NÔNG NGHIỆP VIỆT NAM — TẠP CHÍ NÔNG NGHIỆP ĐÔNG NAM Á

ドリアンを畑で競り落とす、238億ドンが日本の調達に置いた物差し

2026年7月25日の朝、ベトナム中部高原ダクラク省クロンパックで、収穫前のドリアンが樹に生ったまま競りにかけられた。10戸の園地・14.36ha、Dona種のおよそ350トンが、10社の入札を経て1kg=68,000ドン、総額238億ドン(1 tỷ=10億ドン。1円=約162VNDで約1億4,700万円、2026年7月時点)で1社に渡っている。園地単位の公開競りはベトナムで初の試みだと現地各紙が伝えた。日本の輸入・加工の現場から見て面白いのは金額の大きさではなく、これまで当事者しか知らなかった「畑での値決め」が、日付と品種と認証つきで初めて表に出たことだ。

目次

2回の入札で決着した、10戸ぶんの樹上果実

主催はクロンパック社人民委員会で、ダクラク・ドリアン祭2026の公式行事の一環として開かれた。出品されたのは10戸の園主が持ち寄った14.36haぶんのDona種で、見込み数量はおよそ350トン。開始価格の55,000ドン/kg(約340円)は、園主が示した希望売価をもとに置かれている。

入札は2巡した。1巡目で8社が58,000〜66,000ドン/kgを提示して2巡目に進み、そこでNguyên Thuận農業輸出入有限会社が68,000ドンを付け、参加10社のうち残る9社を抜いた。落札はその場で確定した。落札値は開始価格を1kgあたり13,000ドン、率にして23.6%上回っている。売られたのは選果済みの果実ではなく、まだ樹にある350トンそのものである。

仲買人が「収穫3日前」まで値を決めなくなった夏に起きたこと

この競りが7月に組まれた事情は、2026年産の作柄を見ると読み取れる。開花期の大雨で着果率が落ち、外観が輸出基準に届かない果実が増えた。VietnamNetが7月7日に伝えた園主の話では、100個のうち基準を満たすのは50個ほどという園もある。

買い手側の行動も変わっていた。前年に手付を打ったまま相場を外して損を出した仲買人が、事前に手付を入れるやり方をやめ、収穫の3日前になって値を決めるやり方へ移している。同じ7月上旬、Dona種に対する仲買人の提示は35,000〜40,000ドン/kg(約216〜247円)で、前年同期の約60,000ドン(約370円)から大きく下がっていた。

値決めが後ろへずれるほど、相場変動と外観不良のリスクは園主側に積み上がる。園地での競りはその向きを反転させる仕組みだ。収穫前に単価と数量を確定させ、歩留まりが読みどおりに出るかどうかの勝負を買い手に引き受けさせる。手付破りが常態化した産地で、地方政府が主催者として間に入り、契約をその場で結ばせる意味もそこにある。

68,000ドンという数字をどう読むか

競り値は単独では意味を持たない。同じ時期の市中価格、そして落札者が選果後に狙う売値と並べて初めて位置がわかる。

区分 ドン/kg 円換算(1円=約162VND) 条件
競り開始価格 55,000 約340円 園主の希望売価がベース
1巡目の提示帯 58,000〜66,000 約358〜407円 2巡目に進んだ8社
落札価格 68,000 約420円 Nguyên Thuận社・2巡目
選果後C級の想定売値 55,000 約340円 落札後の等級別
選果後B級の想定売値 70,000 約432円 落札後の等級別
選果後A級の想定売値 97,000〜100,000 約599〜617円 落札後の等級別
市中のDona種(7月7日時点) 35,000〜40,000 約216〜247円 仲買人の提示。一般園地
同・前年同期 約60,000 約370円 仲買人の提示

市中の35,000〜40,000ドンと落札の68,000ドンには2倍近い開きがある。ただしこれを競りという仕組みの効果だけに帰すのは乱暴だ。出品されたのは安全基準と産地コード、生産日誌の記録要件を満たす選抜園であり、品質の前提がそもそも違う。差の何割が選抜によるもので、何割が競争入札によるものかは、この1回では切り分けられない

行政は「まだ出発点」と言い、落札企業は運営の透明さを評価した

クロンパック社人民委員会のLại Đức Đại委員長は、これはまだ始まりにすぎないとしたうえで、省の指導と関係部局の支援、企業の同行、農家の呼応が揃えばこの方式は完成度を上げていくと述べた。

ダクラク省人民委員会のNguyễn Thiên Văn副委員長は、農家が意気込んで競りの場に集まった様子に強い印象を受けたと述べている。

落札したNguyên Thuận社のĐinh Thị Hoa社長については、運営の専門性と透明性を高く評価し、今後も地元と組んでいきたい意向を示したとNông nghiệp và Môi trườngが伝えている。値段の安さより仕組みへの評価が先に立った点は、買い手の動機を考えるうえで手がかりになる。出品した園主のホー・ティ・フエ氏は、想定を上回る水準で決まったことを喜び、公開の場を用意した行政への謝意をTiền Phongに述べた。

買い手が背負ったのは価格ではなく歩留まりだ

68,000ドンという一本値は、350トン全部に等しくかかる。しかし落札者が回収するのは等級別の売値で、A級97,000〜100,000ドン、B級70,000ドン、C級55,000ドンと幅が大きい。つまりこの入札は、実質的に「この10園からA級がどれだけ出るか」を当てる勝負だった。

単純に試算してみる。A級を98,500ドン(提示幅の中間)とし、残りがB級とC級で半々に分かれると置くと、A級が全体の15%あれば加重平均が68,000ドンに届く。実際には収穫作業、輸送、選果でこぼれるぶんの費用と減耗が乗るので、採算に必要なA級比率はこれより上がる。1巡目の8社が58,000から66,000まで幅を持って値を付け、そこから68,000まで一手伸ばした会社が出たのは、この比率の読みが会社ごとに違ったからだと解釈できる。

ここが日本の調達担当にとっての読みどころになる。公開されたのは価格だけではない。産地のプロ8社が同じ園地を見て出した歩留まり予想のばらつきが、数字として残った。相対取引ではこれが一切見えない。

日本の調達に効くのは生果ではなく原料コストの可視化

日本にとってベトナム産ドリアンの主戦場は生果ではなく冷凍と加工で、冷凍への軸足移動はすでに始まっている(生果は急落、冷凍は20倍──越ドリアンが加工で開く調達の窓)。加工品を輸入する側から見ると、園地渡し単価は原料コストの根にあたる。ここが公開された意味は小さくない。輸出企業から提示された見積りに対し、同じ品種・同じ時期・同じ認証水準の畑先価格をぶつけて差を問える状態が、部分的にせよ生まれた。

ただし68,000ドンを「相場」として持ち出すのは誤りになる。350トンはクロンパックの2026年見込み生産量5万トンの0.7%にすぎず、しかも選抜されたVietGAP園のDona種だ。参照すべきは水準ではなく差分の理由で、「同条件でなぜこれだけ離れるのか」という問いの形にして初めて交渉材料になる。

もうひとつ実務に効くのが参加条件のほうだ。出品園はIPHM・IPM・ICMの実践、登録農薬のみの使用、生産日誌の完全記録、産地コードとトレーサビリティの充足を求められている。ドリアンの追跡はすでに全国制度として動き始めており(ドリアンをQRで追う越の全国制度、日本の産地確認はこう変わる)、競りに出る園地は残留農薬や由来書類の要求に応えやすい母集団になる。競り結果の公表は、そのまま「書類が揃う園地のリスト」としても読める。

4,600トンでは市場にならない。それでも産地が競りを選んだ理由

8月20日まで残り2回の開催が予定され、対象は約200ha・約4,600トンとされる。クロンパック年産の1割弱で、価格指標として機能する規模ではない。仲買人を介さない取引の場をつくる動きはドリアンに限らず、養豚ではオンライン取引所を立ち上げる例も出ている(飼料大手Greenfeedが豚をオンライン取引、仲買人依存を崩す)。産地側の関心は共通して、値決めの主導権をどこに置くかにある。

背景には輸出市場の構図もある。中国の2026年上半期のドリアン輸入は107万トンで、前年同期の70.8万トンから大きく伸びた。それでも金額シェアはタイが81%(37.9億ドル)を握り、ベトナムは8.46億ドル・18%にとどまる(南華早報、2026年7月23日)。数量が膨らむほど買い手優位になり、産地の取り分は薄くなる。畑で値を公開するという選択は、その圧力への産地側からの反応でもある。

日本の調達にとっては、価格が公開される産地が増えるほど比較が効くという単純な話に落ちる。まだ1回の実験だが、実験が続くかどうかは8月20日までに判定できる。

クロンパック園地競りの実務データ

項目 内容
主催 クロンパック社人民委員会(ダクラク・ドリアン祭2026の公式行事)
場所 ベトナム・ダクラク省クロンパック(旧クロンパック県)
実施期間 2026年7月22日〜8月20日。初回7月25日、残り2回を予定
対象規模(全体) 約200ha・約4,600トン
初回の出品 10戸・14.36ha・Dona種・約350トン
方式 園地単位の直接入札・段階的な競り上げ。開始価格は園主の希望売価がベース
出品園の条件 安全生産基準の達成、IPHM/IPM/ICMの実践、登録農薬のみ使用、生産日誌の完全記録、廃棄物処理、産地コードとトレーサビリティ
参加資格 収穫・買付の実行能力がある企業・協同組合・投資家など。事前申込制(初回は7月23日締切)
初回落札者 Nguyên Thuận農業輸出入有限会社(社長 Đinh Thị Hoa 氏)
クロンパックの規模 ドリアン3,000ha超。2026年生産見込み約5万トン、産出額約3兆ドン(約185億円)
ダクラク省の規模 ドリアン約44,900ha。全国作付面積の21.7%

まとめ:8月20日までの2回を、価格ではなく分散で見る

初回の競りが残したのは238億ドンという総額よりも、1巡目の8社が58,000から66,000まで幅を持って値を付け、最後の一手が68,000だったという事実のほうだ。買い手ごとの歩留まり評価が数字として初めて外から見えた。日本側で動くとすれば手順は三つになる。8月20日までの残り2回について落札価格と提示帯を記録し、初回との差を園地条件の差と突き合わせること。取引先の輸出企業に、同時期・同品種の園地渡し単価をどう積んでいるか説明を求めること。そして冷凍・加工での取引を検討しているなら、競りに出せる要件を満たした園地群を供給元候補として名指しで確認することだ。

競りに直接参加するには現地で収穫・買付を実行できる体制が要るため、日本の輸入者が単独で入るのは現実的でない。組むとすれば、落札実績のある地場企業か協同組合との共同調達という形になる。次の2回の結果は、その相手を選ぶための最初の実績データになる。

参照元:Dân ViệtNông nghiệp và Môi trườngNông nghiệp và Môi trườngNhân DânTiền PhongVietnamNetSouth China Morning Post

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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