オランダDe Heus×ベトナムHung Nhon、タイニン省に1兆VND超のハイテク食鶏加工工場を建設
オランダの飼料大手De Heus Royal Groupとベトナムの農業企業Hung Nhon Groupが、タイニン省チャンバン地区にハイテク食鶏加工工場「DHP食品加工コンプレックス」を建設する。投資総額は1兆VND(約59億円)規模で、EU・日本・韓国・中東向けにHalal/ISO22000/FSSC22000認証を取得した鶏肉加工品を輸出する計画だ。
2026年2月24日にフェーズ1の建設が着工済みで、2026年末の完成を目指す。年間1,870万羽の処理能力を持つ欧州基準の生産ラインを備え、2027年初頭には初のHalal認証鶏肉製品の出荷を開始する見通し。
プロジェクトの全容
De Heus-Hung Nhon(DHN)合弁の展開規模
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 合弁事業の投資総額 | 1兆2,400億VND(約73億円) |
| プロジェクト数 | タイニン省・中部高原で計15件 |
| 主要拠点 | タイニン省チャンバン地区 |
| 加工工場処理能力 | 年間1,870万羽 |
| 2036年目標 ブロイラー | 年間2億羽の種鶏・2,500万羽の輸出用ブロイラー |
| 2036年目標 養豚 | 種豚1万頭 |
| 2036年売上目標 | 約20億ドル(約3,100億円) |
| 認証 | Halal / ISO 22000 / FSSC 22000 |
| 輸出先 | EU・日本・韓国・中東・東南アジア |
背景:ベトナム畜産業の構造転換
ベトナムの畜産業は、小規模農家中心の分散型から企業主導の垂直統合型へ急速に移行している。De Heus-Hung Nhonの取り組みは、飼料生産→種鶏→ブロイラー飼育→食肉加工→輸出という一気通貫のバリューチェーンを構築するものだ。
タイニン省はカンボジア国境に近い南部の農業県で、豊富な農地と比較的低い人件費を強みに畜産ハブとしての地位を固めつつある。省政府はDe Heus-Hung Nhonを軸に「ハイテク畜産センター」構想を進め、関連プロジェクト1兆3,000億VND超を誘致済みだ。
De Heusのアジア戦略
De Heus Royal Group会長のCo de Heus氏は「ベトナムはアジア展開戦略の鍵となる市場」と明言。2025年にはCJ Feed & Careの全株式を100%取得しており、飼料市場でのシェア拡大と垂直統合を並行して推進している。
データで見る投資規模
| 指標 | 数値 | 円換算(1円≒170VND) |
|---|---|---|
| DHN合弁投資総額 | 1兆2,400億VND | 約73億円 |
| タイニン省畜産関連投資 | 1兆3,000億VND超 | 約76億円超 |
| 2026〜2036年追加投資 | 約4.98億ドル | 約772億円 |
| 2036年売上目標 | 約20億ドル | 約3,100億円 |
企業・政府関係者の反応
De Heus経営陣
De Heus Vietnam・アジアCEOのJohan Van Den Ban氏は「ハイテクで環境に配慮した畜産モデルをパートナーと共に推進する」と表明。欧州基準の技術移転をベトナム国内に展開する方針を強調した。
タイニン省政府
タイニン省主席は3月25日にDe Heus・Hung Nhon幹部と会談し、15プロジェクトの進捗を確認。「疾病安全区域」の設定や輸出認証の取得支援を約束した。省としてはDHN関連事業を地域雇用と税収の柱に位置づけている。
業界の見方
ベトナム畜産業界では、DHNの垂直統合モデルが成功すれば他の外資系企業の参入も加速するとの見方が広がっている。中国Haidグループの北部ベトナム飼料工場投資とあわせ、外資主導の畜産近代化が進む構図だ。
日本への示唆
日本の食品業界にとって、この動きは無視できない。
- 鶏肉調達先の多様化: 日本はタイ・ブラジルからの鶏肉輸入が主力だが、FSSC22000認証を取得したベトナム産加工鶏肉が新たな選択肢に加わる可能性がある
- Halal市場との連動: DHN工場がHalal認証を標準装備することで、日本のHalal対応食品メーカーにとっての原料調達ルートが広がる
- 技術協力の接点: 日本はベトナムとの農業協力でハノイ-大阪連携など自治体レベルの事例が増えている。畜産分野でもコールドチェーン技術や品質管理の協力余地がある
業界への波及
DHNプロジェクトは単なる一工場の話ではなく、ベトナム畜産業の輸出産業化という大きな流れの起点となり得る。ベトナムは従来、鶏肉の国内消費が中心で輸出量は限られていたが、EU・日本・韓国向けの認証取得を前提とした生産体制が整えば、タイ・ブラジルに次ぐ鶏肉輸出国としてのポジションを狙える。
ラムドン省のVietGAP支援条例に見られるように、ベトナム各省が認証取得支援を制度化する動きも広がっており、畜産・農作物の両面で「認証付き輸出品」の供給体制が整いつつある。
実用情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 合弁パートナー | De Heus Royal Group(オランダ)× Hung Nhon Group(ベトナム) |
| 加工工場名 | DHP食品加工コンプレックス |
| 所在地 | タイニン省チャンバン地区 |
| フェーズ1着工 | 2026年2月24日 |
| 完成予定 | 2026年末 |
| 初出荷予定 | 2027年初頭(Halal認証鶏肉) |
| 認証規格 | Halal / ISO 22000 / FSSC 22000 |
| 輸出対象市場 | EU・日本・韓国・中東・東南アジア |
まとめ
De Heus-Hung Nhonのタイニン省食鶏加工工場は、ベトナム畜産業の輸出産業化を象徴するプロジェクトだ。1兆2,400億VND(約73億円)の投資で飼料から加工・輸出まで垂直統合し、2036年に売上20億ドルを目指す。Halal/FSSC22000認証による日本・EU・中東市場への参入は、鶏肉の国際サプライチェーンに新たな選択肢を加えることになる。2026年末の工場完成と2027年初頭の初出荷に向けた進捗を追いたい。