メコンデルタ(ĐBSCL)

ベトナム語名 Đồng bằng sông Cửu Long(ドンバンソンクウロン)
面積 約40,600 km²
人口 約1,750万人
気候 熱帯モンスーン気候。年間を通じて高温(26〜28℃)。雨季(5〜11月)に洪水。
目次

概要

メコンデルタはベトナム最大の穀倉地帯であり、東南アジアで最も重要な農業地域のひとつです。メコン川が南シナ海に注ぐ河口部に広がるこのデルタ地帯は、13の省・市からなり、ベトナムの米生産量の約50%、果物の約70%、水産物の約60%を産出しています。

「九龍江デルタ」とも呼ばれるこの地域は、メコン川が9つの支流(実際には7〜8本)に分かれて海に注ぐことからこの名がつきました。肥沃な沖積土壌と豊富な水資源に恵まれ、年間3期の稲作が可能な、世界有数の生産性を誇る農業地帯です。

しかし、気候変動による海面上昇と塩水侵入は深刻な脅威です。国連の予測では、2050年までにデルタの約40%が浸水リスクにさらされるとされています。

農業の特徴

メコンデルタの農業は、①米作、②果樹、③水産養殖の3本柱で成り立っています。

米:年間生産量は約2,500万トンで、ベトナムの米輸出のほぼ全量がこの地域から供給されます。近年は量よりも質を重視する方向に転換しており、ST25(世界一おいしい米に選ばれた品種)をはじめとする高品質品種の栽培が拡大しています。

果樹:デルタ全域で多種多様な熱帯果樹が栽培されています。ドリアン・マンゴー・ロンガン・ランブータン・ポメロ・ココナッツ・パイナップルなど。特にドリアンは中国向け輸出の急増により、稲田をドリアン園に転換する動きが加速しています。

水産養殖:パンガシウス(ナマズの一種)とエビが二大養殖品です。パンガシウスの養殖はアンザン省・ドンタップ省が中心で、年間生産量は約150万トン。エビ養殖はカマウ省・バクリエウ省・ソクチャン省の沿岸部で盛んです。

主要農産物

米(約2,500万トン/年・ST25ほか)、ドリアン、マンゴー、ロンガン、ランブータン、ポメロ、ココナッツ、パイナップル、パンガシウス(約150万トン/年)、エビ(バナメイ・ブラックタイガー)、蓮

輸出・物流

主要輸出品は米(全世界向け)、パンガシウス(EU・米国・中東)、エビ(日本・EU・米国)、果物(中国・日本・韓国)です。カントー港とミートー港が主要河川港ですが、大型船の入港は難しく、多くの農産物はホーチミン市のカイメップ港まで陸送されて輸出されます。物流インフラの整備がメコンデルタ農業の最大の課題です。

課題と展望

気候変動・海面上昇・塩水侵入はメコンデルタの存続に関わる脅威です。ベトナム政府は「メコンデルタ持続的発展マスタープラン2100」を策定し、①塩水侵入エリアでのエビ養殖への転換、②高品質米への品種転換、③果樹・水産養殖への多角化を推進しています。オランダの堤防・水管理技術の導入も進んでいます。

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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