メコンデルタのVinh Long省、2025年に高品質低排出米を98haから5,088haに51倍拡大——有機ヤシも36,000ha認証取得

ベトナムのメコンデルタに位置するVinh Long省が、循環型・ハイテク農業への転換で急速な成果を上げている。同省の農業再構築報告によると、政府の「高品質・低排出米プロジェクト」に参加する田んぼの面積が、2024年の98.4ヘクタールから2025年に5,088ヘクタールへと51倍以上に拡大した。温室効果ガス排出量の削減と農家の収益向上を同時に達成しており、ベトナム農業の「質的転換」のモデルケースとして注目されている。

目次

高品質低排出米の成果:収益アップと脱炭素を両立

Phát Tài農業協同組合が率いるVinh Long省の高品質米プロジェクトは、3段階穀物分離機・クラスター播種機などの農業機械化とデジタル管理システムを組み合わせた先進的な農業モデルだ。

項目 プロジェクト参加農家 従来農法
収量 6.4〜6.8トン/ha 5.5〜6.0トン/ha(推定)
利益増 VNĐ430万〜560万/ha増益
CO2排出削減 20〜22%削減 基準値
対象面積 5,088ha(2025年) 98ha(2024年)

増益額のVNĐ430万〜560万/haはUS$164〜213に相当する。メコンデルタの農家の平均的な農業収入を考えると、これは実質的に生活水準の向上につながる規模だ。

有機ヤシ農業:世界三大市場(米・EU・日本)向け認証を36,000ha取得

Vinh Long省はベトナム最大のヤシ産地でもあり、全国のヤシ農地の65%にあたる12万ヘクタールを有する。このうち36,000ヘクタールが米国・EU・日本市場向けの有機認証を取得しており、世界の高品質ヤシ市場への供給能力が急速に高まっている。

省内には183社のヤシ関連製品製造企業が存在し、ヤシジュース・ヤシ油・ヤシコスメなど多様な加工品を手がけている。さらに、10年以上植樹されたヤシは1ヘクタールあたり年間70〜75トンのCO2を吸収する能力を持つことが確認されており、将来のカーボンクレジット創出に向けた取り組みも始まっている。

2030年に向けたデジタル農業の目標

Vinh Long省は2030年までに農地面積の15〜20%でデジタル技術を活用するという目標を掲げている。スマートファーム(データ連携・完全トレーサビリティ)の構築を進めており、EU・日本などの厳格な規制に対応した生産管理が可能になる見込みだ。

ベトナム政府が掲げる2026年の農林水産物輸出目標は730〜740億ドルで、ベトナム全体の第1四半期輸出が前年比5.9%増の166.9億ドルを達成していることと合わせると、Vinh Long省の取り組みはその目標達成に直結する重要な柱となっている。

日本のバイヤーへの示唆

Vinh Long省の有機ヤシは、日本市場向け認証取得済みの製品が既に流通している。ヤシオイル・ヤシシュガー・ヤシ繊維製品などは、日本の健康食品・美容業界からの需要が高く、農業商社・輸入事業者にとって注目すべき調達先だ。

また、ベトナムの青果輸出が第1四半期で前年比27%増の14.8億ドルを達成したことと合わせて見ると、ベトナム農業全体の品質向上・輸出力強化の流れは加速している。

引用元:Vietnam News: Vinh Long Province Restructures Agriculture / Vietnam.vn: Agriculture 2026 Green Growth

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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