ベトナム農林水産輸出、2026年Q1で166.9億ドル——水産+13%・コーヒー価格急落も量で補い前年超え

ベトナム農業環境省と国家農業農村発展研究所が発表した2026年第1四半期(1〜3月)の農林水産輸出統計によると、輸出総額は前年同期比で増加し約166.9億ドルに達した。コーヒーと米の価格が急落する逆風の中でも、水産・青果のボリューム拡大が全体を支えた。(出典: Vietnam.vn

目次

Q1 2026 主要品目別輸出実績

品目 Q1 2026 前年比(額) 特記事項
水産物 $26.2億 +13.3% 中国向け+58.5%が突出
青果・野菜 $14.8億 +27% 年間$100億目標に向け前進
$11.1億 ▲7.8% 数量+2.3%も価格が$480/tに下落
ゴム $7.5億 +2.4% 生産量+8%
コーヒー (価格急落) 価格▲大幅 量は増加傾向
合計 $166.9億 +5.9% 過去最高水準

水産物が最強の牽引役——中国市場が+58%の爆発的増加

Q1 2026で最も際立った実績を出したのが水産物だ。$26.2億は前年比13.3%増で、中でも中国市場向けが58.5%増と爆発的に伸びた。この背景には:

  • 中国の景気回復局面での高価格水産物需要の回復
  • ベトナムと中国間の輸出インフラ・通関手続きの改善
  • エビ・パンガシウス・ティラピアなどの多品目化による量的拡大

日本向けの水産輸出も堅調に推移しており、活スカンピ・甲殻類・加工エビでの品質向上が評価されている。ドンナイ省のバナナ輸出に続き、ベトナム産農水産品の日本市場への浸透が加速している。

青果・野菜が+27%——年間$100億目標に向け順調な立ち上がり

青果・野菜の輸出額は$14.8億で前年比27%増。2026年の通年目標は$100億だが、Q1のペースは目標達成を支持する水準だ。特に中国・日本・韓国・EUへの輸出が増加している。

ベトナム産イチゴが2年で輸出額2000倍を達成したのも同期のニュースだ。スーパーフルーツや高付加価値野菜の輸出多様化が、青果全体の底上げに貢献している。

コーヒー・米はダブルパンチ——価格下落で苦戦

米:数量増も価格で帳消し

米の輸出は数量で前年比2.3%増の約230万トンに達したが、輸出単価が$480.1/トンと前年比8%下落し、額では$11.1億(▲7.8%)となった。フィリピン・中国・ガーナが上位3市場を占める。

コーヒー:価格は急落、量でカバー中

コーヒーは世界市場での価格急落(ロブスタ価格の下落)の直撃を受けた。量は維持しているが、単価の急落が輸出額を圧迫。HAGLの20,000ha大規模コーヒー農場計画が示すように、ベトナムのコーヒー産業は量の拡大よりも垂直統合・高付加価値化へのシフトが急務だ。

独自分析:ベトナム農産輸出が直面する2大リスク

リスク1: 価格依存から品質・ブランド依存への転換が遅い

コーヒー・米で露呈したのは「価格が下がると輸出額が下がる」コモディティ構造だ。青果・水産ではすでに高品質化・ブランド化の動きが出ているが、コーヒー・米では遅れている。2026年のベトナム農業政府方針が掲げる「深加工(deep processing)」推進が実を結ぶには、さらに2〜3年が必要だろう。

リスク2: 中国市場への過依存

水産の中国向け+58%は喜ばしいが、一国依存は地政学・規制・需要変動リスクを高める。EUDR(欧州森林破壊防止規制)への対応を含め、EU・日本・米国向けの品質基準認証取得による市場分散が、2026年後半の重要課題だ。

まとめ

ベトナムの農林水産輸出は2026年Q1でも堅調な成長を維持した。水産・青果が力強く牽引する中で、コーヒー・米は価格下落という構造的課題を抱える。日本向けには特に、高品質水産物・エキゾチック青果・有機系産品の輸出増加が期待される。ベトナム農業への投資・調達を検討する日本企業は、2026年の品目別トレンドを精緻に把握した上で戦略を立てる必要がある。

引用元: Vietnam.vn(2026年4月) / VnExpress International


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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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