NÔNG NGHIỆP VIỆT NAM — TẠP CHÍ NÔNG NGHIỆP ĐÔNG NAM Á

味付け卵の次は殻むきゆで卵、日本の取引先が缶から袋へ切り替えを要請

ベトナムの鶏卵加工企業ヴィンタインダット(V.food)が6月に日本へ初出荷した味付けタイプの即食卵について、日本側の取引先が次に求めたのは「味を付けていない殻むきゆで卵」だった。2026年9月24日付のダンチー紙が同社トップの話として伝えている。用途は日本国内の食品加工事業者が自社の工程に投入する工業用原料だ。あわせて包装を缶から袋に変えるよう要請があり、同社は袋詰めのサンプルを送って受け入れられた段階にある。まだ量産の発注ではないが、日本の食品メーカーがベトナムを完成品の供給元ではなく工程の外注先として見はじめた動きとして読める。

目次

味付け卵の初出荷から3か月で届いた追加の要望

6月18日のコンテナには17万2,000個が積まれていた

ヴィンタインダットが即食タイプの鶏卵加工品を日本へ初めて出したのは2026年6月18日。トゥオイチェー紙によれば、最初のコンテナには17万2,000個が積まれた。両社は2年近くを準備と製品開発に費やし、日本人の専門家の助言を受けて日本の消費者の味覚と食品安全の要求に合わせ込んだ。日本側が与えた受け入れ期間はまず12か月で、その結果を見て長期の枠を出すかどうかを判断する段取りだという。

同じ相手が次に頼んだのは味の付かないゆで卵

ダンチー紙の取材に対し、同社トップのチュオン・チー・ティエン氏は、日本へ出した加工卵の各ロットが顧客から高く評価され、その後も新しい発注と納品計画のやり取りが続いていると説明した。ただしその発注は味付け卵の話だ。そこに日本側が追加で持ち出したのが、調味していない素のゆで卵のサンプル提供である。ここは読み違えやすい。前文は日本側が新製品の殻むきゆで卵を「発注し続けている(đặt hàng)」と書くが、本文が伝えるのはサンプル提供の依頼と受け入れ、そして協業の次の段取りを待つ状態までで、量産の数量や時期が決まったとは書かれていない。

缶をやめて袋にしたい、と言ったのは日本側だった

缶だと包装と輸送の費用が価格に跳ね返る

ティエン氏によると、一部のゆで卵製品はこれまで海外の顧客に缶詰の形で紹介されてきた。ただ、この形では包装費と輸送費が膨らみ、製品価格に跳ね返る。そこで日本側が費用を下げるため袋状の包装への切り替えを求めた。容器を軽くして1個あたりの原価を削りにいく発想は、完成品を買う目線ではなく、原料を買う側の目線そのものだ。

袋のサンプルは通ったが、そこから先はこれからの段取り

同社はすでに袋詰めのゆで卵サンプルを送り、日本側の受け入れを得た。ティエン氏は自社や他の鶏卵加工企業でも包装技術と資材が改善しており、日本側の要求に応えられるとみる。同氏は「受け入れられれば、鶏卵は日本市場でより大きな規模の機会を得る」とも述べた。公になっているのはここまでで、数量や納期は出ていない。

卵1個の値段を日本と南部ベトナムで並べる

東京の卸建値と、ベトナム南部の農場出し価格

価格の水準を並べてみる。JA全農たまごが2026年9月25日9時に発表した東京の鶏卵相場は、M規格の基準値が300円/kg、L 305円、LL 310円で、市況は保合、入荷量は760トンだった。一方、ベトナムの業界誌Tạp chí Chăn nuôi Việt Namが掲げる全国の農場出し価格(giá tại trại)は、鶏卵が南部1,730ドン/個、中部1,880ドン/個、北部2,100ドン/個。集計日は9月22日である。

項目 日本・東京 ベトナム・南部
原表記の価格 M基準値 300円/kg 鶏卵 1,730 VND/個
1個あたり概算 約18円(1個60gとして筆算) 約10.6円
換算に使ったレート — 1円=163.60 VND(2026年9月25日)
時点 2026年9月25日 9時発表 2026年9月22日集計(9月25日表示)
取引の段階 卸の建値 農場出し価格(tại trại)の平均

日本側は卸の建値、ベトナム側は農場の出し値で、規格も集計日も違う。約1.7倍(18円÷10.6円)という差をそのまま利幅と読むことはできない。押さえたいのは、殻付きの卵の水準にこれだけの開きがあり、日本で茹でて剥くならそこに国内の人件費が乗る、という順序のほうだ。

ベトナム国内は供給過剰で価格が下がっている

ベトナム側の事情も価格に出ている。鶏卵価格が高かった時期に飼養羽数を増やした農場が多く、供給が需要を上回って価格が長く下がった。ドンナイ省畜産協会の関係者は6月18日、供給過剰で価格が深く下がる状態が繰り返され生産者が損失を抱えているとトゥオイチェー紙に話した。日本の買い手は、原料が余っている側と話をしている前提を置いておきたい。

日本の加工業が外に出したいのは「茹でて剥く」工程

買っているのは卵ではなく手間のほう

変わったのは味付けの有無だけに見えるが、意味合いは大きく動いている。味付け卵はそのまま食べられる完成品で、味までベトナム側の工場で決まる。対して素の殻むきゆで卵は、受け入れた日本の工場が用途と味付けを決める中間材だ。味が付いていない分だけ振り向け先の幅が広がり、発注側は自社の配合を相手に渡さずに済む。つまり日本側が買おうとしているのは卵という素材ではなく、茹でて冷まして殻を剥くという労働集約的な工程である。

なぜ殻むきに人手が残るのか

ゆで卵の殻むきは、割れやくぼみがそのまま歩留まりに響くため、機械を入れても人の手当てが残りやすい。その工程を国外に出すのは、日本の食品加工が一次加工を国外に預けてきた流れと同じ線上にある。唐辛子粉20トンが日本へ初出荷された日韓合弁の事例のように、完成品ではなく原料工程を担う輸出は増えている。ゆで卵はそこに家禽が入った形だ。

現地の生産者と研究者はこの動きをどう見ているか

ドアン准教授が挙げた条件は清潔な原料卵と加工技術

ベトナム農業学院のブイ・フー・ドアン准教授はダンチー紙に対し、日本は輸入食品への要求が厳しい市場の一例であり、そこにベトナムの即食卵が入れたことは、国内企業が工程の標準化と品質管理、製品の作り込み、市場アクセス用の書類作成をこなせる証拠だと評価した。そのうえで、即食卵の輸出には清潔な原料卵と加工技術という二つの土台が要ると指摘し、原料卵には出所の追跡とバイオセキュリティ、疾病、飼料、飲水、動物用医薬品の残留の管理を求めている。

加工の側でも、加熱から保管までの各工程を厳しく管理しなければ微生物面の安全と品質は保てないという。同氏は「即食卵の輸出は簡単な道ではないが、家禽産業が生鮮の販売から価値連鎖の育成へ移り、より高い価値の市場に手が届くようになる重要な方向だ」と述べ、条件に原料地帯から工場までの閉じた生産チェーンと、一気に手を広げず製品と市場を選ぶことを挙げた。

川上では設備投資と情報管理の更新が先に進んでいる

この指摘は現場の動きとつながっている。ドンタップ省では空調鶏舎で6万羽を8人が回す運営が成立しており、疾病と環境の管理を設備で担保する投資が進む。加工側でもナフーズがSAPで基幹システムを統合した事例のように、トレーサビリティをシステムで出せる企業が出てきた。ドアン准教授の言う「追跡できる原料」は、理念ではなく調達可能な条件になりつつある。

日本の買い手が引き合いを出す前に確かめること

いま公になっている条件はどこまでか

確認項目 報道で確認できること
製品形態 味付けの即食卵は6月に出荷済み。素の殻むきゆで卵は袋詰めサンプルが受け入れられ、次の段取り待ち
包装 従来は一部が缶詰。日本側の要請を受けて袋のサンプルを送り、受け入れられた
出荷実績 2026年6月18日、初コンテナで17万2,000個
受け入れ期間 まず12か月(起算日は報道に明記なし)。その後に長期の枠を判断
原料卵の条件(ドアン准教授の指摘) 出所の追跡、飼料・飲水・動物用医薬品の残留管理、ひびや汚れのない均一な殻付き卵
工程の条件(同) 加熱、冷却、殻むき、調味、包装、保管の各工程の管理

12か月の期限が切れるのはいつか

12か月という受け入れ期間の起算日は、報道に明記がない。ただ6月18日の初出荷と前後して与えられたものなので、2027年半ばに見直しの局面が来ると見ておくのが自然だ。買い手から見れば、いまは供給側が実績を積みたい時期で、条件のすり合わせに応じやすい。ティエン氏は6月の時点でトゥオイチェー紙に「現在の供給能力は取引先の需要に対してかなり控えめで、供給量を増やすため工場の増設を検討している」と述べており、量の約束より先に仕様の約束を取りに行ける状況がうかがえる。

まず頼むべきは自社仕様を入れない素ゆで卵のサンプル

日本の加工・外食で卵の調達に関わるなら、最初の一手は完成品の見積もりではなく、袋詰めの素ゆで卵サンプルを規格違い(サイズ、内容量、殺菌条件)で複数取り寄せ、自社の工程に入れて歩留まりと食感を測ることだ。包装の要求が通っているように、仕様はまだ動く段階にある。ただし報道で確認できるのはこの1社と特定の取引先のあいだの話で、同じ条件で自社が買えるかは別問題だ。輸入の可否や検疫の扱いを自社で確かめたうえで、量の交渉より先に仕様を固めるほうが、12か月の期限の中で判断材料を揃えやすい。

参照した情報源

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

目次