、日本向けVHT施設の認定拡大と処理枠がピーク期にどこまで持つか。第三に、上位等級の対米シフトが日本の仕入れ玉に響かないか。まずは取引先の産地に対し、日本向けVHTの処理枠を今シーズンどこまで確保しているかを確認するところから始めたい。

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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