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Gia LaiのTAMBAがVietnam Amazing Cup 2026のArabica制覇——0.05点差でDa Latを破る

2026年4月26日、ベトナム・Dak Lak省Buon Ma Thuotで開催されたVietnam Amazing Cup 2026の最終結果が発表された。第8回となる今大会のArabica部門で、Gia Lai省のTAMBA Production and Service Company Limited(Bien Ho Coffee運営の家族農園)85.3点を獲得し優勝。Arabica王国を自認してきたLam Dong省Da Latの常連勢をわずか0.05点差で抑え、ベトナムスペシャルティコーヒーの産地勢力図を塗り替えた。Robusta主産地として知られるGia Lai省からArabica王者が出たことで、日本の業界バイヤーにとっても産地評価の見直しが必要になる結果となった。

目次

起点ニュース——TAMBAが85.3点、Da Latを0.05点差で振り切る

Buon Ma Thuot Coffee Associationが主催した今大会は、SCA(Specialty Coffee Association)およびCQI(Coffee Quality Institute)の国際カッピング基準に準拠して審査された。最終審査は国際審査員が主導し、2部門でそれぞれ優勝が決定した。

Arabica部門の優勝は、Gia Lai省のTAMBA Production and Service Company Limited。スコアは85.3点で、2位はDa Lat(Lam Dong省)の8RO Production, Trading and Service Joint Stock Companyで85.25点。点差はわずか0.05ポイントだった。一方、Robusta部門はLam Dong省のANT BEE Coffee Company Limitedと同省のNguyen Son Tung氏(Phuc Tho社)が85.94点で同点優勝、Bui Coffee Supply Companyが85.88点で続いた。

大会副会長のNguyen Thien Van氏は「8年を経て、本大会は業界の品質と価値を示す権威ある基準として機能し、ベトナムコーヒー、特にRobustaの国際的理解を形成する重要なデータ源となっている」と述べた。今回はベトナム7主要産地から81生産者・182サンプルが出品され、登録総量は348トン(Arabica 86トン、Robusta 262トン)151サンプル(83%)がスペシャルティ基準(80点以上)をクリアしており、過去最大規模かつ高水準の大会となった。

背景——父子30年・200ha家族農園が中部高原Arabicaの新基準に

TAMBAを運営するBien Ho Coffeeは、創業者Lưu Vĩnh Quang氏(先代)が30年以上前にGia Lai省に立ち上げた家族農園を起点とする。現在は息子のQuang氏(ジュニア)が経営を継承し、果樹をシェードツリーとして配置するアグロフォレストリー型の200haの自社農園で生産から加工まで一貫管理している。

農園はRainforest Alliance認証を取得済みで、Organic認証も取得進行中。Quang氏ジュニアは「化学農薬・除草剤は使用しておらず、栽培方法はもともとオーガニック」と公表しており、地域少数民族Jaraiコミュニティと連携した雇用創出も特徴だ。先代Quang氏はJarai族の言語を学び、文化的関与を続けてきた経緯があり、家族経営とコミュニティ密着型運営が品質と社会性の両軸で評価される土台となっている。

Gia Lai省は伝統的にRobusta主産地として知られ、Arabica供給は隣接するLam Dong省Da Latに大きく依存してきた。しかしHAGL(Hoang Anh Gia Lai)のような大規模農場進出に加え、TAMBAのような中規模家族農園が国際基準で頂点を取るに至り、産地ポートフォリオが拡張する局面に入っている。HAGLが2028年までに2万haのコーヒー農場を計画している点と合わせ、Gia Lai省は「Robusta+Arabica」の両刀産地への移行を加速させている。

受賞データ早見表——スコア・産地・農園プロフィール

部門順位事業者スコア産地
Arabica1位TAMBA Production and Service Co., Ltd.(Bien Ho Coffee)85.30Gia Lai省
Arabica2位8RO Production, Trading and Service JSC85.25Lam Dong省(Da Lat)
Robusta1位(同点)ANT BEE Coffee Co., Ltd.(Tan Ha社)85.94Lam Dong省
Robusta1位(同点)Nguyen Son Tung氏(Phuc Tho社)85.94Lam Dong省
Robusta2位Bui Coffee Supply Co., Ltd.(Nam Ban社)85.88Lam Dong省

TAMBA農園は200ha・アグロフォレストリー栽培・果樹シェードツリー併用・Rainforest Alliance認証取得済み。提供品種にはRobustaの「Siêu Sao(嫌気性発酵/ナチュラル)」と「Jarai(ハニープロセス)」があり、欧州(ドイツCumpa社経由)にも出荷実績がある。今回のArabica優勝品については、品種・処理法の詳細は大会主催側から正式公表されていない。

業界の反応——SCA基準準拠・農家・バイヤーの3視点

大会運営側(Buon Ma Thuot Coffee Association)のNguyen Thien Van副会長は「本大会は信頼できる業界の指標として進化した。小規模生産から商業規模への転換を示す重要なマイルストーンになっている」と言及。83%という高いスペシャルティ判定率を踏まえ「ベトナムコーヒーの国際的評価向上に直接貢献する」と位置づけた。

農家側では、TAMBAのQuang氏ジュニアは現地メディア取材で「先代がJarai族と築いた信頼関係と、化学農薬を使わない農法の積み重ねが評価された」と語っている。先代から続く30年の蓄積が、コンペで顕在化した形だ。

バイヤー側では、欧州のスペシャルティ専門業者であるドイツCumpa社が既にTAMBAの取り扱いを開始している。同社はTAMBAを「サステナビリティと品質管理を両立させた中部高原の代表的家族農園」と紹介しており、欧州市場ではすでに信頼を獲得済み。今回のコンペ優勝は、日本・韓国・台湾を含むアジア圏のスペシャルティバイヤーにとって、TAMBA調達の正式な動機付けになる。

日本のスペシャルティバイヤーへの影響——調達先候補としての位置づけ

日本のスペシャルティコーヒー市場では、ベトナム産は「Robustaの安価原料」というイメージから脱却しつつあり、Da Lat産Arabicaが先行して評価されてきた。今回のTAMBA優勝で、日本のロースター・卸が押さえるべき変化は3点ある。

  • 産地分散の選択肢が増えた:Lam Dong一極集中だったArabica調達に、Gia Lai省が正式選択肢として加わった
  • 家族農園トレーサビリティ:TAMBAは200ha自社農園・処理一貫体制で、シングルオリジン豆としてストーリーを売れる
  • 認証ステータス:Rainforest Alliance取得済み・Organic申請中という立て付けは、サステナビリティ訴求が必須の日本ロースターと相性が良い

すでに日本市場ではベトナムコーヒー業界の構造変化が複数の角度で進んでおり、中部高原農家のドリアン転作によるコーヒー供給縮小と並行して、残存生産者の品質高度化が進んでいる。日本のバイヤーは「数量より質」の調達戦略にシフトする実需に直面することになる。

業界への波及——Da Latブランド再定義とGia Lai産地戦

0.05点差というスコア差は、評価の世界では誤差レンジ内とも言える接戦だが、メッセージ性は大きい。Da Lat(Lam Dong)が長年保ってきた「ベトナムArabicaの首都」の地位が、Gia Lai省勢の台頭で相対化される構図になった。Da Latブランドは観光・農産物・花卉と並び、ベトナム国内のプレミアム産地ブランドとして機能してきたが、Arabicaコーヒーに関しては今後「Da Latの隣を走るGia Lai」という多軸構造が定着していく可能性が高い。

Robusta部門ではLam Dong省勢が引き続き上位を独占しており、「Robusta=Lam Dong優位/Arabica=Gia Lai台頭」という新しい産地分業が見えてきた。HAGLの2万ha農場計画と併せて読むと、Gia Lai省が「Arabica×大規模・家族農園併存」という独自ポジションを確立する可能性が高く、輸出インフラ・物流・倉庫機能の集積もこれに追随することが予想される。

実用情報——TAMBA農園プロフィールと購入経路

項目内容
事業者名TAMBA Production and Service Co., Ltd.(Bien Ho Coffee運営)
創業者Lưu Vĩnh Quang氏(先代、創業30年以上)
所在地ベトナム・Gia Lai省(中部高原)
農園規模200ha(家族経営・自社一貫管理)
栽培方式アグロフォレストリー(果樹シェードツリー併用)/化学農薬・除草剤不使用
認証Rainforest Alliance取得済み/Organic取得進行中
主要品種・処理法Robusta「Siêu Sao」(嫌気性発酵・ナチュラル)/「Jarai」(ハニープロセス)/Arabica(受賞ロット詳細未公表)
主要販路欧州(ドイツCumpa社経由)/2026年大会後はアジア圏の引き合い拡大見込み
地域連携Jarai族(少数民族)コミュニティと長期連携/研修センターを建設中

日本のロースター・卸が現時点でTAMBAコーヒーを評価したい場合、欧州ディストリビューター(Cumpa社等)経由のサンプル取得か、ベトナム現地商社経由でBien Ho Coffeeへのコンタクトが現実的なルートとなる。受賞ロットそのものは数量限定であるため、2026年クロップの早期確保が望ましい。

まとめ——「Robustaの国Vietnam」から「家族農園Arabicaの国」へ

Vietnam Amazing Cup 2026のArabica部門でGia Lai省TAMBAが優勝した結果は、単なるコンペの一勝以上の意味を持つ。Robusta主産地としてのGia Lai省イメージが上書きされ、家族経営・認証・少数民族コミュニティ連携といった「ストーリー型スペシャルティ」が国際舞台で通用する基準になりつつあることを示している。日本の業界関係者は、Lam Dong一辺倒だったArabica調達戦略を見直し、Gia Lai産地への一次調査を始めるタイミングにある。パッションフルーツのGia Lai省主産地化と並び、同省が「ベトナム農産物プレミアム化の中核」へと位置を変えつつある現状は、産地ポートフォリオ全体の組み替えを促すシグナルだ。

引用元

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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