ベトナム食品安全令Decree 46が4月16日に試行再開——1月の1,300台立往生から学んだMARD一元化で輸出管理はどう変わるか

2026年4月16日、ベトナムの新食品安全令「Decree 46」が試行施行を再開する。2026年1月の施行開始直後に1,300台以上の輸送車両が国境で立往生し、生鮮農産物が大量に廃棄・足止めされた混乱の教訓を踏まえた改定版だ。農業農村開発省(MARD)が野菜・水産物・穀物の食品安全管理を一元統括する新体制への移行は、ベトナム農産物の輸出管理に直接影響する重要な政策変更だ。

目次

Decree 46とは何か:1月の混乱を振り返る

Decree 46は食品安全に関する省庁管轄を再編する政令だ。従来、農産物の食品安全検査は農業省・保健省・工業省の3省が分担していたが、Decree 46は農業農村開発省(MARD)に権限を集約する改革を目指している。

しかし2026年1月の施行初日、現場は混乱した。中越国境では輸送車両が1,300台以上滞留し、ドリアン・マンゴー・野菜類の生鮮農産物が数日間足止めされた。問題の本質は2つあった:

  • 書類要件の複雑化:輸出農産物に新たな検査証明書が必要になったが、発行体制が未整備だった
  • 省庁間の管轄移行期の混乱:旧来の省(保健省・工業省)と新管轄のMARDの間で、どちらが何を担当するかが現場レベルで不明確だった
問題 影響
1月の国境滞留 輸送車両1,300台以上、生鮮農産物の大量廃棄・遅延
書類要件の不備 輸出証明書発行体制が整備前に施行
省庁管轄の不明確さ 現場での判断基準がなく通関業者・農家が困惑

4月16日再開版:何が変わるのか

ベトナム政府は1月の混乱を受け、施行を一時停止し制度の見直しを行った。4月16日に再開する改定版での主な変更点は以下の通りだ:

① MARD(農業農村開発省)への権限一元化の完了
野菜・穀物・水産物の食品安全検査がすべてMARDの所管となる。「どの省に申請すればよいか」という現場の混乱が解消される。

② 輸出証明書発行体制の整備
MARDが全国の発行窓口を整備し、電子申請・オンライン発行が可能になる。2〜3日かかっていた発行期間を短縮する見込み。

③ 移行期間の設定
全面施行前に試行期間(2026年4月〜)を設け、現場からのフィードバックを反映できる体制を構築。「見切り発車」を防ぐ設計変更。

日本向けベトナム農産物輸出への具体的影響

ベトナムからの日本向け農産物輸出は、近年急速に拡大している。2026年第1四半期の農林水産輸出は166.9億ドルに達し、日本は重要な輸出先だ。

Decree 46の改定版施行は、実務面で以下の影響を持つ:

影響項目 内容
輸出証明書 発行窓口がMARDに一元化→申請先が明確化
検査手続き 農産物の食品安全検査フローが統一→書類作成の簡素化が期待
通関リードタイム 1月の混乱が解消されれば生鮮品の輸出スピードが改善
対象品目 野菜・穀物・水産物すべてがMARD管轄に統一

農業事業者が今すぐ確認すべきポイント

ベトナム農産物の輸出・輸入に関わる事業者は、4月16日以降に以下を確認することが必要だ:

  1. 輸出証明書の申請窓口:従来の窓口(保健省・工業省)が使えなくなる品目がある
  2. 新フォーマットの確認:証明書の書式がDecree 46対応版に更新される
  3. 通関業者・現地パートナーとの確認:移行期間中は現地の最新情報を常に把握することが重要

ドリアンのグリーンレーン制度のようにQRコード管理が進む中、カシューナッツ輸出を含めベトナム農産物の管理強化は大きなトレンドとなっている。Decree 46の本格運用は、この「農産物の品質・安全管理のデジタル化」に向けた重要な制度的インフラだ。4月16日以降の運用状況を継続的にウォッチしていきたい。

【情報元】
Food Navigator Asia「Vietnam’s food safety overhaul moves forward after months of delay」(2026年4月7日)
https://www.foodnavigator-asia.com/Article/2026/04/07/
Vietnam Briefing「Vietnam Addresses Implementation Bottlenecks Under Decree 46」
https://www.vietnam-briefing.com/news/

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この記事を書いた人

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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