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フィリピンが中国シェア1%未満で新品種、越ドリアン調達に響くか

フィリピンのドリアン輸出協会が、Golden Puyat(ゴールデンプヤット)という品種を育てて中国市場での競争力を上げる計画を示した。ベトナムの農業環境紙が2026年9月25日に報じた。タイ産・ベトナム産と競う舞台として示されるのは中国市場だ。輸出業者はシンガポールと日本も視野に入れ、カナダ・欧州・中東・米国への拡大も探しているとされるが、日本向けの検疫条件には原文が触れていない。

それでもベトナムから果実原料を引く調達担当には読む価値がある。フィリピン側が出した数字と、同じ9月のうちにベトナム側で出た買値を並べると、供給元を1カ国で固めるリスクと、いま代替を探して実際に手に入るものが分かれて見えてくる。

目次

輸出協会が出した15万トンは、まだ2026/27年度の見込み

1万5000haで10トン/ha、輸出に回るのは4〜5割

原文がフィリピンのドリアン輸出協会の話として伝えているのは、栽培面積が現在およそ1万5000ha、生産量が2026/27年度に15万トンに達する見込みだという2点である。15万トンは実績値ではなく見通しの数字で、ここを取り違えると産地の力を1年分先取りして読むことになる。

面積で割ると1haあたり10トン。輸出できる可能性があるのは4〜5割と書かれており、輸出に向く量は6万〜7万5000トンになる。筆者が発表値を割った数字で、協会が公表した輸出量ではない。

輸出の9割が中国、それでも中国でのシェアは1%未満

原文はもう1組の数字を出す。中国はフィリピンにとって従来からの輸出先で、同国のドリアン輸出全体の約90%を占める。ところが中国市場で見たフィリピン産のシェアは1%に届かない。だから中国にはまだ余地がある、という読み方が示されている。

この2つは矛盾しない。出す側には中国が全量に近く、受ける側には取るに足らない量という非対称が出ている。フィリピンが中国を狙うとは、新市場を開く話ではなく、すでに9割を出す相手の中で取り分を増やす話だ。

Golden Puyatは計画の段階で、出荷までは遠い

原文が名前を挙げた比べる相手はモントンとムサンキング

協会の見立てとして原文が書くのは、タイがモントンで中国のドリアン市場を押さえ、ベトナムもモントンを中国に供給し、マレーシアがムサンキングのブランド化に成功したこと。だからフィリピンはGolden Puyatを育てる計画を立てている、という順番だ。

原文が比べているのはこの3品種で、ベトナムについて書いたのはモントンの供給元としての一行である。触れられていない品種同士を並べて優劣を語ると、元の記事にない対立を作ってしまう。

計画の段階と出荷の段階は同じ線の上にない

原文はGolden Puyatを「品種」と呼び、開発を計画する対象として挙げる。在来種か登録品種かの書き分けも、育種の手法や年数、予算も、この一文からは定まらない。

確定しているのは計画があるところまでだ。品種の確立、産地での普及、検疫手続き、実際の出荷は別の段階として動く。一段上に読むと、来年の調達計画に入る供給元として扱ってしまう。

カナダ向けは300キロの試験空輸、フランスは週次で続く

2便あわせて920キロ、うちドリアンは600キロ

中国以外への展開がどの規模で動くかは、フィリピン農務省の発表で確かめられる。2026年9月23日付の発表では、同日バンクーバー向けに生鮮ドリアン300キロとマンゴスチン120キロが出発し、24日にはトロント向けにドリアン300キロとマンゴスチン200キロを出す予定だとしている。予定分を含めて合計920キロ、うちドリアンは600キロで、いずれもフィリピン航空便の空輸だ。

農務省はこれを試験出荷(trial shipment)と書いている。買い手はカナダのFresh Makers Ltd.。同じ発表は、輸出業者がフランス向けに生鮮ドリアンの航空便を3回済ませ、週次の出荷を続けているとも説明している。フランスは継続、カナダは試験と段階が書き分けられている。

ミンダナオから運び出す経路が壁になる

起点記事は中国以外への拡大の壁として物流を挙げている。フィリピンのドリアンはほとんどがミンダナオで作られており、輸出業者が産地から国際市場まで複雑な経路に向き合うことになるという指摘だ。300キロ単位の空輸は、この制約と地続きに見える。

フィリピンのドリアン業界はアジア・フルーツ・ロジスティカに初参加し、ドイツ、カナダ、豪州、ニュージーランド、中東、米国の顧客を集めたとも原文は書いている。同じ展示会にベトナムから22社が並んだ回も見比べると、名刺交換の段階とコンテナを回せる段階は別に数えたほうがいいと分かる。

ベトナム側は7ヶ月で18億ドル、うち中国が16.5億ドル

中国依存は比が輸出の9割、越は金額で約92%

比較の土台を揃える。ベトナム税関の数字として2026年9月17日付の同紙が伝えたのは、2026年1〜7月のドリアン輸出が約18億ドルで前年同期比47%増、うち中国が約16.5億ドルで57%増という内容だ。16.5を18で割ると約92%になる。

フィリピンの中国依存が輸出量の約90%、ベトナムが金額で約92%。量と金額で基準が違うので厳密には並べられないが、どちらも中国に寄りきっている。18億から16.5億を引いた残り、つまり中国以外の全市場を合わせて約1.5億ドルになる。ベトナムが依存先を広げる動きはインド市場の解禁で対中依存に風穴を開けた話にまとめてある。なお同紙は、ベトナム果菜協会の事務局長が9月単月で初めて10億ドルを超える可能性に言及したとも書いているが、これは予測であって実績ではない。

ダクラクの買値は畑先渡しと倉庫渡しで二層に分かれる

同じ記事にはダクラクの買値が段階別に出ている。取引段階を混ぜずに読むと、産地の値段がどう積み上がっているかが見える。

取引段階 区分 2026年9月17日時点の水準
畑先渡し(混合買い) 選別なし 1kg 58,000〜60,000ドン
畑先渡し(混合買い) 樹齢が進み粒が揃う園 1kg 約65,000ドン
輸出向け買付企業での値 Dona A級 1kg 83,000〜85,000ドン
輸出向け買付企業での値 Dona B級 1kg 63,000〜65,000ドン
輸出向け買付企業での値 高品質ロット 1kg 95,000〜100,000ドン
輸出向け買付企業での値 Ri6 A級 1kg 55,000〜60,000ドン

円換算はレートの取り方で幅が出るため、原文のドン建てのまま置いた。一部産地では9月10日比で1kgあたり10,000〜15,000ドン上がり、日によって1,000〜3,000ドン動いた場面もある。中秋節と国慶節に向け中国側が手当てに入った時期だ。

同紙は、8万〜10万ドンという水準が園地の全量に適用される値ではないと断り、協同組合の代表の説明としてこれが主に倉庫での1級品の値だと伝えている。2級・3級は1級より1kgあたり20,000〜35,000ドン低い。同代表は、1級を1kg70,000ドンで提示された場合でも、2級・3級の比率と諸経費を織り込むと混合買いは40,000ドン台から50,000ドン程度になりうると例を挙げている。等級構成で実勢が動く話は収量が増えてA級比率が下がった局面で扱った。

日本の冷凍ドリアン調達で、この秋に確かめておく3点

越側の冷凍在庫が埋まっていると協同組合の代表は話した

同じベトナム側の記事に、冷凍に回した量が以前かなり多く、多くの倉庫が現在は満杯だという証言が出ている。一方で輸出基準を満たす生鮮の玉は減り、それが買値を押し上げる側に働いているという説明だ。冷凍で引く立場から見れば、在庫が厚い時期と生鮮が細る時期が重なる局面になる。

ここから値が上がるとも下がるとも原文は書かず、筆者も言えない。ただ在庫が厚いか薄いかは交渉前に必ず聞く項目で、今回は現地紙に手掛かりが出ている。収穫がダクラクの一部地域に残る段階だという記述も合わせて見ておきたい。

比産を検討するなら輸送手段と一度に出せる量を聞く

フィリピン産を候補に入れるかは、品種より先に物流で決まる。カナダ・フランス向けで確認できるのは空輸で数百キロの単位で、農務省自身が試験出荷と書いている。冷凍については2025年2月にダバオ市の企業が中国税関総署から冷凍果肉とペーストの輸出承認を受け、果肉1,050箱とペースト300箱、価額820万ペソ相当を広州に送った発表がある。1年半以上前の案件で、箱の重量が示されていないため単価は出せない。

聞く順番は決まる。海上コンテナで出せるのか空輸だけか、1回の量はどれだけか、冷凍設備は自社か。ここが埋まらないうちは価格の話に進まないほうがいい。

見積もりはどの段階の値かを先に揃えてから比べる

産地を2つ以上比べるときに事故が起きるのは、段階の違う値を並べる場面だ。ダクラクの例では同じ日の同じ産地で、畑先渡しの58,000〜60,000ドンと倉庫渡し高品質ロットの95,000〜100,000ドンが同時に成り立っている。次の商談でやることを1つに絞るなら、見積もりを受けた時点で「この値はどの段階か」「A級比率は何%を前提にしているか」を書面で揃えてもらうところから始めたい。フィリピンの計画がどう進むにせよ、その2行が欠けた見積もりは産地を比べる材料にならない。

参照した記事と発表

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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