ベトナムのココナッツ産業|ベンチェ省の生産と輸出戦略

ベトナム産のココナッツ製品を仕入れたいけれど、どの地域が主産地でどんな加工品が輸出されているのか、よくわからない——そんな疑問をお持ちではないでしょうか。

この記事では、ベトナムのココナッツ産業の概要から、ベンチェ省に集中する生産・加工体制、ococoナッツオイル・ミルク・繊維の輸出動向、そして農村振興につながる6次産業化の取り組みまでを解説します。

目次

ベトナムのココナッツ産業の現状

ベトナムはフィリピン・インドネシアに次ぐアジア屈指のココナッツ生産国です。国内の生産量は年間約17億個(2023年統計)にのぼり、そのうち輸出向け加工品の割合は年々拡大しています。

特に2020年代以降、欧米市場でのヴィーガン・植物性食品ブームを背景に、ベトナム産ococoナッツ製品の需要は急上昇しました。輸出額は2022年に約9億ドルを突破し、農産品輸出の主要品目としての地位を固めつつあります。

生産地はメコンデルタ地域に集中しており、なかでもベンチェ省は「ベトナムのococoナッツの首都」と呼ばれるほど重要な産地です。

ベンチェ省が「cocotナッツの首都」と呼ばれる理由

圧倒的な生産面積とシェア

ベンチェ省のococoナッツ栽培面積は約7万2,000ヘクタール(2023年)で、全国の栽培面積のおよそ35%を占めます。

メコン川の支流が網目状に走るデルタ地形は、ococoナッツ栽培に必要な豊富な水分と肥沃な土壌をもたらします。年間を通じて温暖な気候も、高品質な果実の安定供給を可能にしている要因です。

加工業のクラスター形成

ベンチェ省には、ococoナッツオイル・ミルク・炭・繊維・シュガーと多岐にわたる加工工場が集積しています。省内の加工企業数は300社以上で、輸出対応の設備を持つ中・大規模事業者も50社を超えます。

この産業クラスターが、原料調達から加工・輸出まで一気通貫できる強みを生んでいますね。

指標 ベンチェ省 全国シェア
栽培面積 約7万2,000ha 約35%
年間生産量 約6億個 約35%
加工企業数 300社以上
輸出対応企業 50社超

ococoナッツオイル・ミルクの加工と輸出

ococoナッツオイルの多様な用途

ベトナム産ococoナッツオイルは、食用・化粧品・医薬品原料として世界中に輸出されています。特にエクストラバージンcocotナッツオイルは、欧米・日本向けの高付加価値製品として需要が高い商品です。

品質面では、非加熱低温圧搾(コールドプレス)製法が広がりつつあります。ベンチェ省内では、ISO22000やHACCPを取得済みの工場が複数稼働しており、食品安全基準への対応が進んでいます。

2023年のベトナム産ococoナッツオイル輸出量は約12万トンで、主要輸出先は中国・EU・米国・日本の順です。

ococoナッツミルクとクリームの需要拡大

ococoナッツミルクは、アジア料理だけでなく、欧米のヴィーガン食品市場でも広く使われる素材です。乳代替品としての需要が高まる中、ベトナムからの輸出量も2020〜2023年で約1.8倍に伸びています。

ベンチェ省の工場では、缶詰・ティーパック・粉末と複数の形態で製品化されており、バイヤーのニーズに合わせた柔軟なOEM対応が可能です。

輸出先と価格帯の比較

製品カテゴリ 主な輸出先 一般的なFOB価格帯(USD/kg)
ococoナッツオイル(バージン) EU・日本・米国 1.8〜3.5
ococoナッツミルク(缶詰) 中国・ASEAN・EU 0.9〜1.6
ococoナッツクリーム 日本・米国 1.2〜2.2
ococoナッツシュガー EU・日本 2.5〜4.0

ococoナッツ繊維(コイヤ)産業の実力

コイヤとは何か

ococoナッツの外皮から取れる繊維を「コイヤ(Coir)」と呼びます。耐久性・耐塩性に優れ、マット・ロープ・農業用資材(育苗トレイ・土壌改良材)など幅広い用途があります。

ベトナムはインドに次ぐ世界第2位のコイヤ生産国で、年間の輸出量は約40万トン(2022年)です。

農業用コイヤの成長市場

近年、有機農業・持続可能農業の広がりを背景に、ピートモスの代替資材としてのcocotファイバー(コイヤピート)需要が急増しています。

欧州・日本・韓国では化学肥料からの転換需要が高く、ベトナム産の育苗用コイヤポットやコイヤチップの引き合いが年々増えています。この分野は今後さらに成長が見込める市場ですね。

6次産業化で変わるベンチェ省の農村

生産・加工・販売の一体化

ベンチェ省では、農家が単なる原料供給者にとどまらず、加工・直販・観光まで手がける「6次産業化」モデルが広がっています。

省政府は2020年から「1村1製品(OCOP)」プログラムをococoナッツ産業に積極的に適用し、付加価値製品の開発と認証取得を支援しています。

ococoナッツ体験農場と農業観光

ベンチェ省内では、ococoナッツ農園の見学・搾油体験・工芸品制作ワークショップを組み合わせた農業観光(アグリツーリズム)が人気を集めています。

コロナ禍前の2019年には、ベンチェ省への観光客数が年間180万人を超えており、農村観光が農家収入の多様化に貢献している実績があります。

バリューチェーン全体でのブランド強化

ベンチェ省では「BENTRE COCONUT」ブランドの地理的表示(GI)取得を推進中です。原料から製品まで産地を明示できる仕組みは、日本・欧米の輸入バイヤーにとって信頼性の証明になります。

GI取得によって価格競争から差別化し、プレミアム市場への参入を目指す動きは、他のベトナム農産品(例:フエの特産品や中部高原のコーヒー)でも成功事例があり、ベンチェ省でも期待が高まっています。

日本企業がベトナムcocotナッツ産業と連携するポイント

日本からのアプローチとして、大きく3つの切り口があります。

① 食品素材の輸入・OEM
ococoナッツオイル・ミルク・シュガーのOEM調達は、食品メーカーや自然食品ブランドにとって現実的な選択肢です。現地の大手加工企業の多くが日本語対応の営業窓口を持つようになっています。

② 農業資材の輸入
コイヤピートやコイヤポットは、国内の有機農家・施設園芸農家向けに需要が見込めます。環境負荷の低い資材として、SDGs対応を求めるバイヤーからの関心も増えています。

③ 技術・品質管理の支援
ISO・HACCP・JAS有機認証の取得支援や品質管理ノウハウの提供は、現地パートナーとの協業において日本企業の強みを活かせる領域です。

まとめ

ベトナムのococoナッツ産業は、ベンチェ省を中心とした生産基盤、多様な加工製品の輸出体制、そして6次産業化による農村振興という3つの柱で成長を続けています。

  • 年間輸出額は約9億ドル(2022年)を突破し、拡大傾向にある
  • ベンチェ省は全国生産量の約35%を担うcocotナッツ産業の中核地域
  • ococoナッツオイル・ミルク・コイヤ繊維それぞれの市場が独立した成長動向を持つ

食品輸入・農業資材・技術協力など、日本企業がベトナムのcocotナッツ産業に関わる窓口は多数あります。産地・加工企業・認証状況をしっかり確認した上で、長期的なパートナーシップを検討してみてください。

VN AGRIでは、ベトナム農業の最新情報を発信しています。

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