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ベトナムドラゴンフルーツが中東開拓——タイ向け2.7倍・UAE57%増、1〜2月で1.08億ドル

ベトナムのドラゴンフルーツ輸出が、中国一極依存から中東・東南アジアへの多角化フェーズに入った。2026年1〜2月の輸出総額は1億850万ドル(1USD=150円換算で約162.8億円)と前年同期比14%増。中でもタイ向けが920万ドル(前年比2.7倍)、UAE向けが330万ドル(57%増)と急伸し、中国依存度の低下と新興市場開拓が同時進行している。主産地は旧ビントゥアン省(2025年7月の行政再編でラムドン省に統合)とロンアン省、ティエンザン省で、近年の輸出減退局面からの反転を示すデータとして業界の注目を集めている。

目次

ニュース詳細

2026年4月15日にビントゥアン地区ドラゴンフルーツ農園・事業者協会(旧Hiệp hội Thanh long Bình Thuận)が公表したデータによれば、1〜2月のドラゴンフルーツ輸出額は1億850万ドルで、前年比14%増を記録した。市場別の内訳は次の通り。

  • 中国:6,650万ドル(前年比+5%、依然最大市場)
  • タイ:920万ドル(前年比2.7倍超)
  • 米国:400万ドル(前年比-39%、減速)
  • UAE:330万ドル(前年比+57%)
  • その他EU・東南アジア各国:残高

農家販売価格は白肉種が1kg当たり10,000〜15,000ドン(約59〜88円、170VND=1JPY換算)、赤肉種が15,000〜25,000ドン(約88〜147円)で推移し、2024〜2025年の安値局面(白肉3,800〜5,000ドン/kg)からは明確に回復した。

背景:「年間10億ドル時代」からの転落と再起動

ベトナムドラゴンフルーツは2014〜2018年に年間輸出額が10億ドル超を維持し、青果輸出の代名詞だった。しかし2019〜2024年は中国の自国生産拡大、海南省・広西チワン族自治区での栽培急増、コロナ禍での通関停滞、消費パターン変化などが重なり、年間輸出額は2025年1〜11月時点で4.85億ドルまで縮小していた。これは2014年以来の最低水準である。

今回の中東・タイ向け急伸は、「中国一極リスクの分散」という業界構造転換の表れだ。タイ向けは越境陸路(モクバイ・ラオバオ国境ゲート経由)でのコールドチェーン整備が効き、UAE向けは航空便(ホーチミン⇔ドバイ直行)の利用拡大とハラル認証取得農園の増加が後押しした。一方、米国向けは2024年以降に解禁された青皮ポメロ等の代替果実拡大、エクアドル・ニカラグアなど他国産との競合激化により減速している。

ドラゴンフルーツ輸出市場別動向(2026年1〜2月)

市場 輸出額(USD) 円換算(1USD=150円) 前年比
中国 6,650万 約99.8億円 +5%
タイ 920万 約13.8億円 +170%(2.7倍)
米国 400万 約6.0億円 -39%
UAE 330万 約5.0億円 +57%
合計 1億850万 約162.8億円 +14%

※円換算は1USD=150円で統一。市場別合計と全体合計に若干の差があるのは、表に記載していない「EU・他東南アジア」の輸出額(約2,550万ドル相当)が含まれるため。

業界・現地の反応

旧ビントゥアン省(2025年7月の行政再編でラムドン省に統合)のドラゴンフルーツ協会は「タイ・中東は2025年から重点開拓してきた市場で、生果直送・ハラル認証取得・コールドチェーン強化の3点が効果を出し始めた」と述べ、タイ向け週次出荷便数を2025年比で2倍以上に増やしたと公表している。協会は2026年通年で輸出総額6.5〜7億ドル(前年比約30%増)の回復を見込む。

ロンアン省Châu Thành県の輸出商社(Hoàng Phát Fruit)幹部は「タイ国内のスーパー(Big C、Tops Market、Gourmet Market)からのオファーが増えており、白肉種が現地小売で1kg当たり80〜120バーツ(約340〜510円)で販売されている」とコメント。一方、UAEドバイの輸入バイヤーは「ベトナム産ドラゴンフルーツはエクアドル産に比べ航空便所要日数が短く、果実の鮮度・果皮色保持で優位」とし、年内に契約数量を倍増する意向を示した。中国市場については、旧ビントゥアン省Hàm Thuận Nam県の農家からは「中国の自国生産が冬場に止まる時期(11〜3月)に依然として強い需要がある」との声が聞かれる。

日本農業関係者・輸入業者への実務情報

日本市場でもベトナム産ドラゴンフルーツは現在、年間2,000〜3,000トン規模で安定流通しているが、青果バイヤーにとって今回の中東・タイ向け急伸は調達単価のじり高リスクを意味する。2024年までの極端な安値局面(白肉種5,000ドン/kg台)は終了し、2026年以降は10,000ドン/kg超が下値レンジとなる見通しだ。

OEM加工メーカー・ジュース製造業者にとっては、ベトナム産ドラゴンフルーツ赤肉種を使ったスムージー素材・冷凍ピューレ・乾燥チップス・色素原料(ベタシアニン)として、ハラル認証付きロットの調達がしやすくなった点がメリットとなる。日本国内のクラフトドリンク・健康食品ブランドも、ベトナム×中東展開と組み合わせたサステナブル調達ストーリーを訴求材料にできる。輸入時には残留農薬(クロルピリホス・ジコホル等の中国基準乖離項目)と、果皮の機械的損傷リスクへの留意が引き続き必要となる。

業界への波及

ドラゴンフルーツの中東開拓加速は、ベトナム青果業界全体の「中東商材化」を後押しする。マンゴー、パッションフルーツ、ライチ、ジャックフルーツなどの熱帯フルーツも、UAE・サウジアラビア・カタールへのハラル認証取得を進めている。ホーチミン⇔ドバイ航空便、ハイフォン⇔ジェッダ海上コンテナ便の双方が能力増強局面にあり、ベトナム南部のコールドチェーン投資(パッキングハウス・冷蔵倉庫)はメコンデルタ全体で年率15%以上の伸びが続く。

一方、中国市場依存からの脱却は容易ではない。中国の自国産ドラゴンフルーツは年間生産量160万トン超で、ベトナム産との直接競合は今後も続く。ベトナム産は有機栽培・GlobalGAP認証・ストーリーブランド化で差別化を進める必要があり、ロンアン省・旧ビントゥアン省(現ラムドン省統合後)の主要農協は2026〜2027年にかけて有機認証園地を倍増させる計画だ。

実用情報まとめ

項目 内容
品目 ドラゴンフルーツ(白肉・赤肉)
主産地 旧ビントゥアン省Hàm Thuận Nam県(2025年7月にラムドン省へ統合)・ロンアン省Châu Thành県・ティエンザン省
2026年1〜2月輸出額 1億850万ドル(約162.8億円、+14%)
急成長市場 タイ(920万USD、約13.8億円、2.7倍)・UAE(330万USD、約5.0億円、+57%)
最大市場 中国(6,650万USD、約99.8億円、+5%)
農家価格 白肉10,000〜15,000VND/kg、赤肉15,000〜25,000VND/kg
主要輸出商社 Hoàng Phát Fruit、Lavifood、Nafoods Group
輸送形態 陸路(タイ)・航空便(UAE)・海上(中国・EU)

まとめ

ベトナムドラゴンフルーツの2026年1〜2月動向は、「中国一極依存からの脱却」が単なるスローガンから実数値の変化として現れた最初の四半期となった。タイ向け2.7倍、UAE向け57%増という伸びは、コールドチェーン整備・ハラル認証取得・航空便キャパ増強が組み合わさった結果であり、年間6.5〜7億ドル水準への回復が視野に入る。日本の青果バイヤー・OEM加工メーカーは、調達単価のじり高化と引き換えに品質基準・サステナブル調達ストーリー・通年安定供給の3点を享受する局面に入った。中国市場の動きと中東・東南アジア需要を併せ睨みながら、契約数量・パッキングハウス選定の見直しを進めるタイミングである。

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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