ベトナム産青果輸出が2026年1〜2月で前年比+59.5%——ドリアン国家トレーサビリティ試行と産地コード管理の強化で日本・EU市場への信頼性が向上

ベトナム農林水産省のデータによると、2026年1〜2月の青果輸出額は約10.9億ドルに達し、前年同期比59.5%増という驚異的な伸びを記録した。主要輸出先の中国・米国・韓国への出荷が順調に拡大する一方、農産物の品質・トレーサビリティ強化も加速している。

目次

2026年1〜2月:主要輸出先と品目の動向

輸出先シェア動向
中国58.3%最大市場。ドリアン・バナナ・スイカなど熱帯果実が中心
米国7.5%加工品(乾燥果物・ジュース)比率が拡大
韓国3.9%農薬残留違反件数が低下、信頼性向上で輸出加速

注目すべきは農薬残留違反による輸出拒否件数が中国・米国・韓国の全市場で前年比減少したことだ。農産物の品質管理体制の整備が着実に成果をあげている。

ドリアンが成長の主軸——2026年生産量10〜12%増の見通し

青果輸出の成長を牽引する最重要品目はドリアン(sầu riêng)だ。2026年のドリアン生産量は前年比10〜12%増が見込まれており、特に注目されるのは輸出形態の変化だ。

これまで新鮮なホールフルーツ輸出が中心だったベトナム産ドリアンだが、企業各社は冷凍ドリアン・カットドリアン・ドリアンペーストなどの加工品として日本・米国などの高品質市場への輸出を積極的に拡大している。加工品輸出は2021年比で15%以上の成長を記録している。

国家レベルのトレーサビリティシステム——まずはドリアンから試行

ベトナム農林水産省が推進する最重要施策のひとつが、農産物の国家トレーサビリティシステムの構築だ。2026年は試行段階として、ドリアンを最初の対象品目に選定している。

このシステムは、農場での生産から収穫・加工・梱包・輸出に至るまでのデータを一元管理する。具体的には以下の情報がトレース可能になる:

  • 生産者名・産地(省・市・区画)
  • 使用農薬・肥料の記録
  • 収穫日・加工工場
  • 輸出先・バイヤー情報

このシステムが実用化されれば、日本やEUのバイヤーが個別ロットの産地情報をリアルタイムで確認できるようになる。食品安全への要求水準が高い日本市場との取引拡大に直結する取り組みだ。

産地コード(Planting Area Code)管理の強化

2023年以降に中国が要求を厳格化した「産地コード登録制度(PA Code)」に加え、ベトナム農林水産省は全品目の産地コードの体系的な管理・更新に力を入れている。

産地コードの問題は、期限切れや虚偽申請による輸出拒否リスクを高めてきた。2026年から整備が進む管理システムにより、正規の産地コードを持つ農家・企業のみが輸出できる体制が強化される。

日本市場への可能性——「品質×トレーサビリティ」でプレミアム化

ベトナムから日本への農産物輸出は現在全体の約7.1%で、中国(22.1%)・米国(18.3%)に次ぐ第3位だ。しかし、単価の高い加工品やプレミアム鮮果の比率は低いのが現状だ。

トレーサビリティシステムの整備と産地コード管理の強化は、日本市場での「信頼できるベトナム産」という認知形成につながる。特に以下の品目は今後の対日輸出拡大が期待される:

  • 冷凍ドリアン(すでに日本の一部スーパーで販売実績あり)
  • 加工バナナ(乾燥・チップス)
  • ベトナム産イチゴ(2026年1〜2月の対日輸出が急伸)
  • 有機野菜・ハーブ類(越冬品として通年供給可能な品目)

まとめ

2026年1〜2月の青果輸出+59.5%という数字は、ベトナム農業の輸出競争力が本格化していることを示す。特に、ドリアンを起点とした国家トレーサビリティシステムの試行と産地コード管理の強化は、単なる量的拡大にとどまらない「質的な転換」の始まりだ。

日本市場との取引を考えるバイヤー・商社・食品メーカーにとっては、今が「信頼できるベトナム産」サプライヤーを発掘する最適なタイミングと言えるだろう。

関連記事:ベトナム農林水産輸出、2026年Q1で166.9億ドルベトナム産イチゴの輸出額が2年で2000倍に

参照:Fresh Plaza「Vietnamese fresh produce exports rise 59.5% in early 2026」

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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