NÔNG NGHIỆP VIỆT NAM — TẠP CHÍ NÔNG NGHIỆP ĐÔNG NAM Á

ソンラの農家がスマホ販路を模索、日本の仕入れは何が変わるか

ソンラ省ビントゥアン行政村(xã Bình Thuận、コミューン)で、農家がスマートフォンを商売道具に変えようと動き始めている。これまで卸に渡して終わりだった作物を、写真や短い動画、ライブ配信にのせて消費者へ直接届ける——そんな販路開拓を模索する段階だ。ビントゥアン行政村の人民委員会で副主席を務めるカー・ティ・ゴック氏は、機材の有無ではなく「スマホを商売道具として使いこなす発想」への転換こそが壁だと話す(Báo Nông nghiệp và Môi trường、2026年9月9日)。多くの住民は撮影も配信もこれからで、直販が根づいたわけではない。それでもこの動きは、ベトナムから農産物や加工原料を仕入れる日本の食品バイヤーにとって遠い話ではない。産地が自ら商品の物語を語り、育て方や作り手を見せられるようになれば、調達の入口そのものが変わるからだ。

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ソンラの農家がスマホで「物語ごと」農産物を届けようとしている

起点となった記事が伝えるのは、山あいの産地で始まりつつある販路の見直しである。単に商品写真を上げるのではなく、収穫の様子を撮り、作り手が声で背景を語り、コメントで質問に答え、その場で注文を取る——記事が思い描くのはそんな売り方だ。ベトナム語の見出しにある「物語を語って売る(kể câu chuyện)」とは、この一連の情報発信を指している。作物の名前と値段を並べるだけの取引から、誰が・どこで・どう育てたかを伝える販売へと、重心を移そうとしている。

ゴック氏が挙げた課題は具体的だ。多くの住民は撮影や動画編集、ライブ配信のやり方を知らない。年配の生産者は操作ミスを恐れて手が止まる。さらに、注文の確定から決済、梱包、配送まで一連の流れを自前でさばく必要がある。同氏は「デジタル化は機器を配ることではなく、農民が実際の手応えを感じられるかどうかで決まる」という趣旨を語ったと記事は伝える。道具は行き渡っても、売上に結びつく使い方までは自動的には広がらない、という現場の実感である。

なぜ今、農家がスマホでの直販に向かうのか

スマホ普及と配信文化が土台になった

ベトナムの農村でもスマホとインターネットが広がり、起点記事のビントゥアンでもZaloやFacebookが身近になっている。実店舗を構えず手元の端末から遠方の消費者へ届く経路が開けば、産地価格と店頭価格の差が大きい農産物ほど直販の妙味は大きい。ただし配信・決済・梱包・配送のコストや手間はかかり、仲買を省けば負担がゼロになるわけではない。

「顔の見える産地」への需要が後押しする

買い手の側にも変化がある。どこの誰が作ったかを知りたい消費者が増え、配信はその欲求に映像で応える。作り手にとっては、値引き競争ではなく物語で差をつける余地が生まれる。ソンラのように知名度のある特産地は、この流れに乗りやすい。実際、同じソンラ省ではバンレイシ(釈迦頭)が畑先で完売する事例を当サイトでも報じた。産地の力がそのまま販売力に転じる素地は、この地域にすでにある。

ハノイの手工芸・食品の村では受注と生産がここまで伸びた

ソンラと直接は比べられないが、ベトナム国内でライブ販売が定着した別地域の様子は先行の手がかりになる。VnExpress英語版(2026年2月6日)は、ハノイ郊外フオンズック行政村の18の工芸村が、テト需要期にライブ配信で受注をさばく様子を報じた。担い手は竹・籐製品や玩具、ピーナッツ菓子などの工房で、ソンラのような農家・協同組合による農産物直販とは業種も成熟度も異なる。それでも農産加工品の生産者が含まれ、配信の普及と同時期に受注・生産・販売額がどう動いたかを数字で追える。以下は同記事が挙げた検証済みの数値である(産地はソンラではなくハノイ・フオンズックの事例)。

比較軸 ソンラ・ビントゥアン(起点・2026年9月) ハノイ・フオンズック(先行例・2026年2月)
担い手 農家・協同組合 手工芸・食品加工の工房
主な品目 畑の農産物 竹・籐製品、玩具、ピーナッツ菓子など
段階 スキル習得・販路開拓の初期 ライブ販売が定着し受注・生産が拡大
事業者(品目) ライブ配信導入後の変化
キム・テウ氏(竹・籐製品) 1回の配信・1時間弱で30件を受注。生産は2023年以降年40%増で日産1,000点超
ズオン・ティ・ホン・ガム氏(ピーナッツ菓子) 月産が2023年以前の1〜2トンから5〜7トンへ拡大。販路がハノイから複数省に
グエン・ヴァン・カン氏(玩具) 2回目の配信で10件を受注
コミューン全体 2025年のオンライン販売額4,500億ドン(約1,800万ドル、1ドル=25,000ドン換算)で前年の7倍。862工房のうち241がオンライン販売、200世帯超が配信スペースを運用

オンライン販売する241工房のうち多くが年商100億〜500億ドン(40万〜200万ドル)に達すると同記事は伝える。ピーナッツ菓子のように農産物を原料とする加工品でも月産が数倍に伸びている点は、原料の仕入れ・供給を考える日本側にとって見逃せない。もっとも原記事は輸出量や原料価格には触れておらず、国内需要の伸びが輸出余力や価格にどう波及するかは、商談で個別に確かめる必要がある。

日本の食品バイヤーには産地の何が見えるようになるか

物語と履歴が「そのまま資料」になる

産地が配信で語る内容は、日本の小売や外食が求める産地ストーリーとほぼ同じ素材だ。畑の映像、収穫の手順、作り手の言葉は、バイヤーがそのまま棚づくりや商品説明に転用できる。従来なら現地視察や翻訳を重ねて集めていた情報が、生産者側の営業努力として先に用意される。ただし販促用の映像は初期確認と売り場づくりの補助であって、ロット記録や農薬使用履歴、検査証明といったトレーサビリティは映像では代替できず、書類で別に押さえる必要がある。

小ロット・ブランド化した産品と直接つながれる

配信を使う生産者のなかには、大量取引だけでなく、少量でも物語性のある商品を扱う作り手がいる。魚醤の家業を継いだ20代が壺での熟成をブランドに変えた事例を別稿で取り上げたが、こうした作り手は、日本のこだわり業態やOEMの原料パートナーとして噛み合う。卸の階層を挟まずに一次生産者へ届く経路は、独自性を求める調達側にとって現実的な選択肢になる。ただし実際の最低ロットや量産余力は生産者ごとに幅があり、商談で確かめたい。

デジタルに強い産地は初回接触が速い

配信を回せる生産者は、動画やチャットでの意思疎通に慣れている。サンプル動画の共有、工程の実演、リアルタイムの質疑がやりやすく、初回接触から相互理解までは早い。ダクラク省のドリアン祭ではKOC(主要オピニオン消費者)の配信で複数の村が販売分を完売させたと既報で伝えた。ただし国内向けに配信で数量をさばける力は、輸出に必要な供給保証や書類対応とは別物で、そこは次の項目で分けて確かめたい。

産地ストーリーを商談でどう引き出すか

直販に動く生産者と組むなら、確認すべき項目は従来の与信や規格チェックと少し違う。配信力と輸出対応力は別物であり、そこを切り分けて確かめると失敗が減る。

商談での確認項目 具体アクション
配信・動画の実績 SNSやライブのアカウントと過去の配信を見せてもらい、更新頻度と作り込みを見る
産地ストーリー 栽培者・畑・工程を自分の言葉で語れるか、追加映像を撮ってもらえるか確認する
一連の対応力 受注から決済・梱包・輸送のどこまで自前でさばけるかを具体的に聞く
配信の運用体制 配信や問い合わせ対応を継続できる担当がいるか、一人依存になっていないか確かめる
規格・衛生 国内配信向けの品質と、輸出に必要な検疫・残留農薬・衛生管理(HACCP等)・原産地やロットの書類を別建てで担保できるか

特に最後の一点は落とし穴になりやすい。国内の消費者向け配信でうまくいっている生産者でも、輸出に必要な衛生管理や規格書類は別の力量だ。配信の巧みさと輸出適格性を混同せず、両方を分けて確かめたい。

まとめ:まず一社、配信する産地に映像を頼んでみる

ソンラの動きは、農家が卸の先の消費者と向き合おうと模索し始めた段階にすぎない。それでも産地が物語を語り、工程を映像で見せられるようになるほど、日本のバイヤーが最初に触れられる情報は厚くなる。次の一手として、取引を検討している生産者や協同組合に、栽培から出荷までの短い工程動画を1本撮って送ってもらうよう頼んでみるとよい。応じられるかどうか、そしてその中身の作り込みが、その産地のデジタル対応力と発信の厚みを最も手早く映し出す。日本向けの調達に本当につながるかはこれからの検証課題だが、判断の入口となる材料は、現地に行く前から手元に届き始めている。

参照元

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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